坊っちゃん(ぼっちゃん) -著:夏目漱石(なつめ そうせき)- ネタバレ感想後編

2022/03/09

カテゴリー:小説

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概要

このページは「坊っちゃん」のネタバレ後編となっています。まだ前編見ていない方はそちらをご覧になってから戻ることをお勧めします!!

「坊っちゃん」ネタバレ前編へ

前回までで、主人公の坊っちゃんは山嵐と赤シャツのトラブルを知ります。どちらが良い人で悪い人なんでしょうか。

目次

ストーリー

登場人物

・坊っちゃん…本作の主人公。あるきっかけで田舎の教師となる。

・清(きよ)…坊っちゃんの家の下女で、坊っちゃんのことを可愛がってくれる。

・校長…薄ひげの色黒な狸のような男。

・赤シャツ…女のような優しい声の教頭。

・古賀…うらなりの唐茄子に似た顔の英語教師。

・堀田…坊っちゃんと同じ数学教師で、山嵐というあだ名を付ける。

・いか銀…骨董品を売買する男。山嵐に紹介され坊っちゃんはそこへ下宿することになる。

・吉川…画学の教師で、「野だいこ」とあだ名をつけた。

・遠山のお嬢さん…町で一番の美人で、皆にマドンナと呼ばれている。

気の毒なうらなり君

それから2、3日後に清からの手紙が届きます。その手紙にはあだ名をつけてもいいが、他の人に言うと恨まれる原因になるから控えるようにと書かれていました。

手紙を読んでいると温泉に行く時間が遅れてしまい、停車場まで来ると偶然うらなり君と出会います。

さきほどのお婆さんの話を思い出し、うらなり君が気の毒になったので、停車場のベンチの席を譲ります。

電車が来るまで話をしていると、停車場の入口から色白の背の高い美人と母親とみられる人が入ってきます。

うらなり君はそれをみて、急いで女の人のほうへ向かいます。どうやら美人はマドンナのようで軽く挨拶をしているようですが会話の内容は聞こえません。

話し相手がいなくなり、しばらくぼーっとしていると、入口へ赤シャツがやってきます。3人に挨拶をして、こっちへやってきました。

やがて電車が来て赤シャツは真っ先に上等車両へ入ります。上等が5銭で、下等が3銭なので、近い距離だと大体の人が下等に乗りますが、マドンナとその母親は上等へと乗っていきました。

うらなり君は下等の前に立ち躊躇しますが、俺の顔を見て下等へ飛び込みます。わざわざ上等の切符を買っていましたが、うらなり君が気の毒で自分も下等へ乗りました。

赤シャツと女

温泉について湯船につかるとまたうらなり君に会い、話をしますが、なにやら会話が面倒な様子でこっちから切り上げて温泉を出ます。

赤シャツには会わず、外に出るといい月だったので、川の土手を歩いていました。すると前に男と女が歩いているようで、気になったので後ろから追いついて顔を覗き込みます。

それは赤シャツで、顔を見ると会釈もせず振り返って帰っていきました。

その後学校で川の土手で会いましたねと声を掛けましたが、会っていないとしらばっくれます。

赤シャツからの提案

ある日、赤シャツが家まで来てくれと呼びつけます。家まで行き、話を聞くと、転任者が一人出るからその分浮いた給料を上げてやろうかという提案でした。

誰が転任するのかと聞くとうらなり君だと言います。転任先は延岡というとても山の中なんだそう。いまいち要領をつかめず帰り、そのことを宿のお婆さんに話します。

宿のお婆さんは事情を知っていて、なぜ転任になるのか教えてくれました。古賀の家では暮らし向きが悪くなり、古賀の母親が校長に給料を上げてくれと直談判したそう。

すると、しばらくして古賀は校長へ呼び出され、延岡の学校への転任を命令します。

そこだと給料が増えますが、転任は嫌なので元の給料でいいからここにいたいと校長に言いましたが、もう代わりの人は呼んでいるから無理だと言われたんだそうです。

赤シャツのところへ行って、給料を上げる話を断らないと気が済まなくなり、また家へ向かいます。

赤シャツにその話を伝えますが、理解しかねて呆然としています。下宿の婆さんの話をしますが、それが本当かどうか確かめたのかと聞かれ反論できません。

とりあえず断りますとだけ言ってその場を去りました。

うらなり君の送別会

うらなり君の送別会の朝、いか銀が嘘つきで本当は暴力をふるっていないことを知った山嵐が謝ってきました。

俺は何も言わず山嵐の机の上の一銭五厘を拾います。そして山嵐に送別会へ行く前に家へ寄ってほしいと言います。

家へ来た山嵐に、うらなり君のことや給料を増やすと言われたことをいうと、山嵐は自分を免職する気だなと考えました。

送別会が終わった後、赤シャツと野だを殴ってやらないかと山嵐に提案しますが、それだとこっちの落ち度になってしまうので、何か策を考えてみると言ってくれました。

会場へ着き皆がそろうと、校長や教頭が1人ずつうらなり君がいなくなることは淋しいと演説しました。それから1時間くらいして、皆酒に酔い、席上は荒れていきます。

それから芸者が2、3人入ってきて、そのうちの一人が赤シャツ知り合いのようで挨拶をしますが、赤シャツのほうは知らんぷりして出ていってしまいます。

芸者が来てからさらに送別会は盛り上がり、皆うらなり君の転任を惜しんでいるのではなく、酒を飲んで遊んでいるようにしか見えませんでした。

うらなり君は袴も脱がず、皆の狂乱っぷりを眺めていて、そばにいってもう帰りましょうと声を掛けますが、先に帰ったら失礼だと動こうとしないのを無理やり外に連れていきました。

中学校と師範学校の喧嘩

翌日学校は休みでしたが、があったので教師たちは生徒を連れて参列しなければなりませんでした。それに俺も引率して行列を作って歩いていました。

しばらく歩いていると、曲がり角で中学校と師範学校が衝突して先頭の方で揉みあっているようです。

中学校と師範学校は基本的に仲が悪く、資格的には師範学校が上だったので、列を先に譲りました。式まで引率した後、午後の余興まで時間があったので一度下宿に帰りました。

清への手紙の返事を書こうとしていると、山嵐が牛肉を持って話に来ました。2人で牛肉を食べながら赤シャツと関係がありそうな芸者の話をします。

山嵐は赤シャツが芸者を連れて宿屋に入ったところを詰問することを提案します。赤シャツがよく行く宿屋の前の宿屋に泊まり込み、2週間は張り込むつもりだとやる気満々です。

計画を企んでいると、赤シャツの弟式の余興を見に行こうと山嵐を誘いに来ます。山嵐が余興の踊りは是非見るべきだと勧めるので、一緒についていきます。

会場へ着き、余興の踊りを山嵐と眺めていると、奥で喧嘩が起こったと赤シャツの弟が呼びに来ました。中学の方が朝のいざこざに因縁をつけたんだそう。

山嵐はその現場へ駆け出し、自分もそのあとを追います。2人は生徒たちを止めようとしますが、教師の癖に喧嘩に参加していると石を投げられたり棒で突かれたりします。

すると巡査がやってきて、敵も味方も皆逃げてしまいました。山嵐は鼻から大量に血を流しています。自分もかなり血を出しているようです。巡査が来て、山嵐と一緒に警察署へ行き、事の顛末を述べて下宿に帰りました。

新聞社の噓記事

翌日、全身が痛く寝転びながら新聞を読んでいると、昨日の喧嘩の記事が載っていました。そこには教師の2人が喧嘩を主導して起こした事件だと嘘の記述が書かれています。

学校へ行くと、皆が自分の顔を見て笑っています。山嵐の鼻は紫に膨らみ痛々しい様子です。校長と教頭は新聞社に抗議してくれて、災難だったなと励ましてくれました。

帰りに山嵐は赤シャツが怪しいと言い、もしかしたらこの事件で山嵐は免職にされるかもしれないと言います。こっちはこっちで相手の弱みをつかもうと山嵐は意気込みます。

次の日の新聞に取り消しはなく、その次にようやく小さな取り消しがされました。それを校長の狸に言いましたが、どうしようもないのだと言われてしまいました。

それから3日ぐらいして、山嵐が例の計画を実行に移すと言い出します。山嵐は校長に呼び出されて辞表を出せと言われたんだそう。

それを聞いて、公平じゃないから俺にも辞表を出すよう校長へ言いに行きます。校長の狸は数学の先生がいなくなるからと必死にお願いされて、可愛そうになりとりあえず引き下がりました。

張り込み開始

山嵐は辞表を出し、皆に挨拶をして港まで帰ったふりをしましたが、隠れて引き返し、赤シャツの行きつけの宿屋の目の前の宿屋に立てこもります。

最初の2晩は一緒に見張りをしましたが、全く現れる気配がありません。7日目にはもう止めようとも思いましたが、山嵐は頑固に続けています。

8日目には卵を買って山嵐の座敷へと入ると、何か嬉しそうな顔をしています。赤シャツのお気に入りの芸者が宿屋に入ったんだそう。

赤シャツはずるいやつだから後から入ってくるかもしれないと見張っていると、野だと赤シャツの声が聞こえてきます。

どうやら山嵐たちの悪口を言っているようです。腹を立て、飛び降りてぶちのめしたく思いますが、ぎりぎりこらえます。

2人は宿屋に入りました。宿屋に乗り込もうと提案しますが、乱暴者だと宿の者にさえぎられると山嵐に止められました。

朝の5時まで我慢し、宿屋から出る2人の後を山嵐と一緒に後をつけます。終電が過ぎていたので2人とも歩いて帰っていました。

人気のない所まで来ると、一気に後ろから追いつき前に回り込みます。山嵐が赤シャツに芸者と一緒に宿屋に泊まったことを問い詰めます。

野だが逃げようとしていたので、持っていた卵を野だに投げつけます。赤シャツに証拠はないだろうと言われ山嵐は赤シャツを拳で殴ります。

おれも野だをめちゃくちゃに殴り、2人とももう沢山だと降参します。山嵐は今夜5時まで宿屋にいるから警察を呼びたければ呼べばいいと帰りました。

結末

下宿に帰ると、すぐに荷造りをしました。山嵐のところへ行くと寝ていたので、辞表を書いて校長あてに郵送しました。

その宿屋の下女に警察はこないかと聞きますが、来ていないと答え、2人で大いに笑います。東京へ着いてから山嵐と別れ、の所へ向かいます。

清は涙を落とし、東京で清と家を持つことにしたと決意を伝えます。その後、ある人の紹介で鉄道の技手となりました。

清は今年の2月に肺炎で亡くなり、坊っちゃんと同じ墓に入りました。

まとめ感想

ある日、赤シャツから「うらなり君」が転職することを聞かされ、それが「赤シャツ」の企みであることを知ります。

その後、山嵐も退職させられることになり、山嵐と坊っちゃんは赤シャツが芸者と密会している現場を突撃し、ボコボコにして東京へ帰ってきたのでした。

田舎の人間関係の複雑さがとても表れていて、それに立ち向かう坊っちゃんの爽快さがとても読んでいて気持ちいいものでした。

以上となります!!他にも斜陽阿弥陀堂だよりなどネタバレ記事ありますので、そちらもご覧ください!!

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