【ネタバレ感想】重力ピエロ 著:伊坂幸太郎(いさか こうたろう)-前編-

2022/05/21

カテゴリー:小説

空中ブランコ

概要

このページは伊坂幸太郎さんの「重力ピエロ」のネタバレ前編となっています!

ネタバレ後編へは下のリンクから飛べますので、是非そちらもご覧ください。

泉水という兄弟が連続放火事件の謎を調査するというストーリーとなっていて、春を調査しているという探偵なんかも登場してきます。

兄弟は謎を解いて、放火犯を捕まえることができるのでしょうか。

目次

ストーリー

登場人物

・春(はる)…泉水の弟。町の落書きを消す仕事をしている。

・泉水(いずみ)…春の兄。遺伝子情報を扱う会社に勤める。

・父…春と泉水の父。公務員で現在入院中。

・母…春と泉水の母。病気で5年前に亡くなる。

・郷田順子(ごうだ じゅんこ)…日本文化会館管理団体に属する女。美人で春の調査をしている。

・葛城(かつらぎ)…売春あっせんをしていて高層マンションに住む。2枚目。

・黒澤(くろさわ)…泉水が同期の高木に紹介された探偵。

品のないやり方

泉水(いずみ)の弟の(はる)が高校生の時、ジョーダンバットを持ってきてほしいと電話で言われます。それはマイケルジョーダンのサイン入りバットで父のアメリカ土産でした。

春にバットを渡すと、これから体育倉庫へ行くと言います。そこでは親が県会議員で威張っている女生徒をレイプしようと男子生徒が集まっているそうです。

彼は男子生徒たちをバットで退治するんだそう。春は3人の男子生徒を殴り倒し、ありがとうと近寄ってきた女子生徒もバットでみぞおちを突きます。

春はあの女も腹立たしいんだといい、男子生徒たちが品のないやり方だから止めただけだと泉水に言います。

春が性的なものに嫌悪を抱くのは、母が突然家に押し入ってきた男に襲われてできた子が彼だったからでした。

犯人は未成年で30人以上の女性を襲い、その中には小学生や40近くの妊婦もいたのにもかかわらず、少年院で数年過ごすだけの刑で済んだのでした。

ある日、春から泉水の会社が燃えるかもしれないと電話があり、翌日会社へ行くと本当に放火にあっていました。

泉水の勤める会社は遺伝子情報を扱う会社で、以前にも会社の調剤室から睡眠薬が盗まれ何かの前触れだったのかもしれないと同期の高木は言います。

グラフィティアート

その日の夕方に、春から電話があり明日会うことになりました。春は地下道で壁に書かれた落書き、グラフィティアートを消していました。

彼は落書き消しの専門業者をしていて、研究して効果のある薬剤を作り上げていました。春は落書きの出来が悪いことに腹を立てているようでした。

落書きを消した後、春はこの上に絵を描く許可を貰っていました。今日の夜でも仕上げてしまうつもりのようです。

春は最近仙台の町で起きている連続放火のルールを見つけたと言います。放火が起きる現場の近くには必ずグラフィティアートが存在するんだそう。

春の外見は人並み以上でしたが恋人がいる気配はありませんでした。どんな美人が言い寄ってきても振り向かず、それが逆に魅力となっていたかもしれないと私は思います。

ストーカーのような女性もいて、泉水と父は隠れて「夏子さん」と呼んでいました。春を追いかけるのは夏だからでした。

2人は父のお見舞いへ向かいます。父は2年前に胃にがんが見つかり、手術をしましたが最近また転移が見つかって入院しているのでした。

放火のルール

個室のベッドで父は推理小説を読んでいました。春は泉水と父に放火のルールについて語ります。

春には新たに落書きされた情報が入るようになっていて、最近妙な落書きが増えてきたんだそう。

初めに放火された会社の斜め向かいの駐車場に「God」、次に「can」、3件目には「talk」と落書きがされ、それらは春が消したんだそう。

残りの5件の放火には「Ants」「goto」「America」「280」「century」とかかれていたんだそう。春は兄貴ならきっと解けると言います。

郷田順子

春と泉水はファーストフード店で食事をとり、明日放火の現場とグラフィティアートを見に行こうと約束します。

泉水は春に会社まで送ってもらい、放火の現場を見に行きました。

フロントの男によると、駐車場に書かれたが、落書き消しの若者に消してもらったと言います。

自分のマンションにつくと、見知らぬ美人に声を掛けられます。彼女はファーストフード店でも見かけたので泉水は驚きます。

日本文化会館管理団体の郷田順子(ごうだじゅんこ)だと名乗り、春のことを調べているんだそう。

春は精神状態が不安定で、ノートにびっしり有名人の名前を書き込んでいるのを見たと彼女は言います。

お母さまはどうしているか尋ねられ、泉水は5年前に病気で死んだと説明すると、彼女はショックを受けたようです。

泉水には春が精神的に不安定なことを否定できない思い出がありました。

葛城

泉水が大学生の時、飲み会から帰っている道中、春を見かけます。声を掛けようとすると、彼はゴミ袋を蹴り始めます。見たこともない形相で気が付くとそこにはもういません。

翌朝、春は一晩眠っていたように現れます。泉水は春が時々小さな爆発を繰り返しているように感じました。

郷田順子とあった夜、父から電話がかかってきて、次の落書きは「ago」だと予想します。

夜11時、春のことが気になり、泉水は地下道へ向かいます。そこでは春が球体の絵をかいていて、それは不思議な迫力がありました。

春に郷田順子という女性のことを話すと、兄貴は関わらないほうがいいと春は言います。

翌朝、葛城(かつらぎ)という男から泉水に電話があります。葛城は売春あっせんをしている男で、最近彼にDNA検査について説明をしたばかりでした。

明日の朝、会う約束をして電話を切ります。泉水は放火のあった現場を1件目から巡っていてたまたま喫茶店で探偵の黒澤に出会います。

昼過ぎ、春から電話があり、今晩放火があると知らされます。

張り込み

泉水が駆けつけると、田村蕎麦という店のブロック塀に「ago」と書かれています。父の予想は的中していました。

今までの傾向からグラフィティアートの見える建物が狙われていて、今回は「仙南ビル」「東北ゼミナール」が狙われそうだと春は予想します。

夜10時に春と泉水は放火犯を捕まえるために張り込もうと決めます。

2人はペットボトルの水を持ち公園の柵に座っていました。泉水は「仙南ビル」春は「東北ゼミナール」を見張ろうと決め、それぞれ配置につきます。

しばらくすると春から電話があり、放火されたから来てほしいと連絡があります。東北ゼミナールの角を曲がろうとすると、そこから郷田順子が出てきて足早に去っていきました。

放火をそのままにはしておけず、仕方なく春のほうへと向かいます。春はちょうどビルの反対側にいたときに放火されたと言い、犯人は男で逃げていくのを見たと言います。

もう消防署には連絡したから、疑われる前に逃げようと春は言います。泉水はここにいたほうがいいと思いましたが、春についていって逃げました。

まとめ感想

泉水と春は放火のルールを突き止め、近くにグラフィティアートが必ずあることに気づきます。

次の放火場所を張り込みますが、放火犯には逃げられてしまったようです。その現場から逃げた郷田順子葛城という男は何者なのでしょうか。

後編では全ての謎が解けて、放火犯も判明します。後半はテンポよく謎が解けていき、とても読んでいて気持ちよく感じました。

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