【ネタバレ感想】「クジラアタマの王様(くじらあたまのおうさま)」 著:伊坂幸太郎(いさか こうたろう)【ネタバレ後編】

2022/08/15

カテゴリー:小説

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概要

このページは「クジラアタマの王様」のネタバレ後編となっています!まだ前編読んでいない方はそちらから読んでいただくことをお勧めします!

前編では池野内議員や小沢ヒジリの助けもあり、猛獣たちから生き延びることができました。

一気に時間が進み15年後、新型のインフルエンザが流行し始めます。池野内議員は意識不明となり、小沢ヒジリはインフルエンザ脳症で重症となってしまいます、、、

目次

クジラアタマの王様

登場人物

・岸…お菓子会社の社員。

・妻…岸の妻。妊娠中。

・小沢ヒジリ…人気ダンスグループのメンバー。

・牧場課長…お客様サポートのベテラン。

・広報部長…岸の会社の広報部長。元弁論部。

・池野内征爾(いけのうち せいじ)…都議会議員であるきっかけで岸と知り合う。

・栩木(とちぎ)係長…岸の会社の係長。物腰柔らかい女の人。

・瑛士(えいじ)君…栩木係長の1人息子。

・佳凛(かりん)…岸と妻の1人娘。

病院での会話

サンファンランドから運ばれた病院で池野内議員と岸と小沢ヒジリは話をします。議員は夢の中でビラの中から岸と小沢ヒジリを選んだのだと語ります。

さらに夢の中での戦いの結果は現実と関係していて、戦いに勝つと現実の問題も解決するんだそう。

異物混入事件の時も岸は戦いに勝利したから、大きな事件にならずに済んだようです。一方で、池野内議員は戦いに負けたため謝罪会見を開くこととなりダメージを受けたんだそう。

小沢ヒジリも戦いの記憶に少し心当たりがあるようです。自分の病室に戻り、岸は8年前の火事のことを思い出します。

火事の記憶

何かが焼けるような音で目を覚まし、岸と友人2人はドアを開けて外へ出ると廊下には煙が充満しています。

非常口を確認し、そこへ向かうとすでに列ができていましたが、列がなかなか動きません。

どうやら3階から下の非常階段が壊れているようで行き止まりとなっているようです。戻ろうにも煙が充満して動けない状態となります。

消防車のサイレンが聞こえてきますが、ちょうど玉突き事故が下の道路で起きているようで、はしご車が入ってこれないようです。

もう3階から飛び降りるしかないと覚悟した時、列が動き出します。近くで巨大サイコロ展をしていたようで、サイコロを半分に切りその中に水を入れてそこに飛び込んでいるようです。

15年後

無事に妻は出産を終え、生まれてきた赤ん坊を岸は眺めます。テレビに出ている池野内議員はしわが増えたようです。

彼は愛人が発覚した後、妻と離婚したようです。

またしばらく時がたち、女子高生となった岸と妻の娘、佳凛(かりん)は小沢ヒジリ主演の映画のエキストラに参加していました。

岸は居酒屋の個室で小沢ヒジリにエキストラの情報をくれたことの感謝を述べます。佳凛はその映画に出ているT君のファンで同じ作品に出演出来てうれしいようです。

小沢ヒジリは15年たった今、海外からもオファーのくる俳優となっていました。岸も課長まで昇進していました。

テレビには池野内厚生労働大臣が映っていて、違法献金について追及を受けていました。

最初違法性はないと語っていましたが、援助を受けた製薬会社の関係者が投身自殺してから世間から追及を受け始めたのでした。

2人は池野内議員を心配しながらも世間話を続けていると、夢の話になります。小沢ヒジリによるとハシビロコウのような鳥があの敵を倒すようにと指示をしているのだと教えてくれました。

違法献金事件

ある日、池野内議員からメールがきて、明日の土曜日会えませんかとお誘いされます。3年前偶然町で会ったっきりメールのやり取りをしていなかったので岸は会うかどうか迷います。

池野内議員と岸は公園で待ち合わせして、一緒にプリクラを取りに行きます。いつだれに話を聞かれているかわからないんだそう。

岸が違法献金は事実なのか尋ねると、本当だと彼は答えます。用件を尋ねますが、プリクラを渡されもし何かあったらこれで思い出してくださいと言い残し姿を消します。

ゲームセンターを出たところで、背広を着た男2人につかまり、何を話していたか聞かれます。プリクラを渡し、何も話していないことを伝えると2人は去っていきました。

家に帰るとテレビで鳥インフルエンザの死者が急激に拡大しているとニュースになっています。

意識不明の重体

福島の出張にきていた岸は妻から「うちの町内の人から感染者が出たかもしれない」と連絡が来ます。

妻に電話を掛けると、近くの久保さんの家から防護服を着た人たちが出てきたと言います。

出張を終え、会社に戻るとパソコンのニュースには池野内議員が襲われて意識不明の重体だと書いてあります。

映像を見ると、リポーターに彼が重要なことを話すと前置きして話そうとしたとき、後ろからフライパンで殴られたようです。

妻から電話がかかってきて、佳凛が高熱で早退したと焦った声で言います。数日前久保さんのおばあちゃんが体調悪そうにしていて家まで肩を貸してあげたと佳凛は言っているそう。

会社に早退すると伝えて、出たところで小沢ヒジリからも電話がかかってきます。夢の中で3人はコテンパンにやられたと言います。

スマホの記事にはインフルエンザの重傷者や死者がかなり増えていて、自分の町名もさらされているようです。

元妻

家に電話を掛けると医療スタッフの男性が出て、今妻と佳凛はセンターに搬送されているようです。

家の周りにはマスコミの人たちがいると警告してくれましたが、気になった岸は家の方へ自転車を走らせます。

家にはインターネット配信者やマスコミがいて、岸はマイクを向けられます。焦りと憤りで目の前が暗くなり、その場に座り込んでしまいます。

目を覚ますと、車の助手席に座っていて、運転席には女性がハンドルを握っています。

状況が読み込めない岸に彼女は池野内の元妻だとカミングアウトします。彼女は池野内議員から自分に何かあったら東京駅の時計台にきてくれと頼まれていたそう。

岸は急いで議員からもらったプリクラを見ると、背景が時計台になっています。彼女は事前に時計台に行き、そこの売店で動画ファイルを貰っていました。

池野内議員は事前にインフルエンザの治療薬とワクチンを準備していて、そのために研究費を融通したり、製薬会社と癒着していたりしたようです。

それを隠しながら行っていたのは、海外製の薬が売れなくなるのが困る人たちに邪魔されるのが怖かったからのようです。

彼女は池野内議員の協力者の元へ今向かっていると言います。

栩木社長

妻からメールが来て佳凛から鳥インフルエンザの陽性反応が出たとあります。妻の方は幸いにも陽性反応は出ていないようです。

ネット記事を見ると、小沢ヒジリも陽性反応が出たようです。インフルエンザ脳症で重症だと記事にはありました。あちらでの戦いに負けたせいだと岸は考えます。

車が止まり降りると、池野内議員の元妻が眼鏡の男性と話しています。彼は一度会ったことがあると岸に言い、はじめて池野内議員に会った時突っかかってきた若者を思い出します。

眼鏡の男性は施設の中に案内しながら、池野内議員と再会したのは偶然で、彼に協力していると説明しました。

ワクチンと治療薬がこの倉庫には保管されていて、ワクチンと治療薬があるということを世間に知らせる必要があると彼は言います。

岸は会社の巨大ビジョンを使うことを提案します。栩木社長へ岸は電話をかけて巨大ビジョンに映像を流してほしいと電話で頼みます。

そこへ物音がして誰か侵入したような音がします。侵入者を見つけようと岸は歩き出すと、岸の左肩がふっとびます。肩を撃たれたようです。

スローイングアロー

目を覚ますと眼鏡の彼が運搬車に乗せて、運転してくれていました。身を守るために走り回っているようです。

岸の左肩からはちゃんと出血があります。銃声がなり相手は自分たちを探しているようです。池野内議員の元奥さんは警察に通報しに行っているようです。

向こうでの戦いで勝たないとだめだと岸は眠ろうとします。目の前に黒づくめの男が急に現れます。眼鏡の男性は速度を上げてそのままひき殺そうとします。

黒づくめの男性は落ち着いていて、岸が不思議に思っていると、急に運搬車が宙に浮かび、勢いよく前方に放り出されます。

どうやらロープが掛けられていて引っかかってしまったようです。黒づくめの男は別の運搬車に乗りこみ、岸たちをひき殺そうと近づいてきます。

岸は自分のリュックからこぼれた販促用のロケット型のグッズを手に取り、男に投げつけます。黒づくめの男にハシビロコウの姿が重なります。

ロケットは男にぶつからず転がっていきます。終わりだと思った時、自分の隣に実体のはっきりしない鎧を着た男が見えます。

その男は腕を振り上げ、紐を手繰り寄せて帰ってきた矢をつかみもう一度投げつけます。気づいた時、岸もその動きをまねるとロケットが手元に戻ってきます。

岸はロケットをもう1度男に投げつけます。顔面に直撃し、男の乗る車は段ボールに衝突します。気づいた時にはその男は縄でぐるぐる巻きにされていました。

眼鏡の彼は岸が男を縄で縛ったと言います。

結末

車いすに乗る池野内議員と岸と小沢ヒジリは動物園にきて、ハシビロコウを見ていました。

看板にはラテン語で「クジラアタマの王様」と書かれています。結局栩木社長は告発の映像を巨大ビジョンで流してくれて、薬とワクチンをいきわたらせることができたのでした。

外国の製薬会社と結託していた政治家が明るみになり、池野内議員の敵対勢力は大きく力を失ったようです。

ハシビロコウを見ていると、くちばしがうっすら歪んだように岸には見えました。

まとめ感想

岸は銃を持った男との戦いに勝利し、インフルエンザのワクチンを行き渡らせることができました。

実際の書籍では挿絵で夢の中の戦いが描かれていて、より現実と夢のリンクを感じることができました!ぜひ書籍の方もご覧ください!

この書籍が発売されたのは新型コロナウイルスが流行する前で、お話の中で登場するインフルエンザとは関係ないと著者さんは語っています。

それにしてもパンデミックが起こると予兆していたようでとても不思議な気持ちになりました。

以上となります!当サイトでは他にも同じ伊坂幸太郎さんの書かれた重力ピエロ一人称単数などネタバレしてますのでそちらもご覧ください!SNSもフォローお願いします!

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