【ネタバレ感想】重力ピエロ 著:伊坂幸太郎(いさか こうたろう)-前編-

2022/05/21

カテゴリー:小説

空中ブランコ

概要

このページは「重力ピエロ」ネタバレの後編となります!

まだ前篇を読んでいない方は是非そちらを読んでから戻ってきていただくことをお勧めします!

今回でお話は完結し、全ての謎が解けます。連続放火犯は何のために放火を行って、現場にグラフィティアートを残しているのでしょうか。

春の後を追っている郷田順子の正体や、泉水が探偵の黒澤を雇った理由も明らかになります。

目次

ストーリー

登場人物

・春(はる)…泉水の弟。町の落書きを消す仕事をしている。

・泉水(いずみ)…春の兄。遺伝子情報を扱う会社に勤める。

・父…春と泉水の父。公務員で現在入院中。

・母…春と泉水の母。病気で5年前に亡くなる。

・郷田順子(ごうだ じゅんこ)…日本文化会館管理団体に属する女。美人で春の調査をしている。

・葛城(かつらぎ)…売春あっせんをしていて高層マンションに住む。2枚目。

・黒澤(くろさわ)…泉水が同期の高木に紹介された探偵。

葛城の家

翌日の朝、新聞を見ますが放火事件について記事にはなっていませんでした。泉水はDNA検査の道具を持って葛城のところへ向かいます。

葛城の部屋には全裸で寝転ぶ女性がいて、葛城はお前もやってくか?と聞いてきます。昨日の夜空き巣に入られたそうで、それに気づきイライラして女を呼んだんだそう。

それから葛城は若い頃の話をし始めます。強姦されて可哀そうなのは女で自分ではないから苦しくないと語ります。

泉水は怒りを鎮め、DNAの検査についての話をします。2週間ほどで健康状態がわかるので郵送すると葛城に約束します。

葛城が荷物を片付けている途中、机の上の封筒を落としてしまい中に入っていた写真がばらまかれます。その写真には壁の落書きが写っていました。

彼はくだらない写真だよといい、泉水は葛城の家を後にします。

郷田順子の正体

葛城のマンションからでると後ろから郷田順子が声を掛けてきます。彼女は昨日春の後を付けていて、放火の現場から逃げた男を追いかけているとこのマンションについたと言います。

泉水は会社に遅刻しそうだったので、後で連絡すると郷田順子に言い、会社へ向かいました。泉水は課長に個人の検査として葛城から採取したDNAと引き出しにしまったままの検査管を提出します。

仕事中、どうして葛城のマンションに郷田順子がいたのか、どうして春の後を追っているのか泉水は考えます。

会社終わり、自宅の前に郷田順子はいました。どうやら彼女はずっと待っていたようです。

彼女の仕草を見ているとどこかで見たことがある気がして、泉水は彼女が昔、春のストーカーをしていた夏子さんだと気づきます。

彼女は嬉しそうな悔しそうな様子を見せ、整形したとカミングアウトしました。日本文化会館管理団体なんてものはありませんでした。

話を聞いてみると、春と郷田順子は以前会っていて、彼女の正体は一瞬でばれたようです。

遺伝子と放火の関係

それから2日ほどたち、から事件の進展について電話がかかってきます。話をしていて泉水は、放火現場に書かれた単語の頭文字が、遺伝子の文字列を表していることに気づきます。

事件現場の建物名の頭文字も遺伝子の文字列となっていて、書かれていた単語にそれぞれ対応していることも泉水は気づきます。

春に電話をかけますが、電話に出ず会社に間に合わないと判断した泉水は有給休暇を取ります。春から電話があり2人は会うことになりました。

泉水は自分の推理を春に披露しますが、大して驚いていないようでした。

ラストチャンス

春の車に乗る泉水に電話があり、どうやら検査結果は泉水の予想通りの結果のようでした。

春と別れた後、泉水は机にしまってあった睡眠薬を1錠飲み、試しに飲んでみます。効果は確かですっかり眠ってしまいました。

夜9時に目を覚ますと、父から電話があり、放火事件のルールが分かったと言います。それを確かめるために泉水の知り合いの探偵を紹介してほしいと父は言います。

父は泉水にこれ以上放火事件にかかわらないようにと忠告をして電話を切ります。泉水はこれから自分が何をすべきか理解していました。

泉水は青葉山の壊れかけの橋の状態を確認しに行き、家に戻ってきます。帰ってくると今度は郷田順子から電話があり、今から春の家にきて、ノートを見せたいと言われます。

加えて、春の家には奇妙なものがあると言います。泉水は春の家へ向かいます。

春の家の中には郷田順子がいました。彼女の言う通り、壁の部屋には地図が張られていて30カ所以上の黒い丸が付けられています。

青い丸はグラフィティアートがあった場所で、放火のあった場所以外にも黒い丸が付けられています。郷田順子が渡してきたノートには有名人の名前がびっしり書かれています。

次の日、会社に休みの連絡を入れ、葛城に電話をかけ、検査結果を直接伝えたいと明日会う約束をします。

春から電話があり、今夜放火があってこれがラストチャンスだと言います。

睡眠薬

駅裏の東小学校に落書きがあったと言い、そこには「Thank Give Apologize」の文字が書かれてあったそう。それは遺伝子の文字列に直すと遺伝子の終わりを表している文字列でした。

春と校門の前で待ち合わせをします。春はまたペットボトルのを渡してきます。深夜12時を過ぎたころ春は水を飲んだらと勧めます。

泉水が水を飲むと急に頭が重くなり睡眠薬を入れられたと気づきます。そのまま泉水は眠ってしまいました。頬を叩かれ起きると、目の前には郷田順子がいました。

郷田順子は以前2人が放火を見張っていた時、春が放火したのを見たと答えました。その時持っていた春のペットボトルには石油が入っていたようです。

春がこれから放火を行う予定の場所に黒い丸を付けたのではないかと彼女は推測します。彼女が放火を目撃した時春に口止めされていたと泉水に語りました。

葛城は以前の放火の時に春に呼び出され、その後逃走したそう。

対決

郷田順子と泉水は急いで小学校の校庭へ向かいます。そこには春と葛城がいました。

葛城は春が自分の息子だと知っていて、火事現場の写真を送り付けてきて何がしたいんだと春に尋ねます。

春はジョーダンバットを持っていました。葛城は自分のおかげでお前が生まれたんだと言いますが、春は本当の父は病院でがんと闘っているあの人だよと答え、バットで葛城を何度か殴りました。

泉水と郷田順子はそのまま逃げて帰ってきてしまいました。新聞には通り魔殺人として葛城の顔が載っています。

探偵の黒澤から電話があり、泉水は会いに行きます。黒澤は父から28年前仙台でレイプ事件のあった場所を調べるよう依頼され、その場所は今回放火が行われた場所と一致していたようです。

加えて、泉水が黒澤に依頼した内容について彼は理由を教えてほしいと言います。実は泉水は探偵の黒澤に、28年前レイプ事件を行った犯人の居場所を教えてほしいと依頼していました。

泉水は葛城にDNA検査を勧めて、春と親子関係があるかどうかを個人の調査として会社へ依頼していたのです。

無事親子関係があると確認できたので葛城に睡眠薬を飲ませて青葉山へ連れていき、事故に見せかけて谷へと突き落とす予定でした。

泉水は春に先を越されたと黒澤に言います。春はどうやら葛城にレイプ事件のことを思い出させたかったようです。

春は葛城が反省していないことを確認して、制裁を下したのです。

結末

春と泉水は父の手術の前々日にペットショップで待ち合わせをします。春はこれから警察に自首しに行くと言います。

泉水は自分も葛城を殺そうと企んでいたことをカミングアウトすると春は驚いた様子でした。

泉水は警察に行く必要なんてないと春にいいます。2人は父のところへお見舞いへ行きます。

父は俺に隠れて何か悪いことをやっただろと春にいい、春は何もないと答えます。父はお前は俺に似て嘘が下手だと言ってくれました。

帰りの車内で、泉水はノートのことを尋ねます。春はノートに書き込んでいた有名人の頭文字がTTAGGGとなっていて、それは細胞の寿命を表しているといいます。

父の寿命が延びるようにそれをしていたんだそう。

春と泉水は父の葬式にきていました。父のがんは体中に広がっていて、医師はがんを切除しても無駄だと判断しました。

父の手術後、3か月間2人は病室へ通い、郷田順子が来てくれたこともありました。警察はまだ春が犯人だと気づいていないようです。

父の火葬の最中、立ち上る煙を眺めながら、2人はビールで乾杯をします。

まとめ感想

郷田順子の正体は昔、春をストーカーしていた夏子さんで、春の様子がおかしくて後を付けていたようです。

放火犯は春で、昔レイプ事件を行った実の父の葛城を改心させるために事件を起こしていました。葛城は反省しておらず春は制裁を下します。

春は自分がレイプ犯の子だと知っていて、それに対して長い間苦しんでいたようです。父が亡くなる前に「春は俺に似て嘘が下手だ」と言ってくれました。

遺伝子のつながりなんて関係ないと言ってくれているようで、とても素晴らしい父だなと読んでいて感じました。

以上となります。当サイトでは他にも「一人称単数」や「神去なあなあ日常」などネタバレしてますので是非そちらもご覧ください!SNSもフォローお願いします!

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