【小説ネタバレ】「砂の女(すなのおんな)」 著:安部公房(あべこうぼう)ネタバレ感想後編

2022/06/10

カテゴリー:小説

砂漠の画像

概要

このページは、阿部公房(あべこうぼう)さんが書かれた「砂の女」ネタバレ感想の後編となります!!

まだ前編を呼んでいない方は、そちらを読んでから戻ってきていただくことをオススメします!

前回までで、男は砂の中に監禁され、女の不意を突き拘束することに成功します。しかし村の人たちは余裕そうです。何かでもあるのでしょうか。

後編でこのお話は完結となります!是非最後までご覧ください!男は穴の中から脱出することができるのでしょうか。

目次

砂の女

登場人物

男…行方不明になった学校の先生。砂と虫の研究をしている。

女…30前後の人がよさそうな女。男はこの女の家に泊めてもらう。

砂地の老人…村の漁師らしい老人。男に泊まるところを紹介してくれた。

籠城作戦

男はそのまま起きていようと思っていましたが、うたた寝を始めてしまいます。女に水が欲しいといわれ男は目を覚まし、女は震えていました。

男も水を飲み、その残りを女にやりましたが、すぐに飲み干してしまいました。はじめて男に非難の目を向けます。

気まずさに耐え兼ね、男は濡れ手ぬぐいを作ろうと甕の前に立ちますが、甕の中の水からっぽでした。

崖の上の人たちは水の補給を断って、音を上げさせようとしているようです。

男は恐怖に震えます。男は女に縄を解いてほしいかと尋ねると、女は必死に懇願し始めました。

女は縄がほどけると、手首や足首をもみほぐし呻きをこらえています。縄の跡が赤黒くあざになっていました。

一日砂掻きしなかったせいで、いろんなところから砂の崩れる音がしています。男は後で後悔することを知っていながら、焼酎を飲んでしまいます。

男はアルコールを入れたことで苦しみますが、女は私たちが仕事をはじめさえすれば水が補給されるだろうといいます。

そのあと2度目の砂崩れが始まり、天井から砂が落ちてきます。男はスコップで家の壁を壊して梯子を作ろうとしますが、背後で女が叫び男に飛びついてきました。

男は女に振り回され、女の胸がはだけて、男の手が女の素肌に重なります。男はのことを思い出します。女のモンペがずり落ち、男もバンドに手を掛けます。

家全体が胴震いして、きしんでいます。男は自分の妻との時には経験したことがない一途さを女に感じました。

男の降伏

いつのまにか寝ていたようで、起きると情欲のせいで余計に喉が渇いてしまいました。

空のヤカンを傾けますが、2、3滴しか出てきません。男は水瓶の底から湿った砂を取り出し、口いっぱいにほおばります。

女に水はもうないのかと聞きますが、本当にもう無いと女は答えました。仕事にかかれば、高台から監視しているので、すぐに水を補給してくれるといいました。

女の言う通り、裏の崖際からのぞくと、火の見やぐらが見えます。男は耐え切れずそこへ向かってスコップを振ります。

女の声がして、崖の上に向かって呼び掛けているのが見えます。そこにここへ案内してくれた例の老人がロープの先にかけたバケツを下ろそうとしています。

男は女を押しのけ顔ごと突っ込み水を飲みます。女も負けずにバケツの水を飲み、たちまちバケツの水は半分に減ります。

男は老人に対して、自分が学校の先生で世間が黙っていないと訴えかけました。しかし老人は薄笑いを浮かべ、10日もたったが何も音沙汰がないといいました。

再開

女はすでに仕事を始めていました。男は女に自分のスコップはどこかと聞くと、女は軒下を指さし、疲れた微笑を浮かべます。

2人は崖と建物の間を掘り進み、女は堀り方を丁寧に教えてくれます。女はこれくらいでやめておきましょうかと男に言い、男は寝床につくといつのまにか寝ていました。

起きると、枕元にやかんや焼酎、たばこが置いてあります。その隣には包みがありそれを開けると弁当が入っていました。

もう夜になっていたので、女は砂掻きを始めていました。男は抵抗を感じることなく仕事を始めます。

モッコ運びの人たちは何も言いませんでしたが、当面の了解を得られたようでした。女の態度も以前より弾んでいるのを感じます。

脱出の準備、逃避行

男は隙を見て、着替えのシャツや帯などを結び、5メートルほどのロープを作って脱出の準備をします。その先には錆びたハサミをくくり付けました。

男は女が目を覚ます夕方ぎりぎり直前にここを出て、夜になるまで身を隠し、それから村を中央突破することに決めました。

脱出予定日の当日、風邪を引いたふりをして、砂掻きを女一人にさせ、女に自分の体を拭かせます。

男は興奮を装って女の体をさわり、できるだけ乱暴にふるまい女が痛みを訴えるまで続けました。その後、女に睡眠薬と酒を飲ませて寝かせます。

男は屋根に登り、ロープ付きのハサミを崖の上の俵に投げ、ロープを固定します。なんとかよじ登り脱出に成功します。既に捕まって46日が経過していました。

どうやら逃走に気づいておらず、鐘もなっていません。しばらく歩き、だれも住んでいなそうな小屋をみつけ、そこへ隠れることにしました。

小屋には大きな赤犬がいましたが、しばらくにらんでその場を去っていきます。夜になったことを確認し、部落の明かりに向かって歩き出します。

歩いている間、「男のおかげで仕事も2時間早くなり、内職で鏡やラジオを買えるかもしれない」という女の言葉を思い出します。

女はまるで鏡とラジオさえあれば人間の全生活ができるような言い方でした。

気がづくと部落の明かりを見失ってしまいます。不吉な予感にそれでも進み続け、無事に帰れたら、部族の人たちにどのような復讐をしてやろうか企んでいます。

いつのまにか男は部落の中に入ってしまっていたようです。

その時、垣根の中から犬のうなり声が聞こえます。男は部落の出口に向かって走り出します。

塩あんこ

影の中から黒い大きな犬が飛び出してきますが、ハサミを振り回し、追い払います。他にも5、6匹いる様子でした。

広い道に出た時、3つの懐中電灯が男を照らします。同時に鐘がなり、男は仕方なしに今来た道を全力で駆け戻ります。

しばらく走って追手の距離は遠のきましたが、男は自分が海のほうへ追い詰められていることに気づきます。

海の中を泳いで逃げようと、そのまま走っていると、急に足が重くなります。足が脛のあたりまで沈み、もがけばもがくほど深くのめりこんでいきます。太ももまで沈んでしまい、動けなくなってしまいました。

男は恐怖に支配され、「助けてくれ!」と叫び、泣き出してしまいます。その時後ろから声がして、村の人が長い板切れを差し出してくれました。

村の集落の人たちはここが「塩あんこ」と言って、雪と砂が層になっている場所で、何人も死んでいる場所なのだと教えてくれました。

集落の人たちは文句ひとつ言わず、男を助け出してくれました。

男は再度穴の中へ戻されました。女は穴の中の暗がりの中でもより一層暗く見えます。

女がすすり泣いているので男は目が覚めます。男は女に失敗したことを伝えます。成功したらラジオでも鏡でも送ってやるといいましたが、女はここでも頑張れば買えますといいました。

男はが今何をしているのか想像を巡らせます。

崖の上の熱狂

ある日、家の裏の空き地にカラスを捕まえる罠を設置しました。それを「希望」と名付けます。

もしカラスを捕まえられれば、足に手紙を書いて結び、助けを呼ぶつもりでした。

女は糸にビーズを通す内職を始め、間もなく貯金が二千円行く予定でした。あと半月もすればラジオの頭金になりそうでした。

ある朝、決まりの配給品と共に漫画が差し入れになったことがありました。男はそれを読んで笑い転げます。女はそれをみて無邪気な微笑を浮かべます。

ある日男は女に、縄梯子を下ろしたままの家があることを訴えますが、女は何代も前からここに住んできた人たちだけだといいます。

例の老人に縄梯子を下ろしたままにしてほしいと言うと、みんなの見ている前であれをしたら考えてやるそう。周りで気違いじみた笑い声を起きています。

男は無理のある提案とは思えず、女を振り返ってみると、さっきまでそこでスコップで作業をしていた女の姿がありません。

男は戸口の方へ行って、「どうしようか」と女に尋ねますが、「気が狂ったんじゃないの??」と男に怒ります。

男はいきなり女にぶつかっていき、崖の上の人々は獣じみた熱狂を引き起こします。

男は「頼む」と懇願しますが、女はいきなり男の下腹を突き上げ、を男の顔にめり込ませます。男は鼻から血を出し、崖の上の人々も冷めて去っていきました。

結末

また数週間が過ぎ、「希望」はカラスから無視され続けていました。蓋を取ると、底に水がたまっています。

これはいざというときの大事な武器だと男は思います。自然に笑いがこみあげてきて、足をばたつかせて笑い続けます。女もそれを見て、調子を合わせて笑ってくれました。

水をためるために、毎日の天気を知りたかったので、ラジオは男と女の共通の目標となりました。

その後冬を越し、春になると、ラジオが手に入り、屋根の上に高いアンテナを立てました。女は幸せそうに半日ダイヤルを回し続けました。

その月の終わりに女が妊娠し、さらに2か月たつと、突然女が下半身が血だらけで痛みを訴えます。

子宮外妊娠だろうということになり、女は町の病院に入院させることとなり運ばれていきます。女は涙と目やにだらけの目を男に向けますが、男は目を背けました。

女が連れ去られた後も縄梯子はそのままになっていました。男はゆっくり手を伸ばし、縄梯子を登り始めます。

崖の上につくと、濁った海が見えます。慌てて逃げ出す必要はないのだと男は思いました。男はこのため池装置のことを誰かに話したいということでいっぱいでした。

それを話すなら集落の人々が最も適しているだろうと、逃げる手立てはまたそのあと考えようと男は思いました。

まとめ感想

以上となります!最終的に男はみずから、穴の中に残ることを選びました。

次第に男は穴の中の生活になじみ、楽しんでいく様子が感じられます。外の世界よりも男は必要とされ、生きがいを感じたのかもしれません。

当サイトでは他にも一人称単数心淋し川などネタバレしてますのでそちらもご覧ください!SNSもフォローお願いします!