【ネタバレ感想】「クジラアタマの王様(くじらあたまのおうさま)」 著:伊坂幸太郎(いさか こうたろう)【ネタバレ前編】

2022/08/14

カテゴリー:小説

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概要

このページでは伊坂幸太郎さんの「クジラアタマの王様」のネタバレ感想をしています!

令和4年の7月に文庫本化したばかりの作品で、有名な著者さんということもあり人気を集めています。

あるお菓子メーカーに勤める「岸(きし)」は夢と現実がリンクしていることを知らされます。

異物混入事件やウイルスの拡大と主人公は戦っていきます。

今回はネタバレ前編となるため、読んでみて続きが気になる!と思った方は是非後編の方もご覧ください!

目次

クジラアタマの王様

登場人物

・岸…お菓子会社の社員。

・妻…岸の妻。妊娠中。

・小沢ヒジリ…人気ダンスグループのメンバー。

・牧場課長…お客様サポートのベテラン。

・広報部長…岸の会社の広報部長。元弁論部。

・池野内征爾(いけのうち せいじ)…都議会議員であるきっかけで岸と知り合う。

・栩木(とちぎ)係長…岸の会社の係長。物腰柔らかい女の人。

・瑛士(えいじ)君…栩木係長の1人息子。

マシュマロのお菓子

」はテレビに映るハシビロコウという鳥に見覚えがあると「」に言います。

人気ダンスグループのメンバーの「小沢ヒジリ」がそのテレビに映っていてコメントをしていました。

岸の勤める会社はお菓子メーカーで、小沢ヒジリに新商品のマシュマロのお菓子のCMの出演を依頼していましたが、断られていました。

しかし、ヒジリ本人は岸の会社のお菓子をよく食べているという噂です。

妻が「テレビで宣伝してくれたらいいのに」と言うと、本当にヒジリが「最近よくマシュマロのお菓子を食べているんですよ」と言ってくれました。

翌朝、岸のスマホには友人たちからヒジリが岸の会社のお菓子を宣伝していたという内容のメールが届いています。社内もこころなしか浮足立っているようです。

部長は非常にご機嫌で、「やっぱり売れると思っていたんだよ」と大声でしゃべっています。

お客様サポート課

翌朝、妙な感覚に襲われ、横に寝ていた妻はうなされていたと語ります。出社すると牧場課長と部長から呼び出されます。

最近お客様サポート課から広報担当へと異動となったのに、牧場課長からお客様サポートに戻るよう言われます。

どうやら岸の引継ぎでやっていた鮫岡(さめおか)がお客様からの電話に良くない対応をしてインターネット上で炎上しているんだそう。

マシュマロに画鋲が入っていたというクレームで今調査を行っていると課長は語ります。上の人たちが焦ってしまって、今日会見を開くと言います。

岸は以前、都立の高校が修学旅行でカナダに行って新型インフルエンザを持ち込んだとして炎上し、記者会見を開いた校長が疲弊し自殺したという一件を思い出します。

保管されていた治療薬が火事で大量に消えてしまったことも人々の不安をあおったようです。課長は今回の会見の対応マニュアルを作成してほしいと岸に頼みます。

広報部長

記者会見を担当する広報部長はまだ小沢ヒジリによるお祭り気分が抜けていないようで、岸と牧場課長は嫌な予感がします。

広報部長は岸の作った資料を持ってくるのを忘れ、待機していた岸たちにSOSを出しませんでした。

部長は記者たちに「工場に画鋲なんて入るわけがないんですよ」と言ってしまい、インターネット上ではさらに炎上しているようです。

明日は始発で会社に出勤するように牧場課長に頼まれます。多くの苦情の電話が殺到することが見込まれていました。

翌朝、会社の始業時間となると、電話が一斉になりだします。やっと息を付けたのは14時半でした。

就業時間の18時となり電話がつながらなくなり、皆疲れ切っています。そこへ後輩が駆けつけ、会社の前にテレビが来ていると知らせてくれます。

嫌な予感に岸が外へ出てみると、広報部長がテレビの取材を受けています。岸が取材は遠慮するよう伝え、部長を引き戻しますが、「俺はちゃんと説明をしたいんだ」と部長は動きません。

部長を何とか帰らせますが、記者は執拗にコメントを求めてきます。岸は苛立ち、「もし原因がうちになかったらどうしてくれるのか」と逆に記者に尋ねます。

記者はいい映像が取れたと満面の笑みです。そこへ牧場課長がやってきて、画鋲が入っていたというクレームが嘘だったと判明したと伝えます。

都議会議員

嘘のクレームをした女の夫が岸の会社へきて謝罪をしてくれました。その夫は都議会議員で池野内征爾(いけのうち せいじ)というようです。

池野内さんの話によると、家に転がっていた画鋲を息子が飲んでしまい、同居している義母に怒られるのが嫌でお菓子の中に画鋲が入っていたという嘘をついたんだそう。

テレビでは池野内さんが度々登場し、謝罪を繰り返しています。その一か月後、池野内議員からメールが突然届きます。

メールにはハシビロコウの画像が添付されており、見覚えはありませんかと書かれています。岸もその鳥に見覚えがあり、会うことになったのでした。

池野内議員は夢の中でハシビロコウに会い、岸の顔が書かれたビラを夢の中で見たと言います。そのビラには8ケタの番号が書かれていて、それは岸の生年月日と一致していました。

胡散臭いと思った岸は「どうして議員になったのか」と話をそらします。彼は8年前金沢のホテルで火事に遭遇したことだと語りました。

岸は同じく金沢のホテルで火事に遭遇していて驚きます。当時の火事の話を2人がしていると、一人の若者が近づいてきます。

校長の自殺

その若者は「前に俺の高校の校長が自殺したのが納得いかない」と池野内議員にむすっとした態度で訴えかけます。

どうやら新型インフルエンザ騒動の中修学旅行にいった高校の生徒のようです。政治家ならああいうのをどうにかしてほしいといい、ため息をついて去っていきました。

池野内議員は彼に同情したようで、現在の国の予防接種やワクチン接種についての不満を述べます。

インフルエンザの治療薬が火事で大量に燃えた件についても、調べてほしくない人たちがいたのではないかと彼は推測します。

池野内議員は去り際に小沢ヒジリという方もビラに載っていたと言います。彼は岸に小沢ヒジリの握手会のチケットを渡し、小沢ヒジリも火事に遭遇したか確かめてきてほしいと頼みます。

岸と妻は一緒に小沢ヒジリの握手会に向かいます。岸たちの番となり、直接ヒジリに「8年前金沢のホテルで火事に会わなかったか」と聞くと、一瞬ヒジリの顔が固まります。

続けて、ハシビロコウの画像を見せた時、スタッフにはがされてしまいますが、振り返るとヒジリもこちらを見ていました。

責任や仕事量

宣伝担当の栩木(とちぎ)係長は暗い顔をしています。どうやらまた小沢ヒジリの会社にCMの依頼をするようで、部長は張り切っているようです。

部長は過剰接待で何とか説き伏せると話をしています。栩木係長は小沢ヒジリの会社の社長は接待を嫌う方なのでやめておいた方がいいと忠告しますが、部長は聞きません

栩木係長の進言通り、部長たちはよいしょをしすぎて、社長とぎくしゃくしてしまったようです。部長はその尻拭いを栩木係長に押し付け、自分は知らん顔しています。

その日の夜、池野内議員に呼ばれて岸は会いに行きます。岸は「どうして責任や仕事量は偏ってしまうのでしょうね、」と議員に愚痴ります。

池野内議員はそういった人には多くの報酬が与えられるべきですが、なかなか難しいですよねと答えてくれました。池野内議員は昨日の夜、夢を見たと言いますが、岸は覚えていません。

来訪

会議に出席している栩木係長の顔は疲れ切っています。部長は不満そうな顔で小沢ヒジリの件はどうなのかと係長へ尋ねます。

彼女は一度社長に会えたことを伝えた後、「これはあんまりではないでしょうか」と部長の尻拭いをさせられていることを訴えかけます。

部長は「栩木係長のようなやり方ではどうせ結果なんて出なかったんだ」と言い訳し、会議室をしんとさせます。

そこへ広報部の女性が入ってきて、小沢ヒジリが受付にきていると伝えます。栩木係長に用事があるようです。

小沢ヒジリは栩木係長と一緒にいる岸を見て、あの時あった人だと気づいたようです。どうやら岸に会いたかったようです。

彼は実際に金沢のホテルで火事に逢っていましたが、大っぴらに話したことがなかったため、岸に話を聞きたかったようです。

ハシビロコウにも見覚えがあると言います。池野内議員から聞いた夢の話を一通り話し終え、今度サンファンランドというところでイベントがあるからとチケットを4枚渡してくれました。

サンファンランド

岸と妻はサンファンランド行きのバスへ乗ります。同じバスには栩木係長とその息子の瑛士(えいじ)君も乗っていました。池野内議員もイベントに誘いましたが、仙台で愛人と会う予定があるんだそう。

イベントのショーを楽しみ、バスに乗って帰ろうとしたとき、瑛士君がトイレに行きたくなり、結局4人ともトイレに行くことにしました。

列の最後の方に並びなおしてもう少しで乗れるというところでが降り出します。ずぶ濡れになり、妊娠している妻が心配になります。

急にバスの列が動かくなり、スタッフから雷で橋を動かす装置が壊れ、島から出られなくなったと伝えられます。島の小型基地局も雷でやられ、スマホも使えないようです。

スタッフの人たちが相談した結果、今夜はキャンプエリアを開放し、備蓄用の食料を無料で提供することとなりました。

客の多くが若者だったため、野宿を希望してくれた方が多く、岸たちはキャンプを優先的に使わせてもらえました。

翌日の朝5時、外で若者たちの声が聞こえ目を覚まします。雨は上がっていましたが、外にはがかかっていて遠くまでは良く見えません。

しばらくしてコテージのドアがノックされ、ドアを開けてみるとそこには小沢ヒジリが立っていました。

どうやらヒジリも島に閉じ込められたようです。彼は備蓄されていた岸の会社のお菓子を渡してくれました。

話を聞くと、霧が濃くて船やヘリコプターは来れそうにないと言います。その時外から悲鳴が聞こえます。

ツキノワグマ2頭とトラ

小沢ヒジリと岸が駆けつけると、うつぶせに倒れた男の背中が大きくえぐれ、血が流れ出ています。

まだ息をしていると、小沢ヒジリは負傷者を抱え、楽屋へ連れていきました。動物の声が聞こえ、猟銃を持った外国人が現れます。

どうやらツキノワグマ2頭とトラが逃げ出したようです。猛獣使いは蹴られて意識を失っているようです。

岸は急いでコテージに戻り、係長たちにそのことを伝えます。

妻はトイレに行きたいようで、岸も一緒についていくことにしました。2人は簡易トイレまで行き、トイレを済ませて帰ろうとすると背後に黒い影が見えます。

クマの方を向いてゆっくり後ずさりしてコテージまで近づきます。クマはゆっくり歩きまわりながらこちらを気にしている様子です。

妻が無事コテージに逃げ込み、岸も逃げ込もうとしたとき、別のコテージから若い男女が出てきてクマの方へ進んでいきます。どうやら気づいていない様子です。

岸は合図を送りますが、それに気づかず男女は悲鳴を上げ、背中を見せて逃げ出します。クマも素早く動き出し、一瞬で男性に追いつきます。

岸は足音を鳴らしこちらに注意を引き付けます。クマは岸の方を向きいら立っているようです。

駆けつけたヘリコプター

妻たちを危険にさらせないため、コテージに戻れず、足元の棒を持ち戦う決意をします。

クマが突進してきた瞬間、小沢ヒジリがバク転をしながらクマに蹴りを入れ、クマは横に転がっていきます。

コテージから飛びだした栩木係長がお菓子を投げ込み、クマの注意を引き付けたところに岸は棒を投げつけます。

当たり所が良くクマは動かなくなりました。ロープで縛ろうと周りを見渡すと脱走したもう一頭のクマとトラがこっちを見ています。

クマがゆっくり近づいてきた時、上空から轟音が聞こえます。その音のせいか、前方のクマは姿を消していました。

ヘリコプターでやってきたのは池野内議員で、サンファンランドの事件を知って濃霧の中無理やり駆けつけてくれたようです。

そのヘリコプターは愛人の女性が持っていたものだと言います。

まとめ感想

お菓子メーカーに勤めるは池野内議員と出会い、夢の中で一緒に戦っていることを知らされます。歌手の小沢ヒジリも夢の中に登場しているようです。

雷の影響で島に閉じ込められた岸たちは猛獣と出くわし戦う決意をします。ヒジリや池野内議員の助けもあり、無事に生き延びることができたようです。

夢と現実は何か関係があるのでしょうか。ネタバレ後編ではその謎が明らかになり、さらに大きな事件に岸たちは巻き込まれていきます!

ぜひ後編の方もご覧ください!下のリンクから飛べます!他にも同じ伊坂幸太郎さんの書かれた重力ピエロ一人称単数などネタバレしてますのでそちらもご覧ください!SNSもフォローお願いします!

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