【小説ネタバレ】「砂の女(すなのおんな)」 著:安部公房(あべこうぼう)ネタバレ感想前編

2022/06/09

カテゴリー:小説

砂漠の画像

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概要

この作品は、安部公房(あべこうぼう)を一躍有名にした作品です。

少しホラーチックな部分が入っていて、見ていてハラハラする展開もあります。

ある砂丘へ昆虫採集へ来た男が、砂の中に埋まった家に閉じ込められてしまうというストーリーとなっています。

このページはネタバレ前編となっているので、続きが気になるという方は是非後編の方もご覧ください!!

目次

砂の女

登場人物

男…行方不明になった学校の先生。砂と虫の研究をしている。

砂地の老人…村の漁師らしい老人。男に泊まるところを紹介してくれた。

穴の中の女…30前後の人がよさそうな女。男はこの女の家に泊めてもらう。

砂の中の村

ある男が登山の格好をして駅に降り立ちます。男は海辺に向かって歩き続け、人家を抜けると、砂地になりました。

男の目的は砂地に住む昆虫の採集でした。

そのまま歩いていくと、漁業組合の集会所にたどりつきます。集会所の住民たちは男に対して怪しい視線を向けますが、男は砂と虫にしか関心がなかったので、気にしませんでした。

男は海に向かって歩きますが、次第に上り坂になっているようです。全ての家が砂を掘り下げて、その中に家を建てていました。

深い穴の中を覗こうとして、縁に沿って歩いていくと、視界が開け海が見えます。男はいつの間にか目指していた砂丘の頂上に立っていたのでした。

強い風の影響で砂丘に村が重なってしまったようでした。

砂丘の老人

男が虫を探していると、いつのまにか小さな家が沈んでいる崖際に立っていました。

足元の砂が流れ出し後ずさりすると、村の漁師らしい老人がすぐ後ろに立っていました。

その老人は「県庁の人ではないのか?」と尋ねてきたので、男は否定し、自分は学校の先生だと説明します。

老人はもう帰りのバスはないがこれからどうするつもりかと男に尋ねます。

男はどこか泊まるところを探していると言います。慌てた様子で老人は宿を紹介してあげるといいます。

穴の中の女

老人は部落の一番外側にある穴の中の家を紹介してくれました。老人が穴に向かって「婆さんよお」と呼びかけ、俵にかけてある縄ばしごで男は穴の中へ下ります。

老人は下へ降りずにそのまま帰っていきました。中でランプを持って迎えてくれたは婆さんという割には若く、30前後の人がよさそうな色白で小柄の女でした。

女は喜びが隠し切れないという様子で、男としてもありがたく思えました。家の中はボロボロで異臭がしましたが、虫が好みそうな環境でした。

男が女にお風呂に入りたいといいますが、明後日にしてほしいと女は言います。明後日になったら自分はもういないと返しましたが、女は「そうですか?」と言います。

その後ご飯を女が運んできてくれ、女が番傘を開き男に立てかけます。

こうしないと家の中でも、食べ物の中にが入るといいます。男は天井を見上げますが、穴が開いてるわけでもなく、不思議に思います。

ご飯を食べた後、女は寝床を準備してくれました。この家には誰か他に住んでる人はいるのかと聞いてみると、自分1人だけだと笑いながら答えます。

去年の大風の時、女の夫と娘は砂の下敷きになり亡くなったんだそう。

砂搔き

外から「もう一人分のカンカラとスコップをもってきた」という声が聞こえます。これから砂掻きが行われるようです。

女はもう一人分というのは男のことだといい、男は不思議に思います。

女は暗闇の中へ出ていき、スコップで石油缶に砂を入れています。男は砂掻きを手伝おうとしますが、女は最初の日からじゃ悪いからといいます。

男は再度「泊まるのは今日だけだ」といいますが、女はまた「そうですか?」と返事をしてきました。

男は砂掻きを手伝い、2回ほど石油缶を運んだころ、モッコがやってきます。モッコは若い人4人が2、3組で結成されていて、石油缶を引き上げてくれました。

男は1仕事終え、一服しようとしますが、女はまだ仕事を続けるつもりのようです。毎晩彼女は砂掻きをしているようでした。

男は砂掻きするために生きているようなものだといいますが、女は夜逃げするわけにもいかないといいます。女は私たちが砂掻きをしているおかげで、海と反対側の村が助かっているといいます。

男は女にも、女を縛り付けているものにも腹を立てます。男は愚痴を漏らし、さっさと部屋に帰って寝てしまいました。

消えた縄ばしご

男が目を覚ますと、唇と鼻の周りには汗で固まったがこびりついていました。

水瓶に向かって歩き出しますが、囲炉裏の向こうで裸で寝ている女を見つけます。

彼女は顔だけを手ぬぐいで隠し、それ以外の部分はさらけ出していました。しかもその表面が細かい砂で覆われ、メッキされてるようでした。

男は身支度を行い、外へ出ますが、縄梯子が消えていることに気づきます。男は砂の崖を登ろうとしますが、ただ壁の中へ食い込んだだけのようです。

男は叫びそうになるのをこらえ、家の中へ戻ります。大声で女を呼び、はしごがないことを訴えます。どうやら女はそのことを知っていたようです。

男は狂ったように叫びます。事情を聞き出そうと思いましたが、裸の女の姿はみだらだったので、一度外へ出ます。

戻ると、女は身づくろいを終え、「もうわかっているでしょう」と言います。女手一つではやっていけないのだと男へ訴えかけます。

男は不当監禁だとか、女も被害者なんだろうと同情したりしますが、女は黙っています。最後にポツリ、「ごはんにしますか」と女はつぶやきました。

男のたくらみ

食事を済ませ、女もビニールの布をかぶって食事をします。男はそれを見て虫けらのようだと思いました。

女は天井裏の砂掻きをするといい、男は畳に砂が積もってきて、耐えられなくなって外へでます。

男は下の砂を何度も削っていけば、次第に高さが低くなって抜け出せるのではと考え、スコップで砂をほりますが、全く高さが変わりません。

人の気配を感じ振り向くと女が戸口に立っていて、崖の上にも昨日の老人たちが男を見ていました。

男は無視し、砂堀を再開しました。急に砂の流れが激しくなり、砂が彼の上に覆いかぶさってきます。そのまま気を失ってしまいました。

男は砂に打たれて気を失って2日間苦しみます。しかしその後、実は回復していて重病人を装っていました。ただ部落の人々は医者すら呼んでくれない様子です。

男は女に自分の看病をさせ、仕事の能率を下げ、部落の人たちが自分を追い出すだろうと考えます。

男は女に外へ出てみたいと思わないのかと聞きますが、外へ出たってすることはないと女は答えます。

反撃

夜中になり女が砂掻きに出てから4時間がたっていて、不意を突いて男は女に襲い掛かるつもりでした。

男は寝たきりを続けることも考えましたが、同僚や妻にわざと行き先を告げずに出てきたので、自殺したと思われている可能性が高かったのです。

女が砂掻きをしている隙をついて、男は女に襲い掛かりますが、女はこちらを見つめ抵抗する様子はありません。男は女の口、両手、足首を後ろで縛り上げます。

崖の上から「何をしているんだ」という声が聞こえます。穴の中を男は這って進みます。

石油缶を吊り上げるためのロープが下りてきて、そこに男はしがみつき、ロープを上げるよう叫びます。女は家の中で監禁してあるとも付け加えました。

上で意見の交換が始まり、その後ロープが引き上げられます。男は喜びますが、次の瞬間ロープが離され、男は地面に叩きつけられます。

崖の上の人たちはそのまま去っていきます。

絵葉書屋さん

男は女の口のロープを解いてやります。外へ出てみると、1つの包みが落ちていて、その中にはたばこと焼酎が入っていました。

女によると男手のある所には毎週たばこと酒の配給があるんだそう。

男は自分のように捕まってしまった人はいるのかと女に聞くと、去年の秋に絵葉書屋さんが捕まったといいます。

しかし、体がもともと弱く、すぐに亡くなってしまったといいます。他にも学生が捕まって、まだその家にいると女は言います。

女はずっと前に、家族総出で逃げ出したものはいるが、それ以来逃げ出せたものはいないと答えました。

感想

男は砂の中に閉じ込められ、監禁されてしまいました。脱出を試みますが砂に打たれて気絶してしまいます。

隙をついて女を縛ることに成功しましたが、村人たちはなぜか余裕そうです。男は無事に穴の外へ脱出できるのでしょうか。

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