【ネタバレ感想】「拝啓ノストラダムス様」「正義感モバイル」 著:重松清(しげまつ きよし)
2022/04/12
カテゴリー:小説
概要
このページでは重松清さんの「拝啓ノストラダムス様」「正義感モバイル」のネタバレ感想をしています!
この2作品は同じく重松清さんの「みぞれ」の文庫本に収録されているお話で、どちらも30ページほどの内容です!
どちらも読みやすく小学生の読書にもおすすめの作品となっています!
もちろん大人が読んでも深みがあって面白い作品でした。
目次
拝啓ノストラダムス様
登場人物
・カスミ…女子高校生で、ある日自殺を図る。
・ユウ…男子高校生。カスミの幼馴染。
ノストラダムスの大予言
カスミとユウは幼馴染で、高校生になりました。
中学3年生の頃、ユウはノストラダムスの予言を信じて、7月に人類は絶滅すると信じ切っていました。
受験勉強をせず、カスミの忠告も聞かず、定員割れの都立高校へ通います。
自殺未遂
ある時、マンションの前に救急車がとまり、カスミが運ばれます。
それから1日半たち、カスミがインターネットで青酸カリや睡眠薬を購入できるサイトへアクセスし、それを飲んだことが発覚します。
その自殺のサイトを利用したのは7人に達していて、2人が死んだんだそう。
ニュースでもとある都立高校1年生が睡眠薬で自殺を図ったことが報じられます。睡眠薬を飲んだ理由はわかっていないようです。
カスミの母から、ユウに会いたいとカスミが言っていると聞き、彼はカスミに会いに行きます。
薬の瓶
カスミはやつれた様子もなく元気そうです。彼女はまだ薬を持っていると言います。
薬の瓶の中に300個以上のカプセルが入っていて、大半の胃薬の中に3つ一気に飲むと致死量に達する睡眠薬のカプセルや、1つで死に至る青酸カリのカプセルが入っているんだそう。
それを1日に3つずつ飲むゲームをカスミはしていました。カスミは死ぬ理由はないけど、生きる理由もないと言います。
カスミはユウに薬の隠し場所を教え、欲しければあげるよと言います。
結末
翌日、またお見舞いに行くと、薬やっぱり返してとカスミは言います。もう自殺なんてしないよなとユウは聞きますが、返事はありませんでした。
カスミは1週間ほどで退院し、ユウは薬の瓶を元の場所に帰します。時々、ユウは薬の瓶を確認しに行きますが、少しずつ中身は減っていきます。
残りの薬が3つになった時、瓶の中に今日花火を見ようという手紙を入れておきます。約束の時間にカスミは現れ、手のひらに乗せた薬3つを見せます。
ユウはカスミに全部取り換えたから死なねーよと言います。カスミはどうやらそのことをわかっていたようです。
花火がはじけた時、カスミはありがとうと口を動かします。
正義感モバイル
登場人物
・由美子…レポーターで元アイドルグループの一員。引退後復帰した。
・高見さん…ディレクター。
・長谷川さん…カメラマン兼ドライバー。
・レイ…マスコミ志望の大学2年生。勉強のためアシスタントをしている。
・桐原恵里…由美子と同じアイドルグループだった。解散後独立し、芸能界で活躍中。
今日もお蔵入り
ディレクターの高見さん、カメラマン兼ドライバーの長谷川さん、レポーターの由美子さんとレイは取材現場に向かっていました。
高見さんと長谷川さんは小さな制作会社の社員で、大きなニュースがない日に街頭インタビューを放送する担当でした。
レイはマスコミ志望の大学2年生で、高見さんのアシスタントを無給で手伝っていました。
電話がなり、今日も放送は無しでお蔵入りだという知らせが入ります。
由美子さん
高見さんとレイは2人で夜ご飯を食べます。レイは来週いっぱいでアシスタントは終わりで、何か得られるものはあったかと聞かれます。
レイは黙ってしまいます。その後、昔アイドルだった由美子さんの話になります。
由美子さんのグループはレイが中学生ごろに解散し、独立した桐原恵里以外は芸能界から消えていきました。
レイはアシスタントを始めるまで、由美子さんが離婚して28歳で芸能界に復帰したことを知りませんでした。
キレた
数日後、街頭インタビューをしているとき、由美子さんの熱狂的なファンだったおばさんに話しかけられます。
由美子さんは迷惑そうな顔をしながらも嬉しそうでした。おばさんがまた歌ってほしいといい、由美子さんはそれを聞いて、キレてタクシーに乗って帰ってしまいました。
実は、年末特番で一夜限りの再結成の話があり、由美子さんは了承しましたが、他のメンバーはだれもOKしなかったんだそう。
それで企画がつぶれて、1人だけ恥をかいたんだと高見さんから聞きます。
初めてのリポーター
レイのアシスタントの最終日、由美子さんは現れず、レイがリポーターをすることになります。
高見さんの電話が鳴り、たったいま桐原恵里が自殺を図ったという知らせが入り、そのニュースの街頭インタビューをすることになります。
みんなそれを聞いた瞬間、一瞬笑っていました。レイは腹立たしく思いますが、高見さんはみんな大きな事件や他人の不幸を聞くと一瞬笑うんだよといいます。
たしかに自分も笑ってしまうかもとレイは思います。
自殺未遂
また高見さんの電話が鳴り、ライバル局のテレビを付けます。テレビの中には由美子さんがいて、元メンバーの桐原恵里の自殺未遂について語っていました。
電話の相手のプロデューサーは怒鳴りまくって電話を切ります。どうやら由美子さんの事務所が勝手にライバル局の出演を決めたんだそう。
由美子さんは生放送に出演した後、行方不明になり、事務所に二度目の引退を告げ、いま高見さんのほうへ向かっているそう。
会うと彼女は意外に明るい表情で、自分が街頭インタビューをしたら通行人にも大うけだねといいます。
結末
彼女は通行人に質問を繰り返し、昨日のようにキレずに最後まで仕事をやりぬきます。
最後にレイは高見さんにマイクを渡され、由美子さんに引退のコメントを貰いに行きます。
レイは「お疲れ様でした」と声を掛け、彼女は「楽しかった、さよなら」といい、テレビの世界から姿を消します。
まとめ感想
「拝啓ノストラダムス様」では、自殺を図ったカスミの薬をユウが入れ替えて、助けてあげるというお話でした。
「死ぬ理由もないけど生きる理由もない」という中高生は意外にも多いのかもしれません。生きる理由を見つけるのは難しいですよね。
2つめの「正義感モバイル」では大学2年生でこれからマスコミへと足を踏み入れる少女が、由美子さんというアイドルの引退を見届けると言うお話でした。
他人の不幸で一瞬笑ってしまうのはどこか刺激を皆求めているせいかもしれません。どちらのお話もすぐ読めるのでぜひ書籍でもご覧ください!
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