【ネタバレ感想】家族ゲームpart2 著:本間洋平(ほんま ようへい) ネタバレ感想2
2022/01/15
カテゴリー:小説
概要
こちらは「家族ゲーム」のネタバレ感想part2になります!まだ前回のpart1読んでないよーという方はぜひそちらを先にご覧ください!!
前回、ぼく、慎一は毎日の繰り返しに飽きて本屋で盗みをしてしまいます。茂之も家庭教師との約束を全く守りません。
家庭教師の吉本はどう茂之に取り組んでいくのでしょうか。
目次
家族ゲームpart2
登場人物
・沼田慎一(ぼく)…茂之の兄で、成績優秀な高校2年生。
・沼田茂之…成績が悪い中学3年生。慎一の弟で、家庭教師の吉本に教わる。
・父…小さな自動車工場を営む慎一と茂之の父。
・母…慎一と茂之の母親。
・吉本…茂之の新しい家庭教師。z大学で7年留年している
テストの結果
家庭教師は布団たたきを手に持ち、弟が話すのを待ちますが、耐え切れずテストはどうだったと聞きました。家庭教師はまた自分から話さなければいけないことにいら立ちます。
弟に後ろを向いて尻を出せと言います。家庭教師はテストを言わなかったことと宿題をしなかった分で10発叩くといいます。
家庭教師は笑いながら自分のことは自分で言うと約束しただろと調教師のように弟の尻を叩きます。弟もゲームを楽しんでいるように見えます。
そこへ母が入ってきてまた訳を聞きますが、2人は笑いあっています。
家庭教師がテストの結果出ていると思うのですがと聞くと、母親は自分の出番のように張り切り、テストを出しなさいと弟に言いますが、弟は母の言葉を無視します。
z大学3年留年
家庭教師はまた人に言われる前に自分で言えと平手を加えます。家庭教師は見事に平手が決まり、笑っています。
母親は弟のカバンからテストを探し26点のテストが出てきます。弟はその点数を聞いて笑います。家庭教師は自分のことのように照れています。
母親がこれまでの最高点だと弟を励まし、自分の役割を果たしたように満足げに出ていきました。
弟は家庭教師がz大学で3年も遅れているんですか?とどもりながら聞きます。家庭教師がごまかしても弟は食い下がり何回も聞きます。
自分のことはしゃべらないのに、人のことなら良くしゃべるなと彼が言うと、弟はまた身を縮めて薄笑いに戻ります。弟は勉強を始め家庭教師はまた横で寝始めてしまいました。
弟は家庭教師のほうを見ず、ひたすら書き続けています。そういった集中力はちゃんと持ち合わせているのでした。
うまくねえ
ふすまが空いて、父親が部屋にそっと入ってきます。「寝られたんじゃうまくねえ」と言いながら足音を響かせて家庭教師の周りを歩き回ります。
弟は手を止めて父と家庭教師を見比べ静かに笑っています。父親は一周して出ていきました。
ぼくは家庭教師の様子を見ると、家庭教師は実は起きていたのでした。ぼくは本屋さんで盗みをした後のことを思い出していました。
本屋を出て路地に入ると、エンジンをふかす男2人が隣にやってきます。そのうちの一人は中学校の同級生で、その時いじめられていた男でした。
その男は横目で僕を見ています。その目線にいら立ち気づくと彼に体当たりをしていました。そのまま顔を殴りますが、その男は反撃してきません。
起き上がり蹴りを入れ続けます。暴力を加えることが恐ろしく、その恐ろしさからさらに攻撃を加えていたのです。
暴行していた時僕が考えていたのは、中学の時のカエルの解剖でした。解剖をした後ぼくはまだ動いている心臓を突き刺し手足を切り刻みます。
他の1人が後ろから突き飛ばしてやっと攻撃を止めました。ぼくはそれを思い返し、自分の恐ろしさに戸惑っています。
42点のテスト
家庭教師は飛び起きて、終わったかと弟に聞きます。弟はかなり単語を書いていたのでそれで授業は終わりとなります。
弟はまた薄笑いを浮かべ、子供のころ勉強はできたのか?と家庭教師に尋ねます。お前と同じでできなかったよと答えると、だからz大学なんですねと言いました。
家庭教師は笑いながら帰っていきました。
ある日、家庭教師は早めに来て、弟とテレビゲームをしていました。家庭教師は負け続きで、弟は薄笑いの目で得意げに笑います。
その様子に乗せられて、これが最後だと言いながら、3回ほど続けていました。負けたタイミングで期末テストはどうしたと弟に聞きます。
弟はゆっくりテストを開き、家庭教師は早くしろと怒鳴りますが、テストの点は42点で前よりも上がっていました。
家庭教師はもっと取れても良いだろうというと弟はそうですよと同調し、調子に乗るなと怒られました。そこへ母親がアイスを持ってきて、志望校をc高校で出しておいたと言います。
本当は自分で志望校を提出しなければいけないのに、それを母親にさせていたのでした。家庭教師はそんなことするから余計自分のことをしないのだと非難しました。
今度は弟に志望校を自分で決めないことを聞くと、弟は得意げな顔を消し殴られるのを警戒しています。結局弟は尻を叩かれてしまいました。
悔しかったら俺を辞めさせてみるんだなと弟に言います。弟は父さんが雇っているから無理だと言い、さらに家庭教師に怒られてしまいました。
昔のぼく
この日ぼくは滑り台を飽きるまで滑ってみました。とても開放感があり、もっと早く滑ってみればよかったと思いました。
弟にボール紙を持ってこさせ、今月の目標を書かせます。1つ目が1年2年の復習で、2つ目が自分のことは自分でする、3つ目が言われたことは正しければ実行するでした。
それを何度か声に出させて読ませて、また弟のノートの書き写しが始まりました。ぼくは部屋を出て台所へ行くと、父は酒を飲み母はアルバムを見ていました。
口を半分開けて間の抜けた顔をした昔のぼくを見て、やっぱり子供なのねと母親は嬉しそうに笑っています。当時、ぼくはこの顔をわざと作っていました。
この顔をするとクラスの女子の受けが良く、人はリラックスした人間に親しみを持つことを知っていたからです。それを中学生になるまで続けていました。
父親は若いころから酒好きで、弟が生まれた時も立ち会わず母親に荷物を届けて赤ちゃんの顔を見ずに帰ってしまうほどでした。
ぼくの顔をみて「これは賢そうね」という母に、「無理やり勉強させられてたんだよ」とぼくはうっかり言ってしまいます。
母は無理やりさせたことなどないと反論し、僕の心を覗くように目を見てきます。父親だけが鼻歌交じりに上機嫌でした。
家庭教師と家族はご飯を一緒に食べます。父の他はしゃべらず父だけが陽気なのでした。ぼくはそんななか日々の消耗感と不安感、そして母親に余計なことを言ってしまった後悔を抱えています。
ぼくは6年前の自分のアルバムを見ます。直接母親に勉強を強いられることはありませんでしたが、仕草の中にそれを感じさせるものがあったのでした。
家庭教師は話を適当にまとめて帰ってしまいました。
ラブレター
夏休みが終わり秋になりました。また団地はコンクリートのポンプと化しています。ぼくはテーブルにコマを投げ出します。
最近、子供のころの遊びを一通り試しているのでした。弟は部屋で女の子からもらっただろう手紙を読んでいます。
何回もそれを読み返し、ぼくのほうを見て薄笑いの顔を向けよだれをたらします。そこへ家庭教師がやってきました。
弟は慌ててラブレターを隠しますが、ぼくは家庭教師に手紙のことをばらします。実は夏休みに家庭教師も加えて家族で実家へ行っていて、ぼくらは仲良しになっていました。
家庭教師は目を輝かせて、見せてほしいと弟に言いますが、弟は家庭教師の持っているパンフレットに話をそらします。
それもうまくかわされたので、弟は社会が89点だったと質問をすり替えます。家庭教師が英語はどうだったかと聞くと弟は黙ってしまいました。
弟はお金がもらえますよと言い、64点の英語のテストを見せます。以前父と60点を超えたら5万出すという約束を弟は覚えていたのでした。
弟の成績は確実に伸びていたのでした。
お金の使い道
家庭教師が点数上がったんだからさっさと見せろよと言います。弟は相手をじらして、相手が与えるほめる言葉を待っていたのでした。
しかし彼は点数のことは言わず目標を読めと言います。今月の目標は、5教科の1・2年生の復習、自分のことは自分で発言し行う、にやにや笑いはやめるという3つでした。
読み終わった後ににやにや笑っていた弟に家庭教師は今読んだばかりだろうと怒ります。ぼくはとてもこの笑い癖は治らないだろうと思いました。
弟が勉強を始めたので、ぼくは家庭教師にどこかへ行くんですか?と聞くと、アフリカのシルクロードへ行くつもりだと言いました。
彼は1年に1回、その年に稼いだお金をすべて使って旅行をしているそう。今は茂之を利用してお金をためている途中なんだと言いました。
ぼくが旅行の理由を聞くと、毎日同じような日常だと飽きてしまうからといいました。ぼくには無計画な旅や危険な旅が考えられず、つい大声で驚きました。
美人で多才な彼女
ぼくがアフリカ旅行のパンフレットを読み終わって顔を上げると、家庭教師は茂之の手紙を勝手に読んでいました。
弟はとびかかりますが、簡単によけられてしまいました。家庭教師は笑いながら内容を読み上げます。
その手紙は隣のクラスの女の子からで、少し興味があり友達になれるかもと書いてあります。
そこまで読んで家庭教師の嬉しそうな声が次第に弱まります。ぼくは思いがけない内容に驚いています。
手紙の最後には、袖の汚れは洗濯するなど少しの努力をするべきだと書いてありました。ぼくはこの手紙の書いた女の人を知っていて、彼女は美人で才女だと学校中で有名な人なのでした。
弟は頬を赤らめます。ぼくがずいぶん積極的な女子だなというと、家庭教師はのびのび生きているのは女の子のほうで、男は制限づけられ禁止されることが多いと笑みを浮かべます。
家庭教師の父親が必要とされたのは子供を作った時と、金を持ってくる時だけで、定年間際で死んでしまったと彼は言いました。
5万円
そこへ母が入ってきて、家庭教師は女の子には生きやすい時代ですよねと話しかけました。彼女は昔の自分が絵と文学に夢中だったと言い機嫌がよさそうです。
母は人と人が喧嘩せず仲良く話しているのがうれしいのでした。さらに母親は茂之にもっと野性的になってほしいとぼくに横眼を向けながら言います。
最近、母親の僕に対する態度が変わってきたと僕は感じました。僕の成績が下がり、弟の成績が上がり家庭教師の信頼度が上がったせいだろうかと僕は考えます。
母親は出ていき、僕はしばらくパンフレットを眺めていました。
次に父親が部屋に入ってきて、家庭教師に約束の裸の5枚のお札を渡します。家庭教師は興味なさそうに礼を言い、本に目を落とします。
弟だけがにやにや笑い、父親を眺めています。ぼくはこの人も哀れな父親なのだろうかと考えてみました。
感想
弟の茂之は着々と成績を上げて、家族内の評価も変わってきているようです。
一方、ぼくは成績を落とし、日々に消耗感と不安感を感じています。家庭教師は毎日同じような日常だと飽きるから旅行へ行くのだと言い、それをぼくは信じられなく思っています。
朝同じ時間に起きて、同じようなことをしてまた寝るの繰り返しで飽きてしまうぼくの気持ちは少しわかる気がしました。
何のために生きるのか、何をしたいのかというテーマが少し垣間見えた気がします。星の王子さまとテーマが少し似ているかもしれませんね。
他にも小説のネタバレ感想は更新予定なので、是非SNSフォローしてお待ちください!