【ネタバレ感想】「アキラとあきら」 著:池井戸潤(いけいど じゅん)【ネタバレpart2】

2022/09/12

カテゴリー:小説

banker

概要

こちらのページは池井戸潤さんの「アキラとあきら」のネタバレpart2となっています!まだpart1ご覧になっていない方は是非そちらを先にご覧ください!!

前回までで、瑛は父の会社が倒産し、引っ越して新たな生活をスタートします。スーパーの立ち上げを行う北村亜衣の父の話を聞いて「工夫がないお店は淘汰されていく」ということを知ります。

もう一人のアキラ、彬は祖父が倒れ、遺産相続で彬の父と2人の叔父が揉めているようです。赤字事業を押し付けられた彬の父は他の会社を買収して、黒字化していくようです。

目次

クジラアタマの王様

登場人物

・山崎瑛(やまざき あきら)…山崎家の長男。

・階堂彬(かいどう あきら)…階堂家の跡取り。瑛と同い年。

・階堂一磨(かずま)…彬の父。東海郵船の社長。

・階堂晋(すすむ)…彬の叔父1。東海商会の社長。

・階堂崇(たかし)…彬の叔父2。東海観光の社長。

・紀田(きだ)…晋の親友で経営コンサルタント。

・安堂(あんどう)…産業中央銀行で東海郵船の担当をしている。

進路調査票

瑛は公立高校の2年生となり、進路調査票を書く時期となりました。

ほとんどの生徒が大学へと進学する中、瑛は家の借金のこともあり就職しようと考えていました。

その日の夜、残業終わりの父が帰ってきた後、母から会社を辞めなきゃいけないかもしれないと伝えられます。

どうやら取引先から不良品があったと1億円の損害賠償を求められ、責任が部長の父にのしかかっているそう。

瑛は以前経営していた父の会社の事件と重なって見えます。その案件は社長の息子の専務がとってきたもので、父によると何も経営のことはわかっていないと言います。

次の日の夜、父は今回のことが銀行に知られて、融資を打ち切られてしまうかもしれないと語ります。話を打ち切るように母は学校から電話があったと話します。

担任の先生が瑛が就職するのはもったいないといっているんだそう。瑛は「もし大学に行きたいと言ったら行かせてくれるの?」と説明し自分の部屋へと駆け込みます。

親友のガシャポンは大学へ進学するようで、何もできない自分の無力さを瑛は痛感します。

2度目の危機

夜の21時近く、家に誰かが訪ねてきます。若い男で「工藤さん」というようです。銀行の人のようで、専務から頂いた経費削減計画を父へ見せます。

その数字は都合の良いものばかりを並べた信憑性のないもので、一番状態を理解している父に話を聞きに来たようです。

次の日の夜も工藤さんは訪ねてきて、12時を超えても話し合いを続けています。

工藤さんは父が明日の経営会議で社長たちに社内の問題提起をすれば、融資の継続をしてもらえるかもしれないと彼は語ります。

父は次の日の経営会議で経営の改善を求めますが、専務の反応は相変わらずのようです。その後父は社長室に呼ばれます。

社長は磐田電機が取引再開に応じないため、責任者を下ろすことでけじめをつけたいと父に話します。

そんな中ドアがノックされ、銀行の支店長の「速水(はやみ)」と担当の工藤さんがやってきます。

速水にこれから磐田電機との取引はどうしていくのか尋ねられ、専務は今後は採算を改善していくつもりだと答えますが、速水はそれが口先だけだと見抜いているようです。

速水は工藤が家まで押しかけて申し訳なかったと父に言い、問題提起はしてくれたかと父に尋ねます。

父は提案しているというと、速水は意外にも融資をやらさせていただくと言ってくれます。

工藤さんは2晩ほど父と話し合って事業計画を練ったと社長へ言うと、社長は驚いているようです。

父は速水さんを玄関まで見送ります。速水は工藤が一度大学に入ったが家業が倒産して今の銀行へ入ったといいます。

だから息子さんを大学に行かせてやりたいから頑張っていると父に伝えます。

その日の夜、父は瑛を呼び出し、大学に行けと伝えます。父は今日1日起こったことを瑛に話して、今度工藤さんに会うことがあったら礼を言ってくれと父は言います。

上山ゼミ

産業中央銀行の人事部に勤める立花(たちばな)は東大の恩師、上山(かみやま)教授を訪ねます。

立花は上山教授に毎年、優秀な学生たちを銀行に推薦するよう頼んでいました。

資料請求のはがきの中で上山ゼミの生徒の上山教授に見せます。教授は1枚自分のゼミ生でないものが混じっていると1枚のけます。

教授は今見た中にぴか一の生徒がいると語ります。

階堂彬も就職について考えていて、家業を継ぐ気はさらさらありませんでした。上山教授の所で大学院へ進学する気もありません。

ある夜、第一志望のソニック・セントレア自動車から電話があり、明日面接することになりました。その後数社の面接が入り、予定が一杯になります。

午後11時ごろ、産業中央銀行の立花から電話があり、明日面接できないかと話をされます。予定が一杯だというと、夜遅くになってもいいから来てほしいと彼は言います。

面接にやってくる学生はどれも今一つで立花は焦っていました。

上山教授のゼミ生3人に電話をかけましたが、どの生徒も午前中にアポが入っていて内定を出されたらまずいと思っていました。

立花は階堂彬がぴか一の生徒だと睨んでいます。午後11時過ぎ、階堂という男が面接に来たと知らされます。

やってきた学生は酒とたばこのにおいがします。酒を飲んできたというのと、遅い時間に訪ねてきたことで少しムッとして、こんな時間に来るなんて非常識だと立花は階堂に言います。

役員の人に食事に誘われてやっと今解放されたところだと説明し、階堂は何時でも結構だといっただろうと帰ろうとしますが、立花は呼び止めます。

他の学生とは違う何かを立花は感じます。立花はゼミ生の先輩として産業中央銀行について話をしてくれました。

過去の成功体験

数日たち、父から産業中央銀行の人と話しているから来るようにと呼ばれます。父は銀行員2人と対峙していて、かなり雰囲気はピリピリしていました。

それぞれ安堂(あんどう)、保坂(ほさか)と2人は自己紹介します。

父はフェリーの投資のために100億円を融資してほしいと交渉しているようですが、あまり返事はよくないようです。

安堂は100億円は出せるが、フェリーではなく貨物船に投資したほうがいいと資料を広げます。

彬は銀行が会社の経営にこれほど真剣に踏み込むことに驚きます。父は過去の成功体験に捕らわれていたと安堂のアイデアを受け入れました。

立花は上山教授を訪ね、ゼミ生の新田(にった)と階堂を採用できたとお礼を言いに行きます。

帰りがけに経営戦略セミナーの成績を見に行くと良いと教授に言われ、立花は別の校舎へ向かいます。

そこには大学院生を抑えて、学部生の山崎瑛が1位を取っていました。山崎瑛はゼミ生じゃないと教授にはじかれたハガキの学生でした。

立花は走り出し、山崎瑛の連絡先に電話を掛けます。

模擬稟議書

産業中央銀行に4月に入社してきたのは約300人で、毎年3週間かけて新人研修を行っていました。

最後の5日間には、取引先データから金を貸すか貸さないか決める稟議書(りんぎしょ)を作成することとなっていました。

稟議書の上位2チームはファイナルへと進み、片方が銀行役、片方が会社役に別れて戦うようです。

このプログラムが今後の昇進を決める重要なものだと皆理解しているようです。

階堂彬のチームは検討事項を増やして分量で勝負し、ファイナルに残ることができます。待っていたのは山崎瑛のチームでした。

くじを引いた結果、彬たちが会社役となります。参考にするデータは本当の会社のもので、申し込みの額も自分たちで決めるようです。

データを計算するとこの会社は来月約4000万円足りず、破産することがわかります。

いよいよ発表の時間となり、融資部長も壇上に上がります。階堂彬は融資希望額を7000万円、返済期間は5年で担保なしだと宣言します。

融資部長は実際にこの会社から融資の依頼を受け、3か月後に倒産し、初めて貸し倒れを食らっていて不思議に思います。

どうやら階堂彬はデータを粉飾し、利益が出ているように見せかけているのでした。粉飾の事実を知らないのは山崎瑛たちのチームだけです。

融資部長はこの粉飾が良くできているとデータを見て感服します。瑛たちはこの融資のデータの不自然な点を見抜き、融資見送りだと発表しました。

伴埜

彬の隣のデスクに座る伴埜(ばんの)は強引に融資をすることで有名で、取引先からの評判はとても悪いようです。

しかしこの本店内では評価が高く、今回も10億円の融資の案件をとってきて、彬に稟議書をまとめるよう押し付けます。

内容をみると、10億円まるまる投資信託に充てるようです。

彬は開発資金などもあの会社は必要になると思うと伴埜に提案しますが、この商品にリスクなんてないと振り切ります。

課長の野崎や副本店長の小島にも同じことを進言しますが、問題ないと業績を伸ばすことしか頭にないようです。

東海商会の階堂晋は産業中央銀行の安堂(あんどう)に100億の融資を申し込んでいました。どうやら伊豆に高級リゾートを建設するようです。

2人以外にも晋が連れてきた経営コンサルタントの紀田(きだ)という男が同席しています。

安堂は融資が厳しいことを伝え、投資すべきなのは本業だと晋を諭します。晋は仙台へのスーパーの投資も失敗に終わっていました。

融資を断られた紀田はメインの銀行を、産業中央から三友(みつとも)銀行へ移そうと晋に提案します。

どうやら崇叔父の経営する東海観光も三友銀行へと変えるようで、安堂は叔父2人が紀田という男に踊らされてないか心配しています。

彬の稟議書

ある日の午後、彬を訪ねてきた重原製薬の経理部長が運転資金を融資してほしいと話をしに来ます。

額は5億円で、伴埜に話を持っていくと資料を奪われ、この件は俺に任せろと出ていきます。

翌日、また徳原製薬の部長が尋ねてきて、伴埜に融資を考え直してほしいと言われたと彬に相談します。

徳田部長によると、前回10億円融資した際には、本業の運転資金は別に貸すと言われたそう。小島副本店長もそう約束したと彼は語ります。

重原製薬の社長は約束と違うと激怒していると言います。伴埜は夜通し稟議書を書き直しています。

現場は重々しい雰囲気に包まれます。

本店長の柿沼は小島副本店長に先方に断ってくるよう指示を出します。その翌週、重原製薬の社長は話が違うと訴えてやると激怒したと重原製薬の徳原部長から知らされます。

彬は徳原に、投資信託を売却してみてはどうかと提案します。価格は購入当時よりも高騰していて、今売れば損は出ないのでした。

小島副本店長はそのことを提案せず、自社の利益を優先させたようです。彬は打ち合わせの中で本店長たちに投資信託を売却してみてはと提案しますが、小島は自分の案件が逃げていくのが嫌で怒ります。

打ち合わせが終わると、伴埜は彬につかみかかり、余計なことをするなと脅します。小島副本店長も彬を呼び出し、取引先と勝手な交渉をするなと諭します。

翌日、重原製薬は弁護士をつけたようで、本店長は彬に稟議書を書くよう指示します。どうやら投資信託を売却して一度返済を行う流れのようです。

それ以来、小島副本店長は彬の意見をまともに聞くようになります。

まとめ感想

瑛と彬はどちらも東大へ進学し、どちらも産業中央銀行へ就職します。2人は研修でファイナルへ進み、実力を証明します。

彬は伴埜が無計画に融資を決めた投資信託を売却することを提案し、初めは反抗していた小島副本店長も彬のいうことを聞くようになったようです。

瑛も彬も銀行員が会社の経営に踏み込んで真剣に戦っている様子を目撃していて、それも銀行に就職する決め手になったのかもしれません。

叔父の階堂晋は100億を借りて高級リゾートを建築しようと企んでいるようです。part3ではこの高級リゾートのせいで瑛と彬はトラブルに巻き込まれていきます!

ぜひ続きもご覧ください!下のリンクから飛べます!他にも伊坂幸太郎さんの書かれた重力ピエロクジラアタマの王様などネタバレしてますのでそちらもご覧ください!SNSもフォローお願いします!

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