【ネタバレ感想】「砲丸ママ」「電光セッカチ」 著:重松清(しげまつ きよし)
2022/04/13
カテゴリー:小説
概要
このページでは重松清さんの「砲丸ママ」「電光セッカチ」のネタバレ感想をしています!
この2作品は同じく重松清さんの「みぞれ」の文庫本に収録されています!
同じみぞれに収録されている「拝啓ノストラダムス様」「正義感モバイル」のネタバレ記事もあるので良ければそちらもご覧ください!
目次
砲丸ママ
登場人物
・千春…元砲丸投げ選手。ゲンの母。
・ゲン…小学五年生の男の子。
・私…千春の夫で、元陸上部のマネージャー。
砲丸投げ
小学五年生のゲンの作文には、母の千春の得意技として砲丸投げが書かれていました。
一方、父親の特技はまだ書かれていません。朝から考えていても何も思い浮かばなかったとゲンは言います。
千春に何か得意技はないのかと聞かれ、何個が挙げますがすべて却下されてしまいます。千春は高校の頃の得意技があるでしょと言います。
千春とは同じ高校の陸上部の同級生で、お互い初恋で結婚までたどり着きました。
私は陸上部で1人きりのマネージャーで、千春はただ1人の砲丸投げの選手でした。千春はライン引きが私の得意技だと言います。
森千夏さん
ある朝、ママが泣いてるとゲンが起こしに来ました。女子砲丸投げのオリンピック代表の森千夏さんが亡くなったというニュースを聞き、千春は泣いていたのでした。
彼女はまだ26歳で、日本記録の保持者でした。千春は彼女がオリンピックに出る前から知っていて、とても応援していました。
オリンピックで予選落ちした彼女はもうすでにガンに体を蝕まれていて、そのことを千春は知りませんでした。
再開
千春は泣き止むと、砲丸投げのフォームの練習をし始めました。その後1万円もする公式の砲丸を買いに行きます。
夕方になると、千春はゲンと一緒に河川敷へ出かけ、砲丸を投げています。ゲンは千春の投げるのがかっこいいようで、しきりに千春をほめています。
結末
夏休みになり、家族3人は実家へ帰省します。まだゲンの作文に私の得意技は書かれていません。
千春はゲンにライン引きを見せようと母校へ向かいます。千春は野球部にラインカーを借りに行き、その後姿を見て私は当時のことを思い出します。
元々マネージャー志望ではなく、最初は中距離層のランナーをしていた私ですが、1年生の夏にひざを痛め、顧問の先生からマネージャーの話を貰います。
どうしようか迷っているとき、私は千春が1人で練習しているのを見つけます。砲丸投げの選手は他におらず、彼女が自分で引いたラインはぐちゃぐちゃでした。
それをみてマネージャーをすることに決めたのでした。
東京へ帰り、ゲンは「パパの得意技は運がいいことです。もし足をけがしてマネージャーになっていなかったらママと出会えていませんでした。」と作文の続きを書きます。
電光セッカチ
登場人物
・ダンナ…待つことができない電光セッカチ。
・典子…ダンナの夫で、最近夫のことが嫌いになってきている。のんきな性格。
・健太郎…ダンナと典子の息子。チック症を患う。
セッカチなダンナ
ダンナは待つことが嫌いで、電光石火のセッカチなのでした。典子は最近そんなダンナのことが嫌いになってきていました。
結婚してから7年がたっていて、典子はのんきな性格で性格は真逆なのでした。息子の健太郎はそんなダンナの影響からか、右のまぶたが時々ひくつくようになります。
医者はチック症だと診断し、ひどいときはほっぺまでひきつっていました。ダンナは健太郎に勉強を教えるときもタイムトライアルにして、文字を書くのをせかします。
健太郎は焦らされて、右まぶたがひくつきます。典子はせかさないで上げてと口をはさみますが、急かすのを辞めません。
とうとう典子は健太郎を連れて、家を飛び出しました。
初めての家出
2人がタクシーに乗ると、後ろからダンナが追いかけてきます。典子はそのへんをぐるっと回るように運転手にお願いします。
結婚7年目で初めての家出でした。30分ほどで帰宅すると、家の中にはダンナはいません。
典子の電話が鳴り、母からダンナから電話があったよと知らされます。ダンナは典子の実家に電話し、そっちに向かってるはずだから自分もそっちに向かうと言ったんだそう。
今度は玄関のチャイムが鳴り、警官がやってきます。警官によると、ダンナがこの辺で飛び降り自殺の通報は入っていないかと問い合わせがあったんだそう。
温泉旅行
横浜から帰ってきたダンナは疲れ切った顔で帰ってきました。電車の中でずっとニュースをチェックしていたんだそう。
ダンナは反省してくれたようです。明日とあさっては会社を休むと連絡したから温泉に行こうと半ば強引に決めます。
結末
ダンナは何回も温泉に入りに行き、のぼせています。典子は今回の旅行ではテレビもゲームも新聞もなしと条件を付けます。
夕食まで1時間以上あり、ダンナと健太郎が遊ぶ様子をみて、典子は早く時間がたたないかとイライラします。
典子は旦那の気持ちが少しわかった気がしました。
まとめ感想
「砲丸ママ」では応援していた選手の死をきっかけに千春は砲丸投げを再開します。そして私と千春の出会いのきっかけを息子の健太郎が知り、パパの得意技を見つけたというお話でした。
息子の作文を通して、父と母の出会いを描くストーリーでとても綺麗だなと思いました。
「電光セッカチ」では、性格の違う典子とダンナが登場し、典子は最終的にダンナのセッカチな気持ちが分かるようになりました。
性格の違いで離婚する夫婦もあれば、意外にそれでうまくいく夫婦もありますよね。お互いの気持ちを理解しあうことが良い夫婦を築き上げるコツなのかもしれません。
当サイトでは同じ「みぞれ」に収録されている「拝啓ノストラダムス様」「正義感モバイル」や、同じく重松清さんの「エイジ」などネタバレしてますので是非ご覧ください!SNSもフォローお願いします!!