エイジ -著:重松清(しげまつ きよし)- ネタバレ感想後編
2023/06/26
カテゴリー:小説
概要
このページは「エイジ」のネタバレ後編となっています‼まだ前編読んでいない方は是非そちらからご覧ください。
前回までのお話で同級生のタカやんは逮捕されてしまいました。また、引退したバスケ部のキャプテンである岡野は部内で無視されているようです。
エイジが思いを寄せている相沢との関係も進展していきます。
目次
ストーリー
登場人物
・高橋エイジ…主人公で、元バスケ部。膝をけがして休部している。
・ツカちゃん…クラスで一番のお調子者。
・土屋先生…エイジたちのクラスの担任。
・藤田タモツ…クラスで一番の秀才。クールな性格でプライドが高い。
・相沢志穂…エイジが片思いをしている女の子。小柄でショートヘアーのテニス部。
・エイジの父親…南多摩商業高校に勤める国語の先生。
・岡野…バスケ部でキャプテンを務める。エイジと親友だった。無口で気が弱く優しい性格。
・小松…まじめな福祉委員長。
・富山さん…バスケ部の元副キャプテン。現高校三年生。
・島田…2年A組のバスケ部
・テツ…2年A組のバスケ部
・タカやん…あまり目立たないエイジのクラスメート。通り魔事件の犯人。
・本条めぐみ…1年生でテニス部。相沢がエイジに紹介した女の子。
初めての会話
ある日、はじめて相沢志穂から話しかけられます。ついさっき福祉委員は集合してほしいという放送があったのです。
ベランダでツカちゃんたちとトランプをしていたエイジは、相沢と一緒に生徒会室へ向かいます。
相沢は話を振ってくれますが、エイジは相づちしか返せません。相沢は「今付き合っている子はいる?」とエイジに聞きます。
にやけないように「いない」と答えると、相沢はテニス部の1年の本条めぐみちゃんと付き合ってみない?と言われてしまいます。
エイジはがっかりして何度も首を振り、その場を去ろうとします。めぐみちゃんはエイジがバスケをやっているのを見て好きになったんだといいます。
加えて、「バスケ部を辞めたの?」と相沢は聞きます。岡野が無視されていることを相沢は知っていて、このままだとひどいことになるよと相沢は言いました。
小松は近くの私立大学で不用品バザーを行うと言いました。部活で新人戦に出る人以外は参加で、エイジは参加することにしました。
相沢にエイジは新人戦出ないのかと聞かれますが、無視しました。相沢はテニス部の新人戦があるようです。役割決めが終わると、相沢は怒った様子で教室を出ていきます。
インタビュー
10月16日、学校帰りにオジサンが話しかけてきます。エイジは取材だと察し、タカやんについていろいろ聞かれます。
彼は鷺沼さんといい、おばさん向けの週刊誌の記者でした。取材を終えるとすぐに他の生徒へと取材しに行きました。
週が明けると学校の周りは静かになり、ニュースの扱いも小さくなっていきました。
ひざの状態を確認しにクリニックへ行きますが、まだ成長期が終わるまでは痛むんだそう。先生はエイジの中学校を知っていて、うちにも被害者が3人通院していると教えてくれました。
けがの状態はほとんど直っているけど、精神的なものはまだ残っているんだそう。診断を終え、待合室へ行くとラックに鷺沼さんの雑誌が置いてありました。
読むと失恋が犯行の動機なのではないかと記事に書かれています。
少年には好きな女の子「A子さん」がいて、その子に馬鹿にされたような仕打ちを受けて女性に対して悪い感情を抱くようになったと書かれていました。
A子さん探し
中間試験の結果が帰ってきて、エイジは自己最低点を取ります。自分の斜め前に相沢志穂がいます。
相沢は中間試験を1日目しか受けず、試験明けの土曜日も休んでいました。
鷺沼さんの雑誌が出た後の中間試験1日目、クラス中でA子さん探しが始まり、相沢じゃないかとみんなが疑います。
相沢の周りは人だかりができていて、周りにいる女子が慰めていました。相沢は心当たりがないと泣き出しそうな声です。
今日は相沢は来ていて、普段と変わらない様子でみんなとおしゃべりしています。エイジが相沢のほうを見ると、相沢もこっちを見ていて、「あとで」と口を動かします。
相沢とベランダへ出ると、バスケ部へ戻ってほしいと話を切り出します。
岡野が部内で無視されていて、3年の富山さんがしょっちゅう練習にきてボールをぶつけたりしているんだそう。
エイジはそんなことしても岡野は喜ばないと答えました。相沢は「ゆーじょう見せてよ」といい、教室に戻ります。エイジは相沢が岡野のことが好きなんだと思いました。
不用品バザー
エイジたちは不用品バザーで売り子をしていました。
昨日の午後から新人戦は始まっていて、バスケ部は昨日の予選は無事勝ち上がっているだろうとエイジは予想していました。
創部以来、予選落ちしたことは無かったからです。小松に呼ばれ、テントの前を振り向くと、相沢志穂が来ていました。
相沢は2回戦で負けて時間ができたから来たんだそう。向こうに言って話そうということになり、歩き出すと相沢の後ろにスポーツバッグを下げた女の子がいました。
テントの裏に行くと、相沢はバスケ部が昨日の予選で敗退したことを伝えます。結果は3戦全敗で、試合中も岡野は存在を消され、誰もフォローしてくれなかったようです。
相沢は練習の時は無視していても、さすがに試合の時は違うと思っていたのにとため息をつきます。
エイジは信じる方が甘いんだよといい、2人はけんかになります。エイジはそのまま逃げようとしますが、離れたところにいる相沢が連れてきた女の子が見えます。
彼女は相沢が以前紹介したいと言っていた1年生の本条めぐみで、エイジは彼女と付き合うよと言います。
エイジは生まれて初めて女の子と2人で歩きます。本条は最初緊張していましたが、次第に話すようになり、明るくて優しそうな子でした。
一緒に学園祭を周り、明日から一緒に学校に行ってもいいかと本条は聞きます。いいよと答えて、これから付き合おうと約束しました。
エイジはいまから好きになればいいと思いました。
ユーミンのCD
家に帰ると、母がタカやんのお母さんにたまたま会ったと言ってきました。1人で買い物にきていて、向こうが気づいて話しかけてくれたんだそう。
今、タカやんはお父さんと一緒に旅行に行っていて、もしかしたら向こうの学校へ転校するかもしれないといいます。
母は変な偏見や差別なんかエイジはせずに、友達でいてあげられるんでしょうといいます。エイジは母の持っていた溶き卵のボウルを床に叩きつけます。
エイジは部屋のベッドに寝ころびいろいろなことを考えていました。
姉が部屋にやってきて、いい加減謝りなよといいます。母はヘッドフォンを付けてユーミンの曲を聞いていて、あれは長引くよと姉は言います。
エイジは部屋を出てキッチンをこっそりのぞくと、夕食は作っておらず、ソファーに座りヘッドフォンに耳を当てています。
以前、姉がピアスを開けた時も夕食の支度を放り出し、ユーミンのCDを聞いていました。母が振り向き、ピザ取る?と大きな声で言います。
エイジは口を小さく動かし、ごめんなさいと言いました。
再度通り魔事件
月曜日、くどいほど何度も気を付けてといって父を送り出す母の声で目を覚まします。
母は昨日の夕方現れた通り魔のことをエイジに教えます。物陰に隠れていた男が大学生をスタンガンで襲ったと言います。
めちゃくちゃな世の中だと母はため息をつきました。
最近プチトマトとレタスの数も増え、食べ残しにうるさくなった母にわかりやすいなとエイジは思います。
キレる
翌朝30分早く家を出ます。本条めぐみが待ち合わせをすっぽかされたと気づくときどんな顔をするかエイジは想像します。
エイジは本条と一緒に歩きたくありませんでした。
1時限目の始まる少し前、本条めぐみが教室にきて、学校休んだのかと思ったと声を掛けます。
エイジは「キレる」という言葉は、自分と相手とのつながりを断ち切ることなんじゃないかと思いました。
エイジはいろんなことから「キレたく」なります。頭が痛いんで保健室へ行くと先生に言い、「授業」からエイジは切れます。
そのまま学校のフェンスをよじ登り学校の外へでて、渋谷へ向かいます。1人で渋谷に行くのは初めてでしたが、似た年齢くらいの学生がたくさんいました。
少し歩くだけで頭がくらくらして、周りを歩いている奴は大体「キレて」いるような奴らばかりでした。
すれ違う人たちを幻のナイフで次々刺していきます。帰りの電車でずっと眠っていて、最寄りについたころ結構楽になれたとエイジは思います。
1日をまだ終わらせたくなくて、切ってしまったチューブはいくつかがもう結びなおされたような気がします。
勘違い
自転車を走らせ、「その気」を隠す場所を探します。
急な上り坂になり、電柱の住所表示を見ようと端に寄った時、暗がりに紛れて気づかなかった前を歩いていたおばさんが通り魔と勘違いして悲鳴を上げます。
違うと言おうとしますが声が出ず、何人も人が集まってきます。
その後派出所の警官によると、エイジは倒れた自転車の下敷きになって「違います違います」と連呼し泣いていたようです。
父が派出所に迎えに来てくれました。父は車内で母が怒っていたと伝えてくれます。エイジは父に車を止めてほしいと言い、道の電話ボックスへ駆け込みます。
ツカちゃんに電話をかけ、相沢志穂の電話番号を尋ねます。ツカちゃんは理由を聞きますが、エイジは「相沢のことが好きで今声が聞きたいんだ」とツカちゃんに言います。
呼び出し音2回で相沢は出ました。用件を伝えると、わざわざ電話してこなくていいじゃんと言われます。
タカやん
次の日、今日からだなと父に声を掛けられます。エイジは部活を再開することにしました。家出の翌日に本条にも悪いけどと切り出し、もう一緒に登校していません。
まだ岡野に部活に復帰することを伝えておらず、いきなり部室に言って岡野におはようと声を掛けようとエイジは決めます。
教室へ行くとタカやんが来ていました。
タカやんはまだ誰とも話をしておらず、教室は異様な雰囲気が漂っています。女子のグループがざわめき、相沢がタカやんのほうへ歩いていきます。
相沢は心当たりはないけど、何か嫌なことをしちゃったんならごめんと謝りました。
タカやんは何も答えません。ツカちゃんは笑いながら、週刊誌を丸めて筒にしてタカやんの背後に近づきます。
そしていきなり背中に筒を叩きつけます。ツカちゃんは人間いきなり殴られたら痛いんだよといいます。タカやんは何度もうなずき笑いながら涙を流します。
まとめ感想
エイジは色々なことから「キレたく」なって学校を飛び出します。そしてすれ違う人たちを次々幻のナイフで刺していきます。
それまでエイジはタカやんと自分の違いはなんだろうと考えていましたが、通り魔だと実際に勘違いされてからは違うと確信できるようになります。
タカやんは無事に学校へ戻ってきて、無事に学校へなじめそうです。
色々な事から「キレて」結びなおすことで、人は成長していくように感じました。
以上となります。ネタバレ読んで面白いなと思われましたらぜひ実際の書籍のほうもご覧ください‼
他にも阿弥陀堂だよりや坊っちゃんなどネタバレしているので、是非そちらもご覧ください。
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