【ネタバレ感想】「ドライブ・マイ・カー」「イエスタデイ」 著:村上春樹(むらかみはるき)
2022/05/01
カテゴリー:小説
概要
このページでは「女のいない男たち」という短編集に収録された2つのお話、「ドライブ・マイ・カー」「イエスタデイ」のネタバレ感想をしています!
著者は村上春樹さんで、「ドライブ・マイ・カー」は映画化され、アカデミー賞4部門ノミネートされた有名なお話です。
どちらのお話も50ページほどでかなり読みやすい印象でした。ネタバレ読んで面白いなと思われましたらぜひ書籍のほうもご覧になってみてください!!
目次
ドライブ・マイ・カー
登場人物
・家福(かふく)…俳優で、お酒と視力に問題があり免許を停止となる。
・大場(おおば)…修理工場の経営者。渡利みさきを家福に紹介する。
・渡利(わたり)みさき…大場に紹介された女性ドライバー。
・家福の妻…子宮がんで亡くなる。
・高槻(たかつき)…家福の妻と関係を持っていた男。
ある女性ドライバー
修理工場の経営者である大場(おおば)は、家福(かふく)が専属の運転手を探していると聞いて、ある女性ドライバーを紹介します。
家福はあまり女性ドライバーを信用しておらず、渋い表情をしますが、大場は彼女の運転の腕は確かだといいます。
2日後、家福の車はきれいに修理され、その女性ドライバーがやってきます。あまり美人とは言えず、そっけない顔をしていました。
名前は渡利みさきといい、家福は試しにその辺を運転してくれとみさきに頼みます。
飲酒運転
大場の言う通り、みさきは優秀なドライバーで、運転操作も滑らかでシフトチェンジも分からないくらいでした。
家福は俳優で、週に6回公演に出演していました。
お酒が入っていたのと、視力に問題があり、接触事故を起こして免許が停止になってしまい、ドライバーが必要となったのです。
そのことをみさきは知っていました。家福は彼女に支払える給料を伝えると、みさきはこの車が気に入ったからと、ドライバーになることを受け入れます。
亡くなった妻
翌日からみさきは家福を劇場へと送り届けます。彼女は感情を外へ出さず、運転に集中しているようでした。
劇場が終わると、みさきに車を舞台裏に回してもらい、家へと送り届けてもらう日々が繰り返されます。
家福はみさきが運転手になってからよく亡くなった妻のことを思い出すようになります。妻も女優で美しい顔立ちをしていました。
29歳で結婚して以来、家福は妻以外の女と寝たことはありませんでしたが、妻のほうは時々寝ていたようでした。
どれも映画で共演した相手で、夫婦関係は良好だったので、どうして彼らと寝る必要があったのか家福にはわかりませんでした。
彼女が子宮がんで亡くなった今、その理由を知ることはできません。
最後に友達を作った時
みさきは24歳になったばかりでした。家福と妻には3日だけ生きた子供がいて、その子が今も生きていればみさきと同じ年齢なのでした。
妻は子供を無くして以来、もう子供は作りたくないといい、家福も同意しました。
みさきがドライバーになって2か月ほどたち、10年近く前、家福が最後に友達を作った時の話をみさきにします。
その男と友達となったのは、妻とその男が寝ていたからだと家福は語ります。
その男が持っていて、家福に持っていないものはたくさんあって、どれが妻を引き付けたのか家福にはわかりませんでした。
結末
その男の名は高槻といい、妻が亡くなってお悔やみを言いに来たときに家福は知り合いました。
妻のことを話したいと高槻を飲みに誘います。彼は感情の読み取りやすい男で、どうやらまだ妻のことが好きなようでした。
高槻は結婚して10年になり、7歳の男の子がいるんだそう。今は別居しており、将来離婚するつもりなんだといいます。
それから家福と高槻は時々一緒に飲む友達となりました。しかし半年くらいして会わなくなったんだとみさきに言いました。
家福はどうにかして高槻を懲らしめてやりたいと思っていましたが、実際には何もしませんでした。
高槻のような何でもないような奴とどうして妻は寝たのかわからないとみさきに言うと、彼女は心が惹かれていなかったから寝たんじゃないんですか?と家福に言います。
女の人にはそういう所があるんだとみさきは語りました。
イエスタデイ
登場人物
・僕…喫茶店でバイトをしている大学2年生。
・木樽(きたる)…僕と同じ喫茶店でバイトをしていて、浪人2年目。
・栗谷えりか…木樽の彼女で大学2年生。
関西弁の勉強
イエスタデイに関西弁の訳をつけたのは僕の知る限り、木樽という男だけでした。
木樽は生まれも育ちも東京でしたが、完璧な関西弁を喋っていました。僕と木樽はどちらも20歳で、ある喫茶店でバイトして出会います。
彼は浪人2年目でしたが、それほど勉強しているようではありませんでした。彼は阪神タイガースのファンでそのコミュニティーに入るために関西弁を勉強したんだと言います。
僕はその逆で、東京へ出てきて、新しい生活を始めるため、関西弁から標準語へと直していました。早稲田大学へ通い、大学2年生となります。
木樽の彼女
彼には小学校の頃から付き合っている女の子がいて、彼女のほうは上智大学でテニスサークルに入っていました。僕は写真を見せてもらいましたが、とても美人な子でした。
木樽と彼女は話し合い、木樽が合格するまで週に1回だけ会うようにして、キスはしますがそれ以上は進まないようにしようと約束したんだそう。
彼らはまだ最後までしたことがないようです。
木樽は僕に「彼女と付きおうてみいひんか?」と提案します。木樽は大学受験に失敗して、自分が2つに分裂したんだそう。
1人は大学生活を満喫している彼女にやきもきしていて、もう1人は1度距離を置いてお互いが本当に必要なのか確かめたいと思っていると木樽は語ります。
デート
僕と木樽とその彼女、栗谷えりかは喫茶店で会います。木樽は栗谷えりかにこいつと付き合ってみてくれというと、彼女は了承します。
その週の土曜日、2人は映画を見てイタリアンを食べます。彼女は木樽について僕に相談します。彼は早稲田しか受験する気はないのに勉強をしようとしないと言います。
加えて木樽が体を求めてこないことに不満を持っているようでした。栗谷えりかは他に付き合っている男がいるそうで、僕はそのことを木樽に言った方がいいと勧めます。
次の日、木樽は僕にデートの感想をいろいろ聞いてきます。彼女が他の男と付き合っていることは黙っていました。
結末
それから2週間くらいして、木樽はバイトを辞めます。ぼくには一言もなく、最後の2日はひどく黙っていました。
16年の月日が流れ、あるワインテイスティングのパーティーで栗田えりかと僕は再会します。
彼女によると、木樽はコロラド州のデンバーで寿司職人をしているそう。結局大学には行かず、調理学校へ通い関西料理を本格的に勉強し、大阪に行ってしまったと彼女はいいます。
当時付き合っていたテニスサークルの男とは半年ほどで別れてしまったそう。その男と初めてしたのは僕と栗田えりかがデートをした1週間後くらいで、木樽は勘の良い男だよと僕は言います。
まとめ感想
「ドライブ・マイ・カー」では代理のドライバーの渡利みさきを通じて、主人公の家福は亡くなった妻のことを思い出すというストーリーでした。
みさきは「家福の妻が心惹かれていなかったから他の男と寝ていたのだ」と家福に教えます。とても複雑な心理ですよね。夫には満足していても他のどうでもよい男と寝たくなることが女の人にはあるのかもしれません。
「イエスタデイ」では、東京生まれで関西弁を話す「木樽」が登場します。浪人生なのに勉強せず、彼女には体を求めない木樽は最終的にアメリカで寿司職人になります。
距離が近すぎる男女はあまり恋愛に発展しにくいのかもしれないですね。
以上となります。当サイトでは村上春樹さんの「一人称単数」や「風の歌を聴け」などネタバレしてますので是非そちらもご覧ください!SNSもフォローお願いします!