【ネタバレ感想】「神去なあなあ夜話(かむさりなあなあやわ)」著:三浦しをん(みうら しをん)

2022/07/17

カテゴリー:小説

nightforest

概要

このページでは「三浦しをん」さんの「神去なあなあ夜話(かむさりなあなあやわ)」のネタバレ感想をしています!

Wood Job(ウッジョブ!!)」として映画化を果たした「神去なあなあ日常」という本の続きにあたるお話となっています。

神去なあなあ日常のネタバレ感想もしているので、そちらをご覧になってから戻っていただくことをオススメします!

都会に住む「勇気」が林業をすることとなり1年が経ち、神去村での生活に慣れてきます。そんな中、勇気は神去村で起きた20年前の大きな事故を知ります。

目次

神去なあなあ夜話

登場人物

・平野勇気(ひらのゆうき)…神去村で林業を行う20歳。

・清一(せいいち)さん…中村林業株式会社のおやかたさん。

・ヨキ…勇気が居候している家主。勇気と同じく清一さんの下で働く。

・巌(いわお)さん…勇気とヨキと同じ班の50代。

・三郎じいさん…同じく巌さんと同じ班の70代半ば。

・繁ばあちゃん…ヨキのおばあちゃん。ともに暮らす

・みきさん…ヨキの妻。

・山太(さんた)…清一さんの息子。

・祐子さん…清一さんの嫁。山太の母。

・直紀さん…みきさんの妹で勇気が恋する相手。神去村で学校の先生をしている。

繁ばあちゃんの昔話

ある日、雨で早く仕事を上がった「勇気(ゆうき)」たちに「繁(しげ)ばあちゃん」が昔話をしてくれました。

昔この辺りは大きな池があって、そこには蛇神が住んでいたそう。ある不作の年、人々は採れた作物を納める代わりに、蛇神様に池の水を無くしてくれるよう頼みます。

蛇神様は自分の住処が無くなることに悩みましたが、村の族長の1人娘を嫁にしてくれるなら願いをかなえてくれるそう。

そのおなごは了承し、次の日池が消えていました。ある日、娘の家に「ナガヒコ」という男が尋ねてきます。

どうやらその男が蛇神様が化けた男で、娘は両親に内緒でナガヒコと結婚します。

ナガヒコは毎晩家にやってきますが、明け方どこかに帰っていくので、娘は紐をナガヒコの腰につけて後を追います。

たどっていくと、神去山の奥に白い大蛇の姿で眠っていました。池が無くなったためオオヤマヅミ様のところに身を寄せていたようです。

蛇神様は自分の姿を見られ、もう一緒にいられないと言いますが、娘は離れたくないと抱きつき、一人と一匹は仲良く村で暮らしたという結末でした。

神去村の名の由来

山太が帰った後、夜ご飯を食べながら繁ばあちゃんはさっきの話の続きをしてくれました。少し大人な内容のようです。

蛇神様と娘の間には14人の子が生まれ、次第に娘が老いてきます。蛇神様は老いを知らなかったので戸惑います。

蛇神様は娘が死んでからも7日間そばにいますが、体が腐ってきてようやく死を理解します。

娘の体を飲み込み一緒になろうとしますが、何の意味もありませんでした。

心配したオオヤマヅミ様は新しい嫁を探せばいいと提案し、蛇神様は村の色々な娘と交わりますが、なにか違うと気づきます。

どうやらお互いに1番好きな相手とではないと本当の官能は味わえないということに気づきます。

蛇神様は自分の生まれ故郷に帰ると決め、オオヤマヅミ様に村を見守ってくれるよう頼んで去っていきました。それで神去村と呼ばれるようになったそう。

ちっちゃいであんた

勇気は20歳になって運転免許を取得し始めます。恋をする相手、「直紀(なおき)さん」をデートに誘うためでした。

好きだという気持ちは伝えていましたが、直紀さんは姉の結婚相手、「清一さん」のことが好きなようで、ためらっているようです。

免許を取得する1週間前、歩いて40分かけて直紀さんの家へ向かいます。家の前で待っていると、20代後半くらいのが車に直紀さんを乗せてやってきます。

どうやら同僚の先生のようです。勇気はもう少しで免許が取れそうなことを伝えると「今度ドライブに連れてって」と言われ気持ちが少し明るくなります。

あの男みたいにいい車は持っていないとひがむと、直紀さんは「ちっちゃいであんた」と言い残し、家の中に入ってしまいました。

翌日、卒業検定を受けるため、ヨキの嫁の「みきさん」に車で送ってもらいます。昨日へこんで帰ってきた勇気に、ヨキとのなれそめを話してくれました。

小さい頃からみきさんはヨキのことが好きでしたが、ヨキは女子にモテモテで、高校進学後も毎回違う女の子を連れています。

みきさんも他の男と付き合いますが、ヨキのことが頭から離れかったそう。ヨキは高校を卒業して清一さんの元へ就職した後、神去村で花見が開かれます。

ちょうどみきさんも村に帰っていて、ヨキとその時既成事実ができたんだそう。

みきさんは津で大学へ通い一人暮らししていたところ、ヨキが家を訪ねてきてみきさんの気持ちを聞いて、結婚することになったと言います。

16人の死

11月に入って、勇気は山仕事を終えた後、稲わら配達のバイトを始めます。ヨキの軽トラを借りて、時々直紀さんは助手席に乗ってくれました。

ある時、直紀さんを家に送り届けた後、家でお茶でも飲んでいく?と誘われます。

村の昔話を聞いていると、清一さんが高校生の時両親を亡くして、親方になったということを聞かされます。

直紀さんは墓地に行ったら分かると言います。次の土曜日、勇気は神去村の墓地へ行ってみると、清一さんの両親は同じ日に亡くなっていました。

急いで村中の墓を見て回ると、ヨキの両親もその日に亡くなっていて、合計で16人の村人が同じ日に亡くなっています。

勇気は怖くなり、しばらく動けませんでした。

マイクロバスの事故

11月半ばにオオヤマヅミさんのお祭りが開かれます。深夜に起きて川でみそぎをした後、神去村で山仕事をしている男たち40人が神去山に登ります。

目的の栗の木まで着くと、代表の男が伐採を行うという行事でした。勇気は隣を見ると、山根のおっちゃんがいました。

不愛想で勇気はおっちゃんのことが苦手でした。彼の懐にはオコゼの干物が入っています。魔除けのために持っているそう。

伐採が無事に完了し、勇気は山根のおっちゃんにヨキや清一さんの両親がなぜ亡くなったのか尋ねてみました。

当時、神去村では「大峰講(おおみねこう)」という、奈良の大峰山に行くための講(お金の積み立て)が盛んだったそう。

20年前もマイクロバスを借りて神去村のメンバーが向かう途中、事故にあい谷底にマイクロバスが落ちてしまったそう。

乗っていた乗客はみんな亡くなり、清一さんとヨキの両親など働き盛りの人が16人死んでしまったといいます。

20年前のことだから掘り返さずそっとしておいてほしいとおっちゃんは言います。

遭難

祭りの2日後、ヨキと勇気は南の山へ鉄塔までの道を確認しに向かいます。

勇気はヨキのお供に選ばれたことに期待されていると嬉しく思いました。南の山の山頂に着き、急いで山を下りていると、勇気は足首をひねってしまいます。

ヨキはここで夜を明かそうといい、携帯で清一さんに連絡を取り、毛布とライターを持ってきてもらいます。

勇気は自分の思い上がりが恥ずかしく、けがをしたことを悔しく思います。深夜となり、焚火をしながら、ヨキに20年前の事故のことを聞いてみました。

当時、小学5年生だったヨキは思春期が始まりかけていて、大峰講に出かける両親に挨拶もろくにしなかったそう。

ヨキはそのことが悔やまれてならないといいます。昼過ぎに事故があり、電話に出た繁ばあちゃんはへたり込んでしまいます。

村中大騒ぎで、混乱に陥っていました。村役場が車を出してくれて、近くの体育館に案内されます。

体育館に次々に遺体が運ばれてきて、ヨキは両親の遺体を確認しました。体育館はすすり泣きの声が溢れていたそう。

清一さんの所には家のお金目当ての人たちが群がりますが、清一さんは弁護士を付けて山と資産を守り、高校卒業後、親方になったようです。

ヨキがみきさんと結婚したのは、家族へのあこがれと、ヨキの苦しみを知っている相手がみきさんだからだと勇気はなんとなく理解します。

朝になり、ヨキにおぶわれながら山を下ります。途中で意識を失ってしまい、気づいたらヨキの家でした。

既に夕暮れ時で、2,3日このまま安静にするよう言われます。

オコゼの干物

勇気はやることもなく縁側に座っていると、山根のおっちゃんが探し物をしています。どうやら以前見せてくれたオコゼの干物をなくしたようです。

山根のおっちゃんはお稲荷さんへ行くからと、勇気を連れ出します。軽トラをしばらく走らせ、小さな鳥居と両端にキツネの像がある社にたどりつきます。

おっちゃんと勇気は、お稲荷さんへ失せ物探しのお願いをします。次の日には、村中の人がお稲荷さんにおっちゃんがお願いしたことを知っていて、村の情報網に驚きます。

なんとその翌日に、オコゼがおっちゃんの自宅の濡れ縁に置かれていたようです。勇気はお稲荷さんの力が本物だと感動します。

土曜日で仕事が休みだったので、ヨキの軽トラで直紀さんに会いに行きます。

青い顔をした直紀さんが出てきて、どうやら就職祝いに清一さんからもらった万年筆を無くしてしまったと言います。2人はお稲荷さんへお願いしに行くことにしました。

大事に使っていたという直紀さんに少し嫉妬して、勇気は少し愛想悪く返事してしまい、車内は無言に包まれます。

お稲荷さんにおねがいをして、車内に戻ると、直紀さんはなぜ不機嫌になったのかと聞いてきます。話をそらして、最後に万年筆をどこで見たのか聞きます。

歯医者に行く前に見たと言っていて、保険証のしまっている場所を見ると一緒に万年筆が出てきました。

軽トラに乗り帰ろうとした勇気にキスをして直紀さんは家に入ります。

仕事の休憩時間に山根のおっちゃんのオコゼはお稲荷さんが届けたのではなく、オコゼを盗んだ誰かだと巌さんが教えてくれます。

山根のおっちゃんがお参りをしたことを知った犯人がお稲荷さんの天罰が怖くて、おっちゃんにオコゼを返したようです。

山太の初めてのクリスマス

12月も半ばになり、直紀さんは忙しいようであまり会えていませんでした。学校で例の男の先生と直紀さんが一緒にいることが勇気は気になります。

みきさんに聞いてみるとその男は奥田先生というようです。

ある日、ヨキの家に山太が尋ねてきて、「クリスマスって知ってる?」と聞かれます。今までクリスマスを山太は知らなかったようです。

小学校の友達にクリスマスについて教えられ、父親の清一さんにいうと「考えとく」と返事をされたと彼は語ります。

清一さん的には贅沢に慣れたものが親方になるのはあまり喜ばしくないと、プレゼントを買ってあげるか考えているそう。

山太は超合金のおもちゃが欲しいんだそう。

結局清一さんの家でクリスマスパーティーが開かれることとなり、清一さん一家に加えて、山のメンバーと直紀さんを招待することに決まります。

勇気はクリスマスパーティーのことを直紀さんに聞いてみると、少し沈黙して行くと答えます。何か言いたいことがあるようでしたが、そのまま電話を切りました。

勇気は名古屋へ行き、直紀さんに赤いマフラーを買い、山太とヨキ夫婦、繁ばあちゃんへもプレゼントを買います

23の夜、山太にばれないようにアカマツの木を清一さんの庭へ運び込み、電飾で飾りつけします。

次の日ランドセルを背負った山太が出てきて、クリスマスツリーを見て喜んでいます。元気よく学校へ出かけていきました。

静かな激怒

夜となって、ヨキ一家と勇気は清一さんの家へ向かいます。まだ直紀さんは到着していないようで、残業をしていると祐子さんが教えてくれました。

先に乾杯をして料理を食べ始めます。山太はサンタさんから手紙のお返事が来たと嬉しそうです。

手紙には神去村は遠いためプレゼントを届けるのは難しいので、代わりにお父さんからもらってくださいと書かれていました。

山太は嬉しそうにお父さんのお手製の木製ロボットを出してきます。勇気は明らかに偽物臭いと思いましたが、山太は喜んでいるようです。

山太を寝室まで送る途中、外から白いセダンが近づいてくるのが見えます。外へ飛び出すと、ちょうど目の前に直紀さんがいました。

奥田先生ですか?」と勇気が聞くと、直紀さんはたまたま山根のおっちゃんの奥さんがついでに乗せてくれたといいます。直紀さんは静かに激怒していました。

直紀さんは持ってきたサラダを祐子さんに渡して、階段を上がり、寝室へ入っていってしまいました。座敷にいたみんなはどよめき、今のは勇気が悪いと口々に言います。

みきさんは明日直紀さんを家まで送るよう言い、謝るよう助言します。

結末

次の日、清一さんの家まで軽トラで迎えに行き、直紀さんを家まで送ります。勇気は謝りますが、彼女は不機嫌そうです。

直紀さんはイブに二人きりのデートに誘ってくれなかったことにも怒っていると言います。

直紀さんの家につき、着替えて出てきた直紀さんに赤いマフラーを渡します。そして勇気は自分からキスをします。

バイクにまたがった直紀さんにメドの権利を使っていいか尋ねます。

メドの権利とは去年のオオヤマヅミさんの大祭の時に勇気が獲得した好きな女の子にまぐわいを申し込める権利でした。

神去なあなあ日常のネタバレのほうに詳しく書いてます!)

直紀さんは「仕事が終わったら電話して」と言い残し、バイクで学校へ向かいました。勇気は喜びで飛び上がります。

まとめ感想

神去村での生活に慣れてきた「勇気」は、村の名前の由来に当たる昔話や20年前起きた事故のことを知ります。

恋する相手「直紀さん」との距離も縮まり、嫉妬や喧嘩もしますが最後には許してくれたようです。

単行本版では勇気が自分のパソコンに、村での生活を記録するテイストで話が進んでいきます!ネタバレでは省いた勇気の心情なども読めるので、是非実際の書籍も手に取って見てください!

神去なあなあ夜話」の前の話にあたる「神去なあなあ日常」のネタバレ記事もあります!下のリンクからページへ飛べます!

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