【ネタバレ感想】「吾輩は猫である(わがはいはねこである)」 著:夏目漱石(なつめ そうせき)【ネタバレ前編】

2022/08/03

カテゴリー:小説

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概要

このページでは夏目漱石の「吾輩は猫である」のネタバレ感想をしています!

この作品は夏目漱石の処女作(初めて出した作品)で、昭和37年から今まで読まれ続けている名作です。

500ページとかなりボリュームがあって、昔の言葉が多く途中で読むのを止めてしまった方も多いのではないでしょうか。

内容をできるだけ簡素にまとめてみたので是非最後までご覧ください!このページはネタバレ前編となっています!

目次

吾輩は猫である

登場人物

・吾輩(わがはい)…くしゃみ先生の家に住むネコ。

・苦沙弥(くしゃみ)先生…吾輩を飼っている主人。

・おさん…くしゃみ先生の家の下女。

・白君(しろくん)…向かいの家に住むネコ。

・三毛君(みけくん)…隣の家に住むネコ。

・車屋の黒(くろ)…乱暴者のネコ。

・寒月(かんげつ)…元くしゃみ先生の門下生。

・三毛子(みけこ)…琴のお師匠さんの飼っている猫。

・東風(とうふう)君…寒月君の友人。

・迷亭(めいてい)君…ほらばかり吹く苦沙弥先生の友人。

・細君(さいくん)…苦沙弥先生の奥さん。

・鼻子(金田夫人)…大きな鼻を持つ金田家の夫人。

吾輩は、、、

吾輩は猫である。名前はまだない。

どこで生まれたかはわからず、気づくとたくさんいた兄弟や母親がいません。

しばらく泣いてみますが、誰も来ず、ある邸内に忍び込みます。初めに出会ったのは「おさん」で見つかった瞬間表に放り出されます。

何回も忍び込んでは放り出されるのを繰り返しているうち、家の主人が降りてきて、「家においてやれ」といいます。下女のおさんは悔しそうに台所へ放り出し、この家が住みかとなったのでした。

主人は教師だそうでよく書斎にこもって勉強しているふりをしていましたが、実際は良く昼寝をしていて胃が弱いのに大飯食らいなのでした。

この家には5歳と3歳の子供がいて、吾輩が子供の布団に忍び込んで気持ちよく寝ていると、子供が猫が来たと泣き出し、主人に尻を叩かれたこともありました。

吾輩は人間と暮らしていくうちに、人間というものはわがままな生き物だと思うようになります。向かいの家の白君(しろくん)は自分の生んだ仔猫を捨てられたと涙を流して吾輩に語ります。

他にも隣の家の三毛君(みけくん)は人間が所有権について誤解していると怒っているのを聞きます。猫たちの間では先に見つけたものが食う権利があるのに、人間はすぐに取り上げてしまうといいます。

ただいくら人間だっていつまでも栄えることは無いだろうと楽観的に吾輩は考えます。

車屋の黒

吾輩の主人は俳句に手を出したり新体詩や間違いだらけの英文を書いたりいろいろ手を出していました。

家の裏には10坪くらいの茶園があって、そこに散歩をしに行くと、大きな猫がそこで寝ています。相手は車屋の黒だと名乗り、乱暴者だと周りの猫たちで噂されていました。

その後も何度か黒と会い、ある日鼠を何匹とったことがあるか黒に聞かれます。まだとったことは無いと答えると黒は3、40匹は取ったと得意げに言います。

しかしとった鼠は主人にとりあげられ、交番にもっていってお金に換えていると黒は言います。そのくせにろくなものを食べさせないから人間は体のいい泥棒だと黒は語りました。

吾輩はそれを聞いて、鼠を捕るくらいなら寝ていた方が気楽でいいと考えます。教師の家にいると猫も教師のような性格になるようです。

車屋の黒はその後、足を引きずるようになります。目にはやにがたまり、体格も悪くなったようです。魚屋の天秤棒にやられたと黒は語ります。

吾輩は欲を出さず、生涯この教師の家で無名で終わるつもりでした。

有名になった吾輩

新年となり、吾輩は少し有名となります。主人の元に届く年賀状には猫の絵が描かれていましたが、主人はそれが猫だと分からないようです。

もう1枚の絵ハガキには猫が踊っている様子が描かれていて、横に「吾輩は猫である」と文が書かれています。それでも主人は不思議そうに「今年は猫の年だったかな??」と考え込んでいます。

それが吾輩だと気づいていない様子です。3枚目の手紙に猫にもよろしくと書かれていて、ようやく吾輩のことだと気づきます。吾輩を見る主人の目に少し尊敬の色が含まれているように感じます。

そんなとき家に寒月(かんげつ)という男がやってきます。もともと主人の門下生のようで、よく遊びに来るのでした。

寒月君は2人の女とヴァイオリンを弾いたと話していて、主人はうらやましそうに聞いています。2人は散歩に出かけていきました。

夜9時くらいに家に帰ってきて、翌朝、雑煮を6,7切れも食べて少し残します。細君(主人の妻)は胃薬を出してきますが、主人はその薬は効かないから飲まないそう。

主人は何をやっても長持ちせず飽きっぽいのでした。

踊る猫

しばらくして台所に回ってみると、主人が残した餅がそのまま置いてあったので少しかじってみます。

なぜか嚙み切れず、嚙みなおそうとしますが動きが取れません。2本足で立って両前足を使って椀を取ろうとしていると子供たちに見つかってしまいます。

ネコがお雑煮を食べて踊っていると子供たちは笑い、細君や下女のおさんも駆けつけ笑っています。主人は死んでしまうから取ってやれとおさんに言い、取ってくれました。

家にいるのも気まずく、琴のお師匠さんの家の三毛子(みけこ)のところへ遊びに行きます。

三毛子はこのあたりで有名な美貌家でいろいろな話をしているとこれまでの心配や苦労を忘れることができるのでした。

少し元気を回復した吾輩が家の茶園を通って帰ると、家には見慣れぬ客が来ています。

名刺が置いてあって、名前は越智東風(おちとうふう)というようで、寒月君の友人のようでした。

2人は共通の知り合い、迷亭(めいてい)君について噂話をしています。

三毛子の不調

それから4,5日が経ち、三毛子を訪問しに行きますがおらず、どうやら病気で寝ているようでした。

三毛子の主人と下女が話をしているのを障子の外から聞きます。人間のような扱いを受けていて、炬燵で寝かされているようです。

下女は三毛子を医者に連れて行ったと言いますが、医者は「猫の病気はわからん、放っておけ」と答えたと下女は怒っています。

下女は続けて「悪い友達ができたせいかもしれない」と三毛子の主人に言います。どうやら吾輩のことのようです。

「今度来たら叩いてやる」と意気込んでいて、そっと吾輩は帰ります。家に帰ると、迷亭君が遊びに来ていました。

寒月君もやってきて、3人で話をしていると、迷亭君が不思議な体験をしたと語り始めます。

迷亭の話

ある日、東風君から話があるから家にいてくれと連絡があって、迷亭君は家で待っていたそう。

なかなか東風は現れず、散歩に出かけるといつのまにか「首掛けの松」の下まで来てしまっていました。

「首掛けの松」とはよく首がつられている松の木で、誰でもこの松の下まで来ると首をくくりたくなってしまうんだそう。

迷亭君も首をくくってみようかとしますが、もし東風君が家で待っていたら気の毒だったので、一度家に帰ったそう。

家に着くと、「今日は用事ができてこれない」という東風からの手紙があって、これで心置きなく首がくくれると松の下まで行くと、もうすでに誰か来て首がぶら下がっていたという話でした。

寒月はそれを聞いて、ぼくにも似た経験があると話を始めます。

寒月の話

知り合いの家で演奏会があって寒月も参加していたそう。帰ろうとした寒月にある夫人がある女の人の病状を尋ねます。

その女の人は寒月の知り合いで数日前会った時は元気そうだったので、寒月も驚きます。

どうやらあったその日の夜、熱を出してうわごとのように寒月の名前を呼んでいるとその夫人は語ります。

寒月がそのことを考えながら橋まで来ると、川の底からその女の人の声が聞こえます。寒月はその声に返事をして、そっちの方へ行きたくなり橋の手すりの上に登ります。

そしてついに飛び込んでしまいます。

目が覚めてみるとどこも濡れておらず不思議に思っていると、飛び込んだのは川の方ではなく橋の方で、前と後ろの違いであの世へ行けなかったという話なのでした。

主人も似た経験があるとまぬけ声で語り始めます。

主人の話

ある日細君(主人の奥さん)が摂津大掾(せっつだいじょう)(劇のようなもの)を聞きに行きたいと主人を誘って4時までに向こうへ着こうと約束したんだそう。

しかし急に悪寒がしてきて、甘木医者に診てもらいます。妻はもう出かけられるという風に待ち構えていて、主人は気が気ではありません

貰った薬を飲もうとしますが急に吐き気がしてきて、飲めません。飲もうとして茶碗を置いたりしていると、柱の時計が4時を知らせます。

不思議なことに4時になった瞬間吐き気が無くなり、薬を飲むことができます。4時10分には気分の悪いのも回復したという話でした。

迷亭が要領を得ない顔で「歌舞伎座へは行ったのか?」と聞くと、「4時を過ぎたら入れないという細君の意見だったから行かなかったよ」と主人は答えます。

吾輩は3人の話を聞いて、面白くも悲しくも感じませんでした。「時間をつぶすために口を運動させている人間は能がないな」と三毛子のところへ出かけます。

三毛子の病状

三毛子の家には仏像が届いていて、南無阿弥陀仏という声が聞こえます。吾輩は急に動悸がしてきました。

中では三毛子の主人と下女が話をしているのが聞こえます。「教師の家の野良猫が三毛子をむやみに誘い出したせいで体調を崩した」と言っています。

「三毛の代わりにあの野良猫が死んだらおあつらえ通りになったのに」と恨み言を漏らしています。それ以降三毛子の家の近くへ寄り付いたことはありません。

また2、3日が過ぎ、迷亭が主人の家へやってきて、「越智東風の高輪事件について知っているか?」と尋ねてきます。

ある日曜、東風が高輪泉岳寺(たかなわせんがくじ)にいったそうで、見物をしているとドイツ人が日本語で質問をしたそう。

しかし東風はドイツ語が使ってみたくてたまらなくて、しゃべってみると意外とうまく喋れてしまいます。

向こうはドイツ語が通じると思いこんで早口でしゃべりかけます。

東風は何のことやらさっぱりであたふたしていると、周りに見物客が集まってきて東風と外国人を取り囲んでしまい、東風は「さいなら」と逃げ帰ってきたそう。

主人は「そんなことをわざわざ知らせに来る君の方が面白いよ」と評します。玄関のベルが鳴り、40を少し超えたが主人の家を訪ねてきます。

金田の夫人

目は鯨より細く吊り上がりだけはむやみに大きい女でした。吾輩はこの女を鼻子と呼ぶことにしました。

鼻子は「向こう横丁の角屋敷に住んでいる金田の夫人で、宿をしていて大変忙しいのです」と少し自慢するように言います。

それを聞いても主人は臆することなく、冷淡に対応しています。金田夫人は自分の身分を示しても取り扱いの変わらないことに憤ります。

迷亭は僕の叔父の牧山男爵が金田の主人の友達だというと、金田夫人は急に丁寧な口ぶりでお世話になってると迷亭に挨拶します。

金田夫人は「水島寒月について教えてほしい」と主人に尋ねます。どうやら金田の娘の結婚相手の候補に寒月君が上がっているようです。

迷亭は1人で「寒月が金田の娘に恋文でも書いたのか」と盛り上がっています。話を聞いていると以前寒月が話していたうわごとのように寒月の名前を読んだという女が金田の娘のようでした。

主人は寒月が地球の磁気の研究をしていると夫人に伝えます。夫人は「その研究をすれば博士になれるでしょうか」と主人に尋ねます。

「ただの学士だけでは娘はやれない」と平気で金田夫人は答えます。

金田夫人は大体の話を聞いて、私が来たことは内密に願いますと言い残して家を去りました。

金田夫人が去ってから奥の部屋で細君が笑う声が聞こえます。主人や迷亭も次々に金田夫人の鼻について笑います。

主人が君に男爵の叔父がいるのかいと迷亭に尋ねると、男爵というのはでただの漢学者なんだそう。

まとめ感想

教師の「苦沙弥先生」に拾われた「吾輩」は、主人の元を訪れる変わった人たちを見ながら、毒を吐いたり、ネコなりの感想を抱いたりします。

人間の滑稽さや身勝手さが良く表されていて、それをネコという第三者の視線で観察するので、読んでいる方も苦沙弥先生の屋敷のネコになった気分にさせてくれます。

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