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「赤ひげ診療譚」ネタバレ感想 -著:山本周五郎(やまもとしゅうごろう)-

2021/10/04

カテゴリー:小説

赤ひげ診療譚

概要

このページでは赤ひげ診療譚の中の「おくめ殺し」「氷の下の芽」についてネタバレ感想していきます。

今回の2つで赤ひげ診療譚のお話はすべて終了です。まだほかの話読んでないよ!って方はそちらを読んでから読むことおすすめします。

狂女の話・駈け込み訴えむじな長屋・三度目の正直へ徒労に賭ける・鶯ばか

目次

おくめ殺し

登場人物

保本登…主人公。長崎への遊学経験をもち天野の後ろ盾もあったが、貧乏な小石川診療所に配属される。

新出去定(にいできよじょう)…別名赤ひげ。貧乏な医院を経営している。

竹造…薬の籠をもち、赤ひげのお供をしている。

〇角三…おたねの夫。

〇おたね…角三の妻。

〇多助…おたねの祖父。19年前の真相を知るがぼけてしまった

〇与七…松次郎の父。高田屋の当主だったが、亡くなり松次郎が跡を継ぐ。長屋の人たちを無料で住まわせている。

〇松次郎…高田屋の跡取り息子。長屋の人たちを追い出そうとする。

〇伊蔵…松次郎の家来。

(〇…このお話で初登場の人物)

道で倒れている男

竹造・赤ひげ・登で診療の帰りに、ひどい怪我をしている男が倒れているのを見つけます。

その男に話を聞くと、相手を殺すつもりで喧嘩をしたが相手に用心棒がいて、やり返されたといいます。

その男は角三といい、養生所に連れ帰ることになりました。藪下の長谷に住んでいて、加吉という畳職人の息子だそうです。

角三はおたねという、娘を呼んで欲しいと言います。赤ひげは明日になったら呼んでやると言い、角三は了承し、赤ひげはでて行きます。

夜があけて、おたねが来ました。おたねは角三の病状を軽く尋ねた後、昨夜のことを語ります。

昨夜に伊蔵という男が3人男を連れて、若旦那を殺そうとしたものを出せと言ってきたそう。

角三が長谷に帰らないと、怪しまれてしまうとおたねはいいます。赤ひげは詳しい話を尋ねます。おたねはしぶりますが、詳しい経緯を語ります。

おたねの話

彼らが住む長屋の家主の先代は与七といい、家賃無料で貸していたそうです。

それも自分の息子の松次郎の代まで無料で貸し、当時の長屋の管理人の元助が証人となりました。

理由はおたねのじいさま(多助)以外に知っておらず、そのじいさまもぼけてしまいました。

しかし、無料で貸すという約束のことは長屋のみんなは知っており、今の管理人の助三郎も死んだ父親の元助からきちんと聞いていました。

ところが松次郎が跡を継いだ後、急に長屋を開けろと言い出しました。

松次郎は約束は知っているが、証文があるわけでもないし、19年も無料で住んできたのだから十分だろうといいます。

松次郎は今の長屋を取り壊して、そこに料理屋や岡場所を集めるというもので、地元のお寺の僧侶も了承していました。

登は話を聞いて、そんな面倒なことならいっそ引っ越したらいいのにと思いながらも、とりあえず赤ひげに話をしてみるといい、登は養生所に帰ります。

2人の男

登は赤ひげにこれまでの話をすると、赤ひげは角三のほうの事情はどうなのだと聞きます。

相手を殺そうとするまで追い詰められていた角三の事情を知りたかったのだと不満そうです。

とりあえず角三を長屋に返すことに決め、お種を先に帰し、その後赤ひげ・登・角三は長屋へと向かいます。

角三が自分の家につくと、たちまち長屋の人が集まってきました。その人だかりを押しのけて、2人の男が出てきます。

片方の伊蔵という男が旦那を殺そうとした男を探しているから角三を確認したいといいます。

赤ひげは伊蔵に自分は町奉行に属する養生所の院長で、自分が証人になるから今日は帰れといいます。

それでも伊蔵は渋りますが、4人と1人が喧嘩をして、1人のほうが大けがをしているのだから、訴えれば不利になるのはそっちだといい、なんとか伊蔵は帰りました。

その後おたねから、伊蔵たちの親元である高田屋が、長屋に住む源治という年寄り夫婦を力づくで追い出したと聞きます。

登はここには自警団などはいないのかと聞きますが、高田屋は金をつかうし、この土地の寺の偉い僧侶がうしろ縦になっているので、自警団は向こう側についてしまったといいます。

長屋の人たちはこれからそれ相応の家賃を払うと言っても、高田屋は話を聞いてくれないとおたねは悲しみます。

登は再度、引っ越したらいいのにと思います。

引っ越したくない理由

赤ひげは長屋の管理人と話をして、長屋の人たちに短気なまねはしないようにと忠告し、長屋を出ます。

そのまま外診へと向かう道中で赤ひげは管理人から聞いた話をしてくれました。

角三とおたねはこの月に結婚するつもりで、それまでに4年かかったといいます。

角三は板前に弟子入りしていましたが、自分の限界を感じてご飯屋さんを経営することに決めました。

そのために酒と女を断り、お金をため、その間におたねと出会い結婚の約束までしました。

おたねは両親を若くして亡くし、祖父の多助に育てられました。

おたねは祖父が病気になってからも、角三の夢のご飯屋さんを開くために、祖父のお世話をしながら働きお金を貯めました。

その後長屋に引っ越してきて、管理人と相談したり、長屋の人にお店を作るのを手伝ってもらい、2人は長屋でお店を開くことができました。

それから半月後に高田屋から立ち退くよういわれたといいます。商売はうまくいき、常連客もついてきた頃のことでした。

2人はお店のお金をすべてつぎ込んでいたし、酒屋やほかにも借金もあったので、長屋全体が相談し、高田屋と交渉してきたのです。

ただ証文もなく、20年近く20家族ほどが無料で済んできたという事実と、地主たちも高田屋が料理屋や岡場所を開くと土地が栄えるということもあり、不利だといいます。

赤ひげはおたねの祖父の多助を訪れましたが、ぼけていて、"おくめ殺し"ということしか記憶にないといいます。

事件の進展

その翌日、赤ひげに命じられ登は角三を訪れ、診察をしていました。

すると、おたねの祖父の多助が訪ねてきて、涙をこぼしながら回らない舌で何かを言おうとしています。

登は気になりつつもその場を後にします。

翌日赤ひげと登は診療に出かけるときに与平という男に呼び止められます。

彼は長屋の住民で、高田屋についてわかったことがあるから来てほしいといいます。赤ひげは登へ外診の後長屋へ行くよう命じました。

登が外診の後角三の家を訪ねると、先ほどの与平のほかに3人の男がいました。

彼らは19年前に何があったかわかったといいます。

前日に登が帰った後、おたねの祖父の多助は落ち着きを取り戻し、証文が仏壇の裏にあるといいました。

それを長屋の人たちは見つけ、その中に理由も書いてありました。

ただ書いてあることは後で話すからこれから起こることの承認になってほしいと彼らはいいます。

もうすぐ高田屋の松次郎が来るそうで、約束の証拠が見つかったからと呼びだしたそうです。登は黙っているよりしょうがないと思い了承します。

おくめ殺しとは

その後高田屋の松次郎とこの前の伊蔵に加えて新たに2人の男が来ました。

長屋の人たちは、証拠が崖下の空き地にあるといい、その証拠は松次郎の恥となるから、1人で来てくれといい、松次郎もしぶしぶ了承します。

松次郎をその場所に連れてきて、こっちに来てくれ、もうちょっと後ろと誘導していると急に松次郎の姿が消えました。

そこには古井戸があり、松次郎はその中に落ちてしまったのです。

与平は登にむかし、この古井戸におくめという女の子がここに落ちて死んでしまったからこの古井戸がおくめ殺しと呼ばれたのだと説明してくれました。

そして、これから松次郎に言うことを聞いててくれといい、長屋の人たちが松次郎に話を始めます。

19年前の真相

松次郎は19年前にこの古井戸に落ちてしまい、松次郎は1人息子だったため高田屋は人を雇ってまで探しましたが見つかりませんでした。

そんなとき長屋の人が松次郎を見つけ助け出したそうです。

松次郎の親はそれを大変喜び、長屋の家賃を松次郎の代まで無料にするという約束をしたのでした。

その代わり松次郎の父は条件として、松次郎にはこんな嫌なことがあったということを内緒にしておいてほしいといいます。

それでこれまで理由がわからなかったといいます。松次郎は叫びますが反響して何を言っているかわかりません

長屋の人たちは井戸に蓋をしたので、登はこれから松次郎をどうするのだと聞きますが、長屋の人たちはことが決着したらまたお話しに行きますといいます。

登は仕方なくその場を去ります。松次郎の取り巻きにはもう主人は先に帰ったといいます。

結末

5日後角三の治療に訪れたとき、角三からことが収まったと聞きました。

松次郎は芯からこたえ、仕返しの心配もないそうです。

むりょうで住まわすという性分にも松次郎は自分から進んで、名前を書き印鑑を押したそうです。

それでも角三はこれから家賃を払うつもりだといいました。

氷の下の芽

主な登場人物

保本登…主人公。長崎への遊学経験をもち天野の後ろ盾もあったが、貧乏な小石川診療所に配属される。

新出去定(にいできよじょう)…別名赤ひげ。貧乏な医院を経営している。

森半太夫…登と同じ見習い医。27,8に見える痩せた陰気な男。

天野源伯…登の父の知人。幕府の表御番医者をしている。登を赤ひげのところに紹介する。

ちぐさ…登と婚約した天野夫妻の娘。しかし天野夫妻の弟子と駆け落ちしてしまう。

まさを…源伯の娘で、ちぐさの妹。登と婚約した。

〇おえい…母親に妊娠した子供を卸すよう言われるが、拒否している。白痴(重度の知的障害)をもつ。

〇おかね…おえいの母。おえいの子をおろすために、養生所におえいを連れてきた。

〇佐太郎…おえいの父。芸人をしていて、稼ぎはほとんどない。

〇おりつ…おかね・佐太郎の子供で、長女。両親の借金のため、体を売られ、働かされる。

(〇…このお話で初登場の人物)

  

白痴の女

おゆみが危篤で、おゆみの父が訪ねてきたと登は半太夫に聞きます。

父親はいまでもお弓にいたずらをした弟子を殺してやりたいといっていたそうですが、登は間違っていると思いました。

たいていの男女は小さいころに似たような経験をして、耐性がない人が狂ってしまうのだと考えます。

半太夫はさらに、猪之はおゆみの父へ直談判し、おゆみが死んだらそのお世話係のお杉を嫁に欲しいといったそうです。

父親は驚いていたが、自分は異存ないと認めたようでした。

登と半太夫がそんな話をしていると、外から女が泣き叫ぶ声が聞こえました。

登が外へ出ていくと、出会い頭に一人の娘がかけてきて、登にすがり付き、後ろに隠れます。

その娘を追いかけてきた女が"おえい"と叫び、赤ひげがその娘を部屋に入れろといいます。

登が娘をなだめている間に赤ひげは追いかけてきた女を止め、部屋に娘を入れました。

娘が部屋に入ると、無表情になり、先ほど泣きわめいていたことを忘れたようににやにやと薄笑いをします。

登はそれを見て、その娘が白痴だと推測します。

おえいのカミングアウト

その後、部屋に赤ひげが入ってきて、娘と話を始めます。

娘の名はおえいで、追いかけてきた女は娘の母親でおかね。そこまでいうのに娘は舌が回らない様子でした。

おえいは下女をしているうちに妊娠し、男が誰だかわからないといいます。

妊娠したためおえいは実家に帰され、実家の暮らしはかつかつで、頭の悪い娘に子を産ませたくないと母親は養生所に子を下させようと連れてきたのでした。

しかし、おえいは赤ちゃんを産みたいようで、抵抗していたのです。

あかひげはお前ひとりでは子を育てていくことは難しいとお栄を説得します。

しかしおえいはにやっと笑い、自分は馬鹿になったふりをしているといいます。

赤ひげはそれを聞いて、登におえいを2,3日預かると母親に伝えてきてくれと頼まれ、登は母親に話をしに行きます。

登がおえいを預かることをいうと、母親はしぶしぶ了承します。その後登は実家に帰る用事があったため、養生所を出ます。

源伯からの昇進話と登の決意

登は実家に帰ると、そこには天野源伯とその妻、そして娘の"まさを"がいました。

父に呼ばれ、これから結婚の儀式をすることを言われます。登は無言でいますが、父はそれを了承したと考え、準備してくれと続けました。

それから登は着替え、客間で結婚の儀式をしました。まさをと登が盃を交わした後、盃台を運んできたのはちぐさでした。

登はちぐさがひどく老けたことに気づきます。男との世を忍ぶ生活や子を産んだことが彼女を変えたのだと登は思いました。

登はちぐさにたいして、ご主人によろしくといい、天野源伯はよく我慢してくれたといいます。

源伯は加えて、赤ひげと相談した結果、登は幕府の専属の医者になることを伝えられます。

源伯は登が長崎から帰ってきてすぐ幕府の医者にさせようとしていたのですが、その時期にちぐさという婚約者から裏切られたため、落ち着かせるために養生所に勤めさせたといいます。

源伯は時々赤ひげと会い、登の様子を聞いていました。登が立ち直り嫌な患者も進んで治療するようになったためもう大丈夫だろうと思ったそうです。登は天野の話を素直に聞き、素直に受け取りました。

その後登は2人で話したいことがあるといい、まさをを呼び出し、幕府の医者になる気はないと伝えます。

そうすると、養成所に残ることになるのでそれだと貧乏に耐えてもらわなければならなくなるがそれでも良いかと尋ねます。

登は時間をおいてから返事をしてくれていいといいますが、まさをの気持ちはもう決まっているようでした。

まさをはどんな辛抱でもするつもりのようでした。

おえいの話

登は実家を出て、養生所に帰りました。半太夫に会うと、結婚についておめでとうと言われます。

さらに半太夫は登がいなくなることを知っていて、その代わりに津川がやってくるといいます。

登は半太夫に残るつもりだといいます。半太夫は最初のころとの変わりように微笑します。

半太夫も登が残ることに協力してくれるようでした。

翌日の朝、おえいが脱走しようとしているのを下女たちが抑えていました。

登は赤ひげにお栄の話を聞いてみてくれと頼まれ、話をしに行き、なぜ逃げようとしたのか尋ねます。

おえいは母親がやってくるからだと答え、自分の父親について語り始めます。

おえいの父は佐太郎といい、稼ぎはほとんどありませんでした。

母親のおかねとは居酒屋で知り合い、おかねのほうが佐太郎にのぼせ上がっていたので、おかねは佐太郎に他に女ができないかという嫉妬でいつも喧嘩をしていました。

ふたりの間には子供が6人いましたが、子供たちはみんな7,8歳になると稼ぎに出させられました。

さらには、父と母はかわるがわる子供たちの稼ぎ先に行って、給料の前借をしていました。

長女のおりつは給料の前借がたまりすぎて、体を売ることになりました。おりつは恐ろしさのあまり逃げだしますが、また捕まり違うところに勤めさせられます。

また逃げようとしますが、今度はお店の人に捕まり、殺されると思うほど折檻されました。

おえいはある時、長女のおりつのところをたずね、話を聞き、将来体を売らされること、兄や妹でさえも親の食い物にされることを聞かされます。

その後しばらくして、今度はおえいの勤め先に長女のおりつが訪ねてきて、勤めが辛いから逃げるといいます。

おりつは乱暴を極めた2年半の務めで体は小さく痩せていました。おえいに対して、あなたはよく考えて同じ道をたどらないようにと忠告します。

白痴のふりをした理由

おえいはずっと考え、近くに住む松さんというばかのことを思い出します。おえいはばかになれば身を売られずに済むと考え、わざと梯子からおちて頭と背中を打ちました。

そこから助けられてから、おえいはばかなふりをしました。勤め先の主人は責任を感じる一方、役に立たなくなったため、お栄の面倒は見るが、母親の前借は拒むようになります。

そこまで話を聞いて、登は話の筋も通っていて、態度も普通だが、言葉つきは白痴そのものだと思います。

真似しているうちに習慣となり、身についてしまったのだと人間の心の強さというものに驚きます。

おえいは、男というものはいずれ壊れちまう車で、30を少し過ぎるとみんなダメになるといいます。

母親がおえいのおなかの子供を下ろそうというのは、まだおえいを食い物にするためだからだそうで、ばかなような女を珍しがって買う客もいるんだといいます。

登はおえいのおなかの中の子供の父親について尋ねますが、おえいは子供ができたとその男にいうとぱったり姿を消したそうです。

おえいは子供が欲しかっただけで、夫は欲しくなったそうです。自分1人では長い一生をやっていけないが、子供がいれば苦労のし甲斐があるといいます。

兄弟や妹弟のことも気になるが、自分は生まれてくる子供とじぶんのいっしょうをまもりとおすので精一杯だそう。

登は子を産むまでここで面倒を見るからここでおとなしくしておくよういいます。

登は赤ひげにこれまでの話をすると、赤ひげは勤め先の主人に訳を話して、子が生まれた後、下女として使ってくれるか頼んでみるよういわれます。

おかねの来訪

翌日、登は近六の主人を訪ね、理由を話して下女に使ってくれるよう頼みます。

主人はおえいが白痴だとなかなか信じませんでしたが、下女に使うという点は了承してくれました。

おえいはよく働くし、役に立つ。母親は決して寄せ付けないと約束してくれました。

登は養生所に帰り、重症のけが人の手当てをしていました。それが終わり食堂で茶を飲んでいると、津川がおかねという女が待っていると知らせに来ました。

津川が養生所にいることに登は驚き、津川は登にまた入れ替わりになるなといいます。

登はおかねを自分の部屋に入れておくよう津川にいい、おかねの所へ登が訪ねると、彼女はひどく酔っているようでした。

登はおえいに子を産ませるつもりで、子供を食い物にすることはやめた方がいいとおかねにいいます。

そこまで言ってしまってから、登は言い過ぎたと思いました。

おかねはひどく顔をゆがませ、子供たちを食い物にした証拠を見せろとひどく怒ります。

登はおりつという娘はどうしている、次郎は、兼次はとおえいから聞いたおかねの子供の名前を言います。

おかねは開き直り、子が親に尽くすのは当たり前だといいます。

その時赤ひげが突然障子を開け、おかねの顔を見つめていました。障子が明けたままだったので登が締めようとすると、臭いから開けておけといいます。

おかねはまた怒りますが、赤ひげは、子を稼がせる親はいるが、酒浸りになるために子を売る親はいないといいます。

おかねのことは町奉行に届け、今後同じ真似をしたら捕まるぞと脅すと、文句を言いながらおかねは養生所を出ていきました。

結末

赤ひげは少し反省し、あの女の罪ではなく貧しさと境遇のせいで、あのようになってしまったのだといいます。

登はそれにたいして、そうは思わないと言いました。自分はいろんな人間と接してきて、裕福でも中身が貧しいものに劣るものや、貧乏でも人間としては立派な人間がいたと主張します。

赤ひげはそれでも、悪い人間からもよきものを引っ張り出す努力をしなければならないと反論します。

このタイミングで登は自分が養生所に残るつもりだということを伝えます。

赤ひげはそれは許さないといいますが、この養生所には医者らしい医者が必要だといい、腕ずくでもここに残ると登は言い返します。

赤ひげは今に後悔するぞといい、登はお許しが出たのですねと赤ひげに言います。

赤ひげはもう一度今に後悔するぞといい、登はためしてみましょうといいました。

赤ひげはゆっくりと部屋を出ていきます。

感想

これで赤ひげ診療譚のお話は終わりになります。最後の終わり方がぱつっときれていたので、続編を期待させるような終わり方でした。

「おくめ殺し」では、松次郎を傷つけないように父親が黙っておいてほしいという親の愛情が垣間見ることができました。

「氷の下の芽」の白痴のふりをした"おえい"はわざと馬鹿なふりをすることで、体を売られないようにしたという頭の良さを感じます。

はじめ登は養生所を早く出ていきたそうでしたが、最終話では自分から養生所に残ることを選びます。その過程には様々な患者の苦悩や貧困が影響していて、とても深い作品だと感じました。

この赤ひげ診療譚のほかにもネタバレ載っているので、良かったらのぞいてみてください!これからも小説のネタバレ更新予定なので、よければSNSフォローお願いします。

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