【ネタバレ感想】「アキラとあきら」 著:池井戸潤(いけいど じゅん)【ネタバレpart1】

2022/09/12

カテゴリー:小説

banker

概要

こちらのページでは池井戸潤さんの「アキラとあきら」のネタバレをしています!

この作品は2006年から2009年に問題小説という文系雑誌に掲載された作品で、8年間単行本化されてきませんでしたが、テレビドラマがきっかけで2017年に単行本化された作品です!

2022年には映画化もされ、竹内涼真さん横浜流星さんのW主演なことでも有名ですよね。

このページはネタバレpart1となるので、続きが気になる方はぜひpart2part3まで読んでみてください!文庫本版もありますので、そちらも是非どうぞ!

目次

クジラアタマの王様

登場人物

・山崎瑛(やまざき あきら)…小学5年生。

・山崎孝造(こうぞう)…瑛の父。工場を経営している。

・千春…瑛の妹。

・ヤスさん…瑛の父の工場で働く従業員。

・階堂彬(かいどう あきら)…階堂家の跡取り。瑛と同い年。

・龍馬(りょうま)…彬の弟。

・階堂雅恒(まさつね)…彬の祖父。

・階堂一磨(かずま)…彬の父。東海郵船の社長。

・階堂晋(すすむ)…彬の叔父1。東海商会の社長。

・階堂崇(たかし)…彬の叔父2。東海観光の社長。

・徳山(とくやま)…階堂家の運転手。

ヤスさん

瑛(あきら)は家の工場の手伝いをするのが日課でした。瑛の父はグルグルと呼ばれている自動的に部品をより分ける機械を自分が発明したと瑛に自慢します。

小学5年生ながらも家が貧しいことを理解していましたが、父と母、そして妹の千春(ちはる)愛犬のチビがいてくれるだけで十分でした。

しかし、最近真夜中に父と母が喧嘩しているのをよく耳にするようになります。そしてある日、父の工場で働いていて、瑛と仲良しのヤスさんが辞めると知ります。

クリスチャンであるヤスさんは瑛にロザリオをお守りとして渡してくれました。後でヤスさんは辞めたのではなく、辞めてもらったということを知ります。

優しかった父は次第に元気を失っていき、激しく怒るようにもなります。ある日、学校で授業を受けていた瑛と妹の千春は担任に呼び出され、青い顔をした母親が迎えに来ます。

これから自宅に荷物を取りに行き、磐田(いわた)の祖父の所へ行くと母は言いました。自宅に着くといつも動いている工場が動いていません。

工場の中を覗くと、止めようとしている父を無視して10人ほどの男たちが工場の機械を解体し始めました。

母は瑛と千春を連れて、家に入り荷物をまとめます。母はチビは連れていけないと言います。瑛はヤスさんからもらったロザリオを持って母のところへ駆け出します。

夜逃げ

知り合いのおじさんが車を用意してくれていて、チビを残して駅へ向かいますが、バックミラーには追いかけてくるチビの姿が写ります。

車は速度を上げて、チビは次第に見えなくなりました。チビや父をいつ迎えに行けるのかと母に尋ねますが、何も答えてくれません。

磐田(いわた)駅に着き、迎えに来てくれた祖父たちの車で実家へ向かいます。大人たちは大きな金額や借金のことについて話しています。

翌朝、目を覚ますと母の姿がなく、取引先の所へ出かけたと言います。その夜母は帰ってこず、そのまた次の日、瑛はこっそり貯金箱を握りしめ、家を出ます。

バスと列車を使って何とか自宅の最寄り駅までたどり着きます。工場の中にはグルグルの残骸しか残っていませんでした。

同じ敷地にある自宅に入りますが、中はひどいほど荒らされています。チビの名前を呼びますが、返事はありません。

最寄り駅まで戻り中に入ると、心配した駅員が声を掛けてきます。瑛は反射的に駅舎を飛び出すと、目の前に車が迫ってきます。

ぎりぎりで止まった車から運転手が出てきて、丁寧な口ぶりで心配してくれて、怪我がないことを確かめると戻っていきました。

その車の中には瑛と同じくらいの年の少年が座っています。見下すような目線をしていました。その車が去った後、白いバンが止まり、母が出てきます。

どうやら瑛が出ていってすぐ、磐田の祖父の家に戻ってきたようです。父は知り合いのところに泊めてもらっているから心配ないと母は答えます。

もう1人のアキラ

車の中では階堂彬(かいどう あきら)が飛び出してきた少年の心配をしていました。

運転手の徳山(とくやま)が飛び出していってぶつかりそうになった少年の様子を見に行きます。

隣には弟の龍馬(りょうま)が乗っています。彬たちは取引先が招かれた伊豆の別荘でのパーティーへ向かっていました。

彬はなんでもできる優秀タイプでしたが、龍馬はむらがあり、兄への対抗心が強いのでした。

パーティーは祖父の雅恒(まさつね)からの慣習で、会長へ退任して彬の父の一磨(かずま)が社長になった後も続いているのでした。

会場に到着すると2人の叔父、(すすむ)と(たかし)叔父もいました。夜も更け、祖父は会社を分業する提案を一磨・晋・崇にしているようです。

社長を務める一磨に対して2人の叔父は嫉妬しているようで、分業することに賛成のようです。

彬はいがみ合うくらいなら、会社なんてなければいいのにと思います。

ガシャポン

瑛が目を覚ますと、家に2人組の男が訪ねてきて父を出せとわめいています。叔母は連帯保証人でもないから関係ないと彼らを追い出し、地面にへたれこみます。

しんとした家にチビの声が聞こえ、瑛は勝手口に飛び出すとチビが飛び込んできました。2週間かけてここまで歩いてきたようで体はボロボロでした。

瑛はもうチビのことを離さないと誓います。4月になり、瑛と千春は近くの小学校へ通うことになります。

すぐに友達ができた瑛ですが、ある日隣のクラスのガキ大将、ガシャポンが夜逃げしてきたんだろとバカにしてきます。

瑛は悔しさと怒りでガシャポンに殴りかかり2人は喧嘩しますが、担任の舞村(まいむら)先生に見つかり止められます。

その日の夜、父が帰ってきて、「すべて片付いた」と以前の険しさが顔から消えていました。自己破産を完了させ、知り合いの電機メーカーに就職できたようです。

翌日学校へ登校すると、ガシャポンが謝ってきます。昨日先生に怒られた後、父にそのことを話すと、困ったときはお互い様だと怒られたんだそう。

ガシャポンの父の経営する布団屋さんも一度潰れたことがあるようです。それ以来ガシャポンとは親友となります。

スーパーVS商店街

5年が経ち、瑛はガシャポンと共に地元の公立高校へと通い始めます。ある日、東京からの転校生北村亜衣(きたむら あい)がクラスへと転入してきます。

亜衣がクラスに馴染んだころ、ある女子が家の雑貨店を閉めて、引っ越すことになり泣いていました。

それを見たクラスのリーダー格の女子が亜衣のせいで引っ越すことになったと詰め寄ります。

亜衣の父はスーパーを立ち上げる責任者でしたが、会社の命令でスーパーを作るだけで父は関係ないと亜衣は否定しますが、その日以来亜衣の周りから人がいなくなります。

秋になり、瑛が部活終わり教室へ戻ると、亜衣が自分の靴を探していました。どうやらいたずらで隠されてしまったようです。

テニス部でもいじめられているようで、ガシャポンに亜衣を野球部のマネージャーに誘うことを提案します。

その夜、亜衣の家に電話をかけて近くの公園で待ち合わせします。

亜衣は自分の父がスーパーの開発部にいて、転校が多く、今回のようにいじめられることも多々あると語ります。

瑛はどうしてこの町にスーパーを作ろうと思ったのか気になり、亜衣は良ければ直接父に聞いてみればと言ってくれます。

亜衣の父は商店街の人たちと話し合いを続けているが、かなり反対されていると語ります。

彼は商店街も工夫をすることで商店街にしかできないことを見つけられると話します。工夫ができないお店は淘汰されていくんだそう。

帰りに亜衣を野球部のマネージャーに誘いますが、もう少し頑張ってみると亜衣は言います。

転校

家に帰り、母にうちは工夫がなかったから潰れたのかなと尋ねると、それでも難しかったと母は語ります。

どうやら父の工場で作った部品を納めていた大口の取引先、角田さんのところで不良品が見つかり、それの損害賠償をしたんだそう。

その後取引を打ち切られ閉業に追い込まれたようです。銀行からは目いっぱいお金を借りていて、貸してくれなかったようです。

ある日、亜衣の父が勤めるスーパーが買収されたと新聞に載ります。

亜衣の周りには最近友達が集まるようになっていて、瑛が登校すると数人の女子が亜衣の周りに集まっていました。

亜衣はスーパーは予定通り開かれるが、これからどうなるかわからないと語ります。

1週間ほどして、亜衣から電話があり、瑛は近くの公園へ呼び出されます。亜衣は父が仙台にできる新しいスーパーの開店準備をすることになり、転校することになったそう。

亜衣が転校した後、瑛とガシャポンは新しくできたスーパーを見に行きます。

オープンセレモニーでは、買収したケーズ食品の親会社、東海郵船社長の階堂一磨(かいどう かずま)が話をしています。

来賓の椅子には瑛と同い年くらいの少年も座っていました。

祖父の死

階堂彬は授業中、担任に呼び出され、祖父が亡くなったと知らされます。葬儀は盛大に行われ、800人が参列します。

奥の部屋では相続について父と2人の叔父が話し合っています。

5年ほど前、父の経営する東海郵船、2番目の弟である晋(すすむ)叔父が経営する東海商会、末っ子の崇(たかし)叔父が経営する東海観光へと分かれていました。

どうやら東海商会と観光の方は経営難で、叔父たちは現金に加えて、自分たちが立ち上げた赤字事業を東海郵船に押し付ける形で相続が完了します。

彬の母は叔父たちの自分勝手さに怒っています。

彬の父、一磨が背負った赤字事業は思いのほか厳しく、特に晋叔父から買い取ったケーズフーズの赤字が5億円以上でると父は嘆いています。

晋叔父はスーパー経営の専門家、友原(ともはら)を雇い入れていましたが、その人は過去の成功にしがみつき挑戦しないため辞めてもらったと父は言います。

崇叔父はその専門家の友人で辞めさせたことを根に持っているようです。父は他のスーパーマーケットを買収して、規模を大きくさせ赤字を消す予定だと話します。

北村さん

その週の水曜日、彬と父の一磨はゴルフへ出かけます。今回は珍しく取引先の人たちも同行するようです。

ゴルフ場に着くと、初老の男性と父と同年代くらいの「北村さん」が待っていました。

ゴルフを楽しみ、夕食を共にしているとき初老の男性の目に涙が浮かびます。彼はあなたになら会社を任せられると一磨に言います。

どうやらこの老人が経営する会社を買収するようでした。しばらくして彬はあるスーパーの開店式に招かれます。

北村という人は、デイリーキッチンという会社の開店準備を取り仕切る責任者ということを後で聞かされます。

彼はすでに仙台の新しいスーパーの開店準備に向かっていました。

彬は彼に娘さんがいるということも知っていたので、会社の都合で引越しさせられて可哀そうだと思います。

父の一磨は仙台出店は重要な拠点となると彬に説明します。あとで母から崇叔父の友人、友原が仙台にスーパーを立ち上げたと知らされます。

どうやら父のケーズフーズに対抗しているようで、崇叔父もその支援をしているそう。父はそれでもスーパーの出店を止めないようです。

北村さんは勝てるといっていて、父はそれを信じているようでした。

まとめ感想

瑛の父の会社は倒産し、夜逃げをして破産後就職して新たな生活を始めます。もう一人のアキラ、階堂彬の父も叔父たちに赤字事業を押し付けられ、悩んでいるようです。

2人のアキラは幼少期に出会っていて、スーパーの開店式でも出くわしたり、瑛と同じ学校に通う北村亜衣の父の会社を彬の父が買収したり、少しずつ2人は接点を持っていきます。

part2part3ではさらに瑛と彬は接点を持っていき、複雑な事態に巻き込まれていきます!続きが気になる方は是非ご覧ください!

以上となります!当サイトではほかにも伊坂幸太郎さんの書かれた重力ピエロクジラアタマの王様などネタバレしてますのでそちらもご覧ください!SNSもフォローお願いします!

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