泣けない魚たち-「金さんの魚」-著:阿部夏丸(あべ なつまる)- ネタバレ感想1

2022/01/29

カテゴリー:小説

海と子供

概要

こちらのページでは、泣けない魚たちの3つ目のお話、「金さんの魚」のネタバレ感想のpart1となっています。

全部でpart2まであって、今回は前半のお話となります。

他の2つのお話とは話がつながっていないので、こちらから読んでも大丈夫です!!他のお話も読みたい方はぜひこちらから飛んでみてください!

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主人公のぼくは、かなり年の離れた金さんというおじいさんと友達になります。

その友達のために、僕はナマズを釣ろうとします。

目次

泣けない魚たち

登場人物

・山部金作(やまべきんさく)…あだ名は金さんで、62歳のおじいさん。なまず屋という食堂を経営している。

・水口拓也(みずぐちたくや/僕)…12歳で金さんと友達。

・浦さん…金さんと仲の良い植木屋さん。ナマズ釣りの達人。

夏のトマト

ぼくの友達には、62歳のおじいさんの金さんという人がいました。

彼は山部金作といい、12歳のぼくと友達なのは少しおかしかったですが、金さんがよく「僕たち友達ね」と言うので、友達と思っていました。

金さんはなまず屋という食堂の主人で、10人くらいしか入らない小さな店でしたが、20年近くもこのお店を守ってきたのでした。

この店の裏の空き地には、よく子供たちが遊んでいました。

自己紹介

夏の初め頃、僕はその空き地で友達を待っていると、後ろから声がして坊主頭の小柄な老人がこっちおいでと手招きしていました。

少しためらいましたが、それが金さんであるとすぐに分かりました。金さんは道ですれ違う人全員に、こんにちはと調子はずれな声で挨拶をすることで有名なのでした。

金さんはトマトがあるよと言い、僕は金さんの子供のような笑顔についていきました。迷路のような野菜の柵を抜け、自分が水口拓也だと自己紹介をしました。

名字で自分のお父さんも知っているよと金さんは言い、ぼくは昔のお父さんを知っていることが不思議に思いました。金さんは拓ちゃんでいいかなと聞き、僕は照れながらうんとうなずきました。

金さんは僕にトマトをくれ、ぼくが食べるとそのトマトはとても甘い味がしました。金さんは次々にキュウリや甘みそを持ってきて食べさせてくれました。

なまずはおいしい?

金さんは嬉しそうにあの井戸を覗いてごらんと言います。僕が井戸を覗きますが暗くて見えないというと、金さんはロープを手繰り寄せるよう言います。

ロープの先には袋の中に大ナマズが3匹入っていて、それは食べる用だと金さんは言います。なまず屋が本当になまずが食べれるとは思っていなかったのでとても驚きました。

魚の中では一番おいしいと金さんは言います。なまずの顔はどこか金さんの顔に似ていて、この魚が好きになれそうな気がしました。

それから友達とも遊びましたが、次第に金さんと遊ぶようになりました。金さんの畑の雑草取りや水やり、そしてなまずの様子を窺ったりしていました。

ぼくの中ではお手伝いというより、遊びの一つでした。

ナマズ釣り

ある日、ロープを手繰り寄せると、中にはなまずが一匹も入っていませんでした。

金さんによると、昨日全部売れてしまったと言います。ぼくはなまずに愛着を持っていたので、少し残念でした。

次のなまずはいつ来るのか聞くと、いつもなまずを釣ってくれていた植木屋の浦さんという人がけがをしてしまって、しばらく品切れだと言います。

あのナマズは矢作川で取れた天然ものなのでした。僕はなまずを釣ったことはありませんでしたが、金さんのために僕が釣るよと約束をしました。

満州出身

その夜、お風呂場でお父さんになまず釣りについて聞いてみました。お父さんは昔、金さんや浦さんに教わってナマズ釣りをしていたよと言います。

僕はお父さんが魚釣りに興味がないと思っていたので意外でした。お父さんは僕くらいの年代のころ、ちょうど戦争が終わったばかりで、金さんと浦さんは神社の裏にあばら小屋を建てて住んでいたと言います。

そのころから子供には優しく、当時はたくましい男だったと言います。金さんは満州から帰ったばかりで、向こうに住んでいたんだそう。

金さんは満州に奥さんと子供がいたということをお父さんは知っていましたが、それ以上のことはわからないといいます。

ぼくたちはしばらく黙ったままいました。

矢作川でナマズを釣るなら、まずミミズで小ブナを釣って、それを餌にして釣るといいよとお父さんは教えてくれました。この釣り方は浦さん直伝の釣り方なんだそう。

それでも川にはたくさんの小魚が泳いでいて、わざわざ自分のえさを食べにくるか不安だというと、針にかけたエサは不自然な動きをして、弱っているように見えるから大丈夫だとお父さんは言います。

大物の当たり

次の日、さっそく釣り場に向かい、金さんの畑で取れたミミズを餌にして、小ブナ釣りをしました。このポイントには魚がいると釣り人の直感が教えてくれました。

ある程度釣りの経験があったので、あたりの経験でフナだとわかりました。そして1時間ほどで3匹のフナと1匹のハエを手に入れることができました。

ナマズ釣りの仕掛けを組み立てながら本当に釣れるのか僕は不安でしたが、フナに針を通して竿を置きます。風でゆれるアシの音が心地よく感じます。

竿先はかなり揺れ、小ブナが暴れているようでした。日が落ちてきて、あと10分でやめようと思いさお先を持ち上げると、両手に強い当たりを感じます。

その瞬間竿は引っ張られ、僕は竿を立てます。確実に大物のあたりでした。竿を伸ばされないように気を付けながら引き上げると、見事に50㎝はあるナマズでした。

ナマズを魚籠に入れ、急いでなまず屋へと向かいます。

感想

以上でpart1は終了となります。僕は金さんのために大ナマズを釣り上げることができました。

お父さんが自分と同じくらいの時を知っているというのは、確かに不思議な感じがしますよね。

今の時代において、知らないおじいさんと知り合う機会はあまりなくなってしまったので、少し「ぼく」がうらやましく感じました。

満州に住んでいたという金さんには、奥さんと子供がいたようですが、part2ではそのあたりが明らかになってきます。

下のリンクからpart2読めるので、是非飛んでみてください!part2でお話は完結となります!!

他にも小説のネタバレ感想は更新予定なので、是非SNSフォローしてお待ちください!

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