【ネタバレ感想】神去なあなあ日常(かむさりなあなあにちじょう) 著:三浦しをん
2022/04/02
カテゴリー:小説
概要
「神去なあなあ日常」は2014年に映画「WOOD JOB!(ウッジョブ!)」の原作にもなった話題作です!
この作品を通して林業について知った方も多いのではないでしょうか。
著者は「三浦しをん」さんで、これもかなり著名な方で、教科書に載るような多くの作品を書いている人です。
全く林業を知らない少年の勇気が林業の仕事を始めることになり、次第に林業のことや神去村を好きになっていくストーリーとなっています。
この話の続きにあたる「神去なあなあ夜話」というお話もネタバレ記事書いてますので、是非そちらもご覧ください!
目次
ストーリー
登場人物
・勇気(ゆうき)…主人公で神去村で林業をすることになった。直紀へ好意を寄せる。
・ヨキ…勇気と一緒に住む30前後のガタイのいい男。
・中村清一(なかむらせいいち)…勇気やヨキを雇っている中村林業の主人。
・祐子さん…清一さんの奥さん。山太のお母さん。
・山太…清一さんと祐子さんの1人息子。神去地区で唯一の小学生。
・みき…ヨキの奥さん。
・ノコ…ヨキとみきが飼っている白いむく犬。
・直紀さん…祐子さんの妹で、中地区で1人暮らしをしている。
・繁ばあちゃん…ヨキの母でヨキとみきと同じ家に住む。
・巌(いわお)さん…勇気と同じ班のおじさん。
・三郎じいさん…勇気と同じ班で向かいの家に住む。
ヨキ
勇気(ゆうき)は高校を卒業したらフリーターで生活していこうと思っていましたが、担任の先生が仕事を紹介してくれます。
古い駅舎につくと、軽トラが現れそこからガタイのいい男が出てきます。
その男に携帯を奪われ、電池パックを川に放り投げられてしまいました。帰ろうと思って駅に引き返しますがもう終電はありません。
男に乗れと言われ、軽トラに勇気は乗り込みます。彼の名前は「ヨキ」と言い、30歳前後のようでした。
ある森林組合の事務所に下ろされ、そこで20日ほどの研修を受け、終えると、またヨキが軽トラで迎えに来ました。
事務所があったのは神去村の中地区と呼ばれる場所で、これから向かうのは村の最深部の「神去地区」と言う場所のようです。
神去地区は100人ほどが住み、大半が60歳以上のようでした。
親方さん
ヨキは親方さんと呼ぶ中村と言う表札の場所へ下ろしました。
中には中村清一とその息子の山太(さんた)がいました。どうやら勇気がここで働くのはもう決定しているようです。
清一さんは30代半ばくらいで、その奥さんの祐子さんはかなりの美人でした。
しばらくの間、ヨキの家で居候することになり、ヨキの家に向かいます。
ヨキは奥さんの「みき」と、祖母の繁ばあちゃんと、白いむく犬の「ノコ」と暮らしていました。
はじめての山仕事
まだ暗い中、勇気はヨキと一緒の班になって山の中に入ります。メンバーは親方の清一さんと巌(いわお)さんと向かいの家の三郎じいさんでした。
その日は雪のせいで木が曲がってしまうのを直すために縄をかける作業でした。勇気は縄を結ぼうとしますが反動で斜面を転げ落ちます。
本当に帰りたいと勇気は思います。皆慰めてくれましたが、翌日は勇気とヨキは清一さんの屋敷の手入れをすることになります。
最初は木に登るのが一苦労でしたが、次第にうまくなり、1日で手入れを終えることができました。作業を終えた清一さんたちにもほめられます。
その日、屋敷には直紀(なおき)という女の人が来ていました。勇気は直紀に渡しそびれたというおかずを届けてくると言って走り出します。
直紀さんに自分がこれを持つから駅まで送ってほしいと後ろに乗せてもらい、村を抜け出そうとします。
しかし、すぐヨキが軽トラックで追いかけてきて、駅に着いた時につかまってしまいました。
神隠し
この日、勇気たちは苗木の植え付けをしているとき、ヨキの携帯に着信があり、清一さんの息子の山太がいなくなったと知らされます。
急いで村へ戻ると、村の人たちは集まってきていて、繁ばあちゃんによると神隠しに会ったと言います。
勇気は笑いそうになりますが、皆の顔は真剣でした。
どうやら今年はオオヤマヅミ様の大祭があるんだそう。そのことを尋ねると、お前には関係ないと言われてしまいます。
神隠しにあったのなら神去山に探しに行こうということになり、清一さんたちは山に向かいます。
清一さんは勇気も連れていくと言います。周りの村人たちは反対しますが、勇気は神去村の一員だと言ってくれました。
神去山
神去山につくと、山太の名前を呼びながら、山を探し回ります。すると、小道の先に小さな人影が飛び出してきて、山太が清一さんに飛びつきます。
山太によると、赤い服を着たきれいなお姉さんに連れていかれて果物を食べたと言います。三郎じいさんは神様に会ったんだなとつぶやきます。
村に帰ると山太の無事を祝い、宴会が開かれます。
明日、裏山で花見が開かれることになっていて、その会場の清掃と道づくりをすることになりました。
裏庭には神去桜という大きな桜が咲いているんだそう。年に1回村中の人たちが集まってそこで花見をするようです。
作業を終え、翌日裏山を登ります。そこには豪華な桜の大木がありました。そこには多くの住人が集まっていて、勇気もお酒を飲みます。
歩いていると、直紀さんと出会います。直紀は以前山太を探すのに手伝ってくれてありがとうと話しかけてくれました。
勇気の恋
夏が近づき、仕事にもなれ、勇気は夜の時間を持て余していました。花見以降、直紀のことばかり考えていました。
ある時、同じ村の下地区に住む村田のおじいさんが亡くなり、葬式が開かれることになりました。そのお客さんの中に直紀を見つけ、ヨキに何をしている人なのか尋ねます。
ヨキはどうやら勇気が直紀のことを気になっているのを察したようです。彼女は中地区に住んでいて、清一さんの奥さんの祐子さんの妹なんだそう。
そして神去小学校の先生をしていると言います。その夜、散歩をしているとバイクに乗っている直紀を見つけます。
直紀を呼び止め、何を話そうか焦ってしまい、付き合ってくださいと言ってしまうと、彼女は好きな人がいるからと去っていってしまいました。
直紀の気になる相手
本格的な夏がやってきて、勇気は今度ある夏祭りに直紀を誘おうと計画していました。ヨキによると、自分たちはウナギの屋台を出すんだと言います。
夏祭りが始まると、周辺の村からも人がたくさん押し寄せます。ウナギは日が暮れる前に完売し、清一さんと話をします。
清一さんは東京の大学に通っていて、そこで奥さんを見つけてきたんだそう。妹の直紀は去年教職を取って引っ越してきたんだと言います。
どうやら直紀は姉の結婚相手である清一さんのことが気になっているようです。
その後、勇気は山太にお願いされ、綿菓子を買ってやり、金魚すくいをしていました。
2人がすぐ紙を破いてしまうと、後ろから直紀が話しかけます。横顔はとてもきれいで、上手に金魚をすくいました。
山太は清一さんのところへ戻り、直紀と勇気は話をします。直紀は死ぬまで神去村にいるんだそう。
勇気はつい「清一さんがいるから?」と言ってしまい、直紀は泣きそうな顔をしてあんたには関係ないと去っていってしまいました。
山根のおっちゃん
山仕事を終え、明日はオオヤマヅミさんの祭りの寄り合いがあると清一さんが言います。それは神去山に住む神様の名前なんだそう。
寄合には神去村の男たちがほとんど全員集まってきていました。今年は48年ぶりの大祭だといいます。
メドを務めるのはヨキと言うことに決定し、山根のおっちゃんが勇気は参加させるのは反対だと言います。
山根のおっちゃんは道で挨拶しても無視されていて、あちこちで悪口を言っていました。
とりあえずその件は保留となり寄り合いは解散となりました。
それから一週間後、神去小学校の裏手の山が火事になります。
村の人たちは必死に消火活動を続け、勇気とヨキも火の中に飛び込み、ホースで消火を続けました。
結局、西の斜面の半分を燃やし尽くし、500本の杉の木を消失させました。山火事の時の活躍を見て村の人たちは勇気に対する印象が変わったようです。
山根のおっちゃんも挨拶を返してくれるようになりました。
48年ぶりの大祭
祭りの日、深夜2時にほら貝の音が町中に鳴り響くと、ヨキが起こしに来ました。
11月も半ばで、寒さに震えながら向かうと村の男たちが集結していました。
歌いながら神去川に入り、震えながら神去山へ向かいます。1時間ほど斜面を登り続けます。神去山は人の手が入っておらず巨木の集合体でした。
とても大きな杉の前につくと、これから伐採すると清一さんは言います。どうやら48年の大祭とは神去山の巨木を1本切り倒す祭りのようです。
斜面には丸太が何本も並べられていて、その上を滑らして山から運び出すようです。
ヨキは斧を入れて、千年杉を切り倒します。木の幹に2本棒を突き刺し、これがメドだとヨキは言います。
結末
50人ほどの男たちは巨木に乗り、勇気も上に乗ります。どうやら巨木にまたがって斜面を滑り降りていくようです。
杉の木は加速していき、1度落ちかけますがヨキが助けてくれました。杉は大きな岩にぶつかったりしながら広場に到着します。
広場には多くの村人が集まってきていました。みんな手をたたき千年杉の周りに集まってきます。
そのあと宴会が始まり、皆お酒を飲みます。ヨキはメドの権利を勇気に譲ると言い、その権利とは好きな女の子にまぐわいを申し込めるという権利でした。
直紀は顔を赤くしています。勇気はとりあえずデートしてほしいといい、直紀は了承してくれました。
まとめ感想
勇気は林業について何も知りませんでしたが、神去村で過ごしていくうちに林業や神去村を好きになります。
火事で活躍したりして、神去村の人たちも勇気のことを認めていったようです。
とても文章も読みやすい作品で、登場人物への感情移入がしやすかったです。キャラクターがたっていて、読んでいて自分も神去村を好きになれました。
映画化もされている作品なので、ぜひ映画や小説のほうもご覧になってみてください!!
続編の「神去なあなあ夜話」のネタバレ記事も読んでみてください!!
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