【ネタバレ感想】こころ 著:夏目漱石(なつめ そうせき)

2022/03/28

カテゴリー:小説

heart

概要

こちらのページでは、夏目漱石さんの「こころ」のネタバレ感想をしています!!

夏目漱石さんといえば、「坊ちゃん」や「吾輩は猫である」など有名な作品が多く作られた作家さんですよね。

坊ちゃんについてはネタバレ記事書いてるので、是非そちらもご覧ください‼

【ネタバレ感想】坊っちゃん(ぼっちゃん) 著:夏目漱石(なつめ そうせき)へ

今回紹介する「こころ」という作品は、親友の「K」を裏切って妻を得た「先生」が思い悩み、最終的に自殺してしまう話となっています。

課題図書にも多く採用されているお話で、かなり有名な作品となっています。

目次

ストーリー

登場人物

・私…学生で夏休みに鎌倉へ行き、先生と知り合う。

・先生…大学出身で、何もしないで暮らしている。世間に名前が知られていない。

・先生の奥さん…先生の奥さん。昔は先生の下宿先のお嬢さんだった。

・K…先生の学生時代の友人。あるきっかけで先生はKを下宿先へと引っ張ってくる。

先生と知り合う

は学生で、鎌倉へ休暇にきていた時、先生と知り合います。仲良くなり、東京へ帰ってからも家へ遊びに来ても良いという返事を貰います。

授業が始まり1か月ほどして東京の先生の家に遊びに行くと留守でした。家の人からお墓参りへ行っていると聞き、私もお墓へ向かいます。

先生に再開すると、そこには友達の墓があるといいますが、それ以上を語ろうとしませんでした。

先生は墓へ自分の妻さえ連れて行ったことがないんだそう。私は月に2、3度先生の家へ通い、先生の奥さんとも仲良くなります。

働かない理由

その時、私は大学生で、先生も大学出身でしたが、何もしないで遊んでいるようでした。先生は世間に名を知られていない人でした。

先生の奥さんはなぜ先生が働かないのかわからないと言います。ただ、先生が大学にいるとき友人が自殺してから様子がおかしくなったんだそう。

冬が来て、父が倒れ、実家に帰らなければいけなくなります。先生のところへ行き、帰るための費用を立て替えてもらいます。

父は思ったより大丈夫そうで、私が帰ってきたのを喜びます。東京へ帰り、先生にお金を返しに行きました。

先生の過去

この年の6月に卒業する予定だったので、卒業論文を書き始めます。初夏になり論文をようやく書きあげ、先生に久しぶりに会いに行きます。

散歩をしようということになり、外に腰掛けます。先生は私の家の財産について尋ねます。金を見るとどんな人でも悪人になるから貰えるものはもらっておいた方がいいとアドバイスします。

先生は人に騙されたことがあるんだそう。時期がきたらすべて話すと私に約束してくれました。

父の病気

卒業論文が認められ、見事卒業することになった私は先生の家でごちそうを食べます。これから何をするのかと聞かれ、決めていないと答えました。

先生たちに2、3日で実家へ帰ると言い、私は東京を立ちました。

家に帰ると、父は依然元気そうでした。私の卒業を祝い、お客さんを呼ぼうという話になりましたが、明治天皇の病気が新聞に載り、遠慮しようという形になりました。

それ以来、父の元気は衰えていきます。どうやら自分の病気と天皇の病気を結び付けているようでした。天皇の死が報じられたとき、父は「自分も、、、」とつぶやきます。

先生からの手紙

母は先生に就職先をお願いしたらどうだとすすめ、私は先生に手紙を書きます。しかし1週間たっても返事は帰ってきませんでした。

9月になって東京へ出ようと決め、出発の2日前、父がまた倒れます。そのため東京行きを延期することにしました。

3、4日後また父が倒れ、同じような状態で1週間を過ごします。そんな時先生から1通の電報が届き、東京へ出てこられないかと書かれていました。

しかし父の病気のこともあり、行けないと電報を打ち、父が危篤であるという内容の手紙も送ります。2日後、電報で来なくても大丈夫だという文が届きました。

父は昏睡状態になり、父の氷水を取り換えていると、1通の手紙が届きます。かなり分厚い手紙で宛名は先生からでした。

手紙には先生の過去について書かれていて、最後のページを見ると「この手紙を読むころ私はこの世にいないでしょう」と言う文が目に入ります。

私は急いで停車場へ行き、東京行きの列車に乗り込み手紙を最初から最後まで読みます。

手紙の内容

先生が両親を亡くしたのは20歳にならないときで、家には相当の財産がありました。先生はたった1人残され、叔父を頼ります。

叔父は東京の高等学校へ通えるように計らってくれて、仕送りもしてくれました。先生は叔父さんを信頼していました。

夏休みに実家へ帰ると、実家には叔父夫婦が代わりに住んでいました。先生は実家に帰るたびに叔父から叔父の娘との結婚を勧めます。

先生はその話を何回も断っていました。3度目に帰った時、叔父や周りの人の態度が変わっていました。そのころから叔父が管理していた父の財産について調べ始めます。

実は、叔父は実の父の財産をごまかしていて、予想よりはるかに少ないものしか残っていません。すべて金の形に変え、長い間故郷を離れることを決意します。

親友の「K」

学生だった先生にとって残ったお金はそれでも十分なもので、騒々しい下宿を出て、ある軍人の家族が住んでいる家に下宿することになりました。

その軍人は戦争で亡くなり、家に住んでいるのは奥さんと1人娘下女だけなんだそう。先生は次第に奥さんとその娘のお嬢さんと仲良くなります。

ある時、その家にもう1人男が入り込むことになります。それは先生の友人の「K」で、むしろ自分からこの下宿先に引っ張ってきたのでした。

嫉妬の心

「K」は真宗のお坊さんの子供で、次男だったのである医者の家に養子に出されていました。

養子の家ではKに医者にするつもりで東京へ出しましたが、Kはそのつもりはなく先生と同じ科へと進学します。

Kは自分から嘘をついていたことを白状し、実家からも養子の家からも怒りを買います。結局、実家のほうへ戻ることになり、実家のほうでも縁を切られてしまいます。

彼は生活のため働きながら学校へと通い、次第に感情的になっていきます。先生は仕事を辞めるよう言い、療養させるために下宿先に連れてきたのでした。

下宿先の奥さんや娘さんにもKに優しくするよう取り計らい、自分以外に世界があるように理解し始めます。

ある日、先生の帰りが遅くなった時、お嬢さんとKが話しているのが聞こえます。奥さんは留守なようでした。それ以来Kに対する嫉妬の心が芽生え始めます。

精神的に向上心のないものは馬鹿だ

11月の寒い雨の降る日、細い道の先でKと出会います。その後ろにはお嬢さんが一緒にいました。Kは町で偶然出会い、一緒に帰ったと言い訳します。

ある時、家にKと先生だけになると、Kは珍しく先生の部屋にきて、実はお嬢さんを好きになってしまったと告白しました。

先生は先を越されたなと思い、自分もお嬢さんへの気持ちを明かそうと思いますが、タイミングを逃してしまいます。

学校が始まり、先生が図書館で調べ物をしていました。そこへKがやってきて、散歩をしないかと誘います。

Kはお嬢さんに恋をしてしまった自分のことをどう思うかと先生に聞きます。

Kは自分が弱い人間であるのが恥ずかしく苦しいんだと言います。先生は「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」とKの恋を妨げる一言をぶつけます。

僕は馬鹿だ」とKは答え地面を見つめます。

結末

先生はKの知らないうちに事を運ぼうと、奥さんにお嬢さんをくださいと直談判しに行きます。

奥さんは了承し、どうぞ貰ってくださいと答えました。5、6日たち、奥さんはKに結婚することを伝えてしまいます。

次の土曜日の晩、Kは自殺してしまいます。Kの遺書には自殺した理由は書かれておらず、お嬢さんに恋をしていたことも書かれていませんでした。

その後、先生は大学を卒業し、お嬢さんと結婚しました。先生は妻の顔を見るたび、Kのことを思い出して妻を遠ざけるようになります。

ありのままを妻に打ち明けようと思ったこともありましたが、純白な彼女を汚したくなくていうことができませんでした。

Kへの罪の償いとして、先生は毎月Kの墓へ参り、妻を優しく接するようになりました。

明治天皇が亡くなり、先生も自殺する決心をしました。この手紙がわたっているころにはもうこの世にはいないでしょうと締めくくられていました。

まとめ感想

Kは自殺し、先生は苦しみ続け、最終的に自殺する決意をしてしまいました。

先生が放った「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」という言葉が印象的で、初めにこの本を読んだ中学生の頃から記憶に残り続けています。

明治天皇が亡くなり、先生も自殺を選んだ心情は複雑で理解するのが難しかったですが、先生もなにかきっかけが欲しかったのではないかと私は思いました。

全部で300ページほどの作品でしたが、それほど難しい文章ではなくさらりと読めたので、ぜひ皆さんもご覧ください。

青空文庫さんのほうで無料で公開されています。青空文庫-こころ

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