「赤ひげ診療譚」ネタバレ感想 -著:山本周五郎(やまもとしゅうごろう)-

2021/09/27

カテゴリー:小説

赤ひげ診療譚

概要

このページでは赤ひげ診療譚の中の「徒労に賭ける」「鶯ばか」についてネタバレ感想していきます。

「徒労に賭ける」は、新しい登場人物に焦点があてられたものではなく、赤ひげや主人公の登の日常的な部分が書かれています。

どのような人を赤ひげは診療をしているのか、どのような考えで赤ひげは診察を行っているのかがこのお話で分かると思います。

「鶯ばか」は貧困について町の人たちの細かい心情が描かれていました。

目次

徒労に賭ける

登場人物

保本登…主人公。長崎への遊学経験をもち天野の後ろ盾もあったが、貧乏な小石川診療所に配属される。

新出去定(にいできよじょう)…別名赤ひげ。貧乏な医院を経営している。

竹造…薬の籠をもち、赤ひげのお供をしている。

〇おとよ…13歳の少女で、その年で客を取らされている。

〇和泉屋徳兵衛…質両替商でお金持ちだが、ケチな性格。

〇井田五庵…赤ひげが院長を務める養生所の医者。

〇湯島の荒巻・天神下の先生…町の医者。

(〇…このお話で初登場の人物)

みくみ町への外診

赤ひげと登、そして薬の籠をもつ竹造はみくみ町という娼家街へ外診をしに行く途中、赤ひげは若者にわざとぶつかられます。

若者は言いがかりをつけたそうですが、赤ひげは下手に出てへこへこしています。若者は仕方なしにその場を去ります。

登は怒りますが、赤ひげは若者に対して同情しています。赤ひげはそのままみくみ町につくと、半強制的に女たちを診察します。

17軒の娼家、8人の女を診察しましたが、その中に13歳の少女がいました。名はおとよというそう。赤ひげはその少女を無理やり診察し、女主人を𠮟りつけます。

赤ひげによると、その少女は客を取らされていて、病気もちの客に移されたとみられるはれものがありました。

赤ひげはその少女を親元に返すよう言いますが、女主人は親がどこにいるかわからないといいます。少女にも聞きますが同じようにわからないといいます。

赤ひげが少女を養生所に引き取るというと、少女は泣き出し、この家にいたいと訴えます。

するとそれを聞きつけた2人の男が入ってきました。しょうがなしに赤ひげは女主人に少女の薬を渡し、客を取らせないことを約束させ、その場を去ります。

娼家の主人は町医と裏で組んでいて、女の子が倒れるまで客を取らせ、寝込んでしまうと薬や食事も満足にさせず、早く片付くのを待っていると帰り際赤ひげは登に話します。

それでも赤ひげは娼家の主人を非難することなく、そういった存在を認め、改善されるように努力しなければならないといいます。自分は過去に盗み・売女・友や師の裏切りを経験したことがあるからわかるのだそう。

登の遊学の筆記と図録

養生所に帰ってきた後、赤ひげは登へ以前借りていた筆記と図録を返し、すまないと詫びます。登は赤ひげに最初提出することをかたくなに拒んでいましたが、今は恥ずかしい気持ちでいっぱいです。

赤ひげは、娼家の女主人たちの女たちを扱う冷酷で無情なやり方も貧困や無智からきているといいます。周りの人間はそれを克服するのは徒労、無駄な努力だといいます。

しかし、赤ひげは無智や貧困で苦しんでいる人たちこそ人間らしさを感じ、未来の希望を持てるように思うと登へ伝えます。

その後、半太夫に赤ひげの過去について尋ねます。彼によると、赤ひげは有名な門下だったそうで、登よりも新しい知識を持っているようでした。

それにもかかわらず、登の手記から学ぼうとしていて、赤ひげの謙虚な気持ちを知ります。それと同時に自分の軽薄さを恥ずかしく思います。

赤ひげの師匠は自分の後継者に赤ひげを選ぼうとしていましたが、それを断ったそうです。それを師を裏切ったことなのかもしれないと登は思います。

和泉屋徳兵衛

また別の日になり、赤ひげ・登・竹造は日本橋に和泉屋徳兵衛という質両替商の妻の診察へ行きます。赤ひげは徳兵衛がお金持ちだったので、いつものように高額な薬代を請求します。

それを徳兵衛は不当だと思っていたそうで、それを赤ひげに遠回しに伝えます。それに気づいた赤ひげは不機嫌になります。

登はよく赤ひげの外診のお供をしていましたが、赤ひげがそんなに言われるのを初めて見ました。町の偉い人や大名でさえも相当以上の礼を尽くして赤ひげを出迎えます。

赤ひげは体の中から不機嫌を追い出すようにみくみ町へ向かいます。

再度みくみ町へ

赤ひげは17軒全ての娼家を見て回りました。中には拒む家もありましたが、無理やりに上がり女たちを呼び出し診察して、病気に侵されていれば投薬し病に応じて女主人たちに忠告をしました。

素直に聞く家もありましたが、反抗する家もありました。そういう家の女主人は赤ひげを睨み殺そうといわんばかりの目つきでにらみつけていました。

おとよという少女のいた家に行くと、少女は逃げ出したと女主人は言います。赤ひげは詮索することなくでていきましたが、その後小声で医者に掛かっていればよいがといいます。

男たち

すべての診察を終えて帰ろうとする3人の前に2人の男が立ちふさがります。男は今後この土地に近づかないよう赤ひげを脅します。

男たちが言うには、赤ひげは偉い人も診察するので、そのような人が出入りすると客が怖がって近づかないそうです。しかし赤ひげも2年以上みくみ町へ通っているため心配いらないと反論します。

赤ひげは誰に頼まれたか言えと脅します。2人の男が手を挙げると、後ろから3人の男がやってきます。彼らはおとよの件でからんできた2人とわざとぶつかってきた男でした。

赤ひげは登と竹造に下がっていろといいます。突然その中の兄貴分の男がとびかかってきて、その後ほかの男も赤ひげにとびかかります。

骨の折れる音と肉や拳がぶつかる音がしたのちに、男たちの怒号と悲鳴が聞こえてきます。すると男たちは地面にのび、赤ひげはその上に乗っかっていました。

赤ひげは誰に頼まれたのか再度聞くと、男たちは井田五庵という赤ひげが院長を務める養生所の医院の名前を言います。登は驚きますが、他にも湯島の荒巻と天神下の先生という2人の五社の名前も出てきます。

赤ひげは男たちに手当をしてやり、折れたものには添え木をしてやります。赤ひげはやりすぎたと反省しています。竹造は登にこれが初めてではないと伝えます。過去に何度もあったようです。

結末

赤ひげは男たちに仕事が欲しければ養生所に来いと言い、やりすぎたことは勘弁してほしいと伝えます。

赤ひげによると、名前の出てきた3人の医者は娼家と結託して、女たちを不当に絞り、薬も治療もせず、高い薬代をせしめているといいます。

今日はその3人の医者への怒りが抑えられずやりすぎたそう。しかし赤ひげはそんな3人の医者に対しても彼らは人間だということを認めなければならないと言います。

赤ひげは、ほかに生きる手段がなく、非道だと分かっていてもやるしかないのだと同情します。

鶯ばか

主な登場人物

保本登…主人公。長崎への遊学経験をもち天野の後ろ盾もあったが、貧乏な小石川診療所に配属される。

新出去定(にいできよじょう)…別名赤ひげ。貧乏な医院を経営している。

〇卯兵衛(うへえ)…長屋の管理人

〇十兵衛…小間物の行商人。千両の鶯を捕まえた。

〇五郎吉…日傭取り。

〇おふみ…五郎吉の妻。

〇おきぬ…男癖が悪く、誰でも見境なく誘いかける。厚化粧で寸胴な体形。

〇おけい…五郎吉の家のお隣さん。男勝りな性格。

(〇…このお話で初登場の人物)

  

千両の鶯

登と赤ひげは、松平伊豆守の広い屋敷のそばにある伊豆さま裏の長屋に診察に来ていました。

長屋の管理人の卯兵衛の案内で、十兵衛という男の家に案内されます。彼には、おみきという妻、おとめという娘がいました。

卯兵衛が十兵衛について経緯を話してくれました。十兵衛は娘のおとめと一緒に銭湯に行ったとき、おとめが足を滑らせてこけてしまったといいます。

そのとたん十兵衛はそばにいた男を殴りつけ、娘を抱き起しながら、お前が転んだからよそのおじさんが心配してしまったじゃないかといったそう。

その様子がおかしく、殴られた男も呆然としていました。銭湯からでると、十兵衛は板切れを探し出し、ざるを持ってきて板の上に被せ、目の前に座り込みます。

妻のおみきが十兵衛に何をしているのかと尋ねると、ざるのなかには千両の鶯が中にいると十兵衛はいいます。それから今日まで、十兵衛は稼ぎもせず一日中ざるをながめているといいます。

差配から話を聞いた登と赤ひげは十兵衛を診断しますが、どこにも疾患と思えるところがありませんでした。赤ひげが十兵衛にざるの中に何がいるのか聞くと、十兵衛は鶯が見えないのかと不思議そうです。

もうすぐ値が付き、貧乏とはおさらばだと十兵衛は嬉しそうです。また来ると赤ひげは外に出ます。

おきぬ

それから登は伊豆さま裏の長屋へ5回ほど診療に行き、赤ひげに頼まれた五郎吉という日傭取りもついでに診ていました。

五郎吉の次男の長次とは仲良くなりますが、それ以外の五郎吉の女房のおふみやほかの三人の子供たちとはなかなか登と打ち解けませんでした。

長次は初めて会ったときから登の顔を見ると飛びついてきて、帰るまで離れませんでした。再度訪ねたとき、長次は銀杏の実をざるに一杯拾ってきて、次に来た時に先生にあげるよと約束してくれました。

長次によると、銀杏は伊豆さまの屋敷でひろったといいます。その時、登に1人の女が近づいてきて色目をつかってきます。その女は肥えて肩幅が広く寸胴な体形で、厚化粧でした。髪の毛も安物の油でてかっています。

女は自分をおきぬと名乗り、頭痛がひどいので診察しに来てほしいといいます。登は黙ってうなずき、すぐに五郎吉の家に入ってしまいます。

その帰りに管理人の卯兵衛のところによると、卯兵衛の妻のおたつがあの女はいけませんと忠告します。卯兵衛もとなりから飛んでもねえ女だと付け足しました。

卯兵衛によると、おきぬは千住の遊郭のこつというところで、長年勤めあげた女で、知らずに長屋に住まわせたそうです。彼女のおかげでいざこざが絶えたことがないと卯兵衛は不満そうです。

差配がおきぬについて詳しく話します。おきぬは千住で働いているときに、客の1人と夫婦の約束をしたが、そのおとこには所帯を持つ力がありませんでした。

そこで留吉という客をだまし、彼の囲い者という形でこの長屋に家を持ったそう。留吉がおきぬに貢いだお金をさらに夫婦の約束をした男に貢いでいるが、留吉は気づいていない様子です。

そのおきぬが貢いでいる方の男は遊び人風で、年も若く、おきぬは"うちの人"とその男を呼び、自慢していました。しかしおきぬはそれだけではなく周りの男にも手を出します。

老若もみさかいなく、隙あればさそいかけ、使いに行けば見知らぬ男を加えて帰ってくるそう。それをごまかすために、人の陰口をよくいいました。

その内容もかなり毒があり、浮気をしていただとか、牢屋に入れられたことがあるだとかを気の弱い家族に限ってよく言いました。最近は五郎吉のところの悪口をよくいうそうです。

卯兵衛はおきぬを追い出したいが、それができずに困っているようです。登はその話を聞いて、赤ひげはこれに対しても当人の罪じゃないというだろうと思います。

おきぬ1人の罪ではなく、貧困と無智と不自然な環境がそうさせるのだと赤ひげの言葉が本当に聞こえるように思い、登は苦笑いします。

登の母

その月の下旬に、登は自分の母親を訪ねます。母の八重は50手前だが、痛風で足を病んでねこんでいるそうです。

家につくと、父は診療に出かけていて留守で、母と天野のまさをがいました。彼女はまさか登が訪ねてくるとは思っておらず、顔を真っ赤にして逃げます。

母を診察すると、重度の通風で、立つこともままならないといいます。そこでまさをが看病を名乗り出たと母が教えてくれました。

登はまさをと久しぶりに会いましたが、姉のちぐさとは体つきも顔立ちも違っていました。やせ形で小柄で健康そうであり、とても愛嬌があります。

今の登にはちぐさよりもまさをのほうがはるかに好ましく、強く引き付けられました。

母がなんとなくまさをとの縁談の話をすると、登は恥ずかしくなり、のちに返事をするといいます。そのあとは養生所の話をしました。

母親は登が養生所の話を熱心にしていたのを聞いて、養生所に入れられたのを怒っていないということがわかり安心した様子です。

登も養成所に入ったことはかえって良かったと思います。帰り際まさをに母のことを頼むといい、家を後にしました。

外に出て登は自分が幸福な気分に包まれていることに気づきます。いままで気にしていたちぐさのことを思い出すと、むしろ嫌悪を催すほどでした。

登は養生所での経験が自らを成長させたのだと感じ、登は浮かれた気持ちを立て直すためにそのまま伊豆さま裏の長屋に向かいます。

一家心中

登が長屋につくと、卯兵衛が出てきて、五郎吉の家族が一家心中を図ったといいます。

彼によると、ネズミを殺す薬を飲んで自殺を図ったそうです。五郎吉の家についた時には末っ子は死んでいてほかの三人の子供は重症でした。

長次は登を見つけると、銀杏をあげるつもりだったのにお金がなくて売ってしまったと登に謝ります。登は来年またとってくれと長次を励まします。

そのためには生きなければいけないぞと長次を心の中で励ましました。その後長次以外の2人の子供が死に、残ったのは長次と夫婦だけになります。

卯兵衛の話

卯兵衛が登に晩飯を用意してくれたため、あとを長屋の女たちに任せ卯兵衛の家に行き、その日の出来事を聞きます。

朝に五郎吉の家族はでていったはずだが、戻ってきていて、お昼過ぎに隣の家のおけいという女房が隣でうめき声や子供が暴れるような物音をききつけ、それから大騒ぎになったといいます。

登が一家心中の理由を卯兵衛に尋ねますが、こういう暮らしをしている人間は死にたくなるような理由を山ほど抱えていて、わからないといいます。

卯兵衛に一度寝るよう言われたため、登は一度寝ることにします。しかし午前3時に登は起こされ、長次が登を呼んでいるといいます。

迎えに来ていたのは五郎吉の家とお隣のおけいという女で、五郎吉一家の心中を発見したのも彼女だった。おけいは移動しながら一言相談してほしかったと登へ愚痴ります。

兄弟より仲良くやってきたのに、どうして生き死にという大事なことが言えなかったのかというお慶の話を聞きながら、登はこういう人たちをよく見て来たと思いました。

貧しい人たちはお互い同士が頼りで、幕府はもちろん世間の富者たちは彼らのために何もしてくれません。

貧しい者たちは貧しい者たち、同じ長屋、隣近所だけしか頼るものはありません。しかし、その反面、強いものと弱い者の差が確実にあり、羨望や嫉妬、虚栄や傲慢が存在しています。

そのうえいつもぎりぎりの生活をしているので、それらがいつもむき出しに表れているように登は感じました。いつもは1すくいの調味料を借りる中でも、きわめてつまらない理由で仇敵のように恨みだすのだと。

登はおけいじしんも相談できないということはわかりきっているように思いました。

長次の話

五郎丸の家についた登は長次の枕元に座ります。すると長次が俺泥棒したんだよと語りました。

登は後ででいいといいますが、それでも長次は話し続けます。長次は島屋さんの家の裏の垣根をはがし、それを知った長次の父と母は怒り、みんなで死ぬことになったそうです。

長次は自分がすべて悪いといい、父と母だけは許してやってほしいと懇願します。しだいに長次の呼吸は浅くなり、白目が見えてきました。

おけいは登になんとかしてほしいといいます。そんなときこれまで一言も聞かなかった長次の母のおふみがそのまま死なせてやってほしいといいました。

おふみが言うには、夫が島屋さんによばれ、そのそばにおきぬがいたそうです。おきぬは長次がすることを見ていて、証人になると言い出しました。

おけいはそれを聞き、怒ります。おふみはそれをなだめ、私たちのことはそっとしていてほしいといいます。

明け方に長次は死んでしまいます。

おふみの回想

おふみは自分のことを語りだします。五郎丸とおふみはどちらも貧しく、五郎丸は17の時に頭を強く打つけがをして、思わぬ時に1種の発作をおこすようになりました。

その発作が起きると、自分が何のためにここにいるのか分からなくなり、仕事がままならなりませんでした。

おふみが20の時、岡場所におふみが売られることになり、おふみと五郎丸は一緒に逃げることを決めます。

水戸に3年いて、その間に2人の子供が生まれますが、その後生活がままならず、また江戸に帰ってきます。

五郎吉は発作こそ起こしませんが、飽きっぽく、何をやっても長続きしなかったので、おふみがどれだけ内職で頑張っても食べることすらままなりませんでした。

子供たちの中で唯一長次だけが気の回る性分で、3,4歳の時から知恵を絞って母親を助けてきました。晩飯の時に食べるものがないとき、おなかがすかないや腹が痛いといい、母親の食べる分を残します。

長次は滝気になりそうなものを拾ってきて、中には盗んできたものや、よその家の木の枝を折ったようなものもありましたが、実際その日の薪に困っていたので、𠮟ることができませんでした。

そんな時島屋のことが起こります。ある日島屋から呼ばれ、店にはおきぬがいて、長次が塀の板をはがしたのを見た、見ていた私が承認だといいます。

島屋の主人はこれから気をつけてくれればいいというだけでしたが、おきぬは前から手癖が悪かっただとか、泥棒根性があるなどといいます。

それまで近所の子供たちは長次のことをどろぼうなどとはやし立てていました。それが今回実際に盗みを犯したため、何も言えません。

それからおきぬと主人は話し合い、子供たちに言って聞かせると、子供たちもその方がいいといい、生きていてもしょうがない、苦労するだけだと分かった言いました。

おきぬはどうしてみんな放っておいてくれなかったのだといいます。登は人間なら誰だってそうせずにはいられないといい、おきぬはそれを聞いて笑ったように見えた。

生きて苦労するのはみられるのに、死ぬことは放っておいてくれない。もし助かったとして、私たちは少しでも楽になるのでしょうかといわれ、登はこれにこたえられるものはいるのだろうかと思います。

この問いは疲れ果てた人間全体の叫びだと登は感じます。外で女たちがわめく声が聞こえます。外に出るとおきぬの家のあたりで女たちがもみ合ってわめいています。

なかでも一番聞こえるのがおけいとおきぬの声で、互いに罵倒し、殴り合っています。

結末

半月のち、五郎吉夫婦は長屋を去りました。4人の子の遺骨を持って、礼回りをすると立ち去ったといいます。

その後登は伊豆さま裏を訪れると、おきぬの姿があります。以前と同じように登は誘惑されます。

登は毛虫に触ったように体中がチクチクし、嫌悪感に襲われました。

十兵衛のところを訪ねると、卯兵衛がいて、おきぬのことを聞くと、おきぬは長屋を追い出すんなら、五郎吉の心中のことを町方に訴えて出るといい、迷惑になるため放置することにしたそうです。

十兵衛の様子を見ると、前のころより肥えたらしく、いまだに籠の中をのぞいているようでした。

十兵衛は、鶯のさえずりを聞いていると、こころがすってするじゃないですかと言います。

感想

かなり後半の鶯ばかは長くなってしまったかもしれません。かなり登場人物も多く省いた人物も多いので、より気になる方は原作を読んでみてください!

長次の親思いな所は読んでいてかなりうるっときてしまいました。3,4歳でそんなことができるのは素晴らしいと思います。

2つの話の間に少し登の話も入ってきていて、確実に変わっていっていることを感じます。あと2話で登はさらに変化していくのでしょうか。

あと1週間以内に、あと2話分の記事を更新予定なので、ぜひSNSフォローお願いします!記事が更新されるとすぐに見ることができます!

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