【ネタバレ感想】「ビタースィート・ホーム」 著:重松清(しげまつ きよし)
2022/06/17
カテゴリー:小説
概要
このページでは重松清さんが書かれた「ビタースィート・ホーム」のネタバレをしています!
文庫本「ナイフ」に収録された短編小説の1つで、そのほかの4つのお話のネタバレもしているので是非そちらもご覧ください!
上の4つのお話は全て「いじめ」がテーマのお話で、今回のお話もいじめに少し関係あるお話となっています。
目次
ビタースィート・ホーム
登場人物
・私…34歳。一流企業と呼ばれる会社に勤める。
・妻…もともと学校の先生で長男が生まれて退職。専業主婦。
・奈帆(なほ)…小学4年生で長女。担任は水原先生。
・耕平(こうへい)…私と妻の長男。
・水原(みずはら)先生…大学を出たばかりの女性の先生。
奈帆(なほ)の日記
元々学校の先生だった妻は、長女の奈帆(なほ)の日記に書かれた水原先生の感想に対して怒っていました。
5年前、長男の耕平(こうへい)が生まれたのをきっかけに、夫の「私」が強引に止めさせたのでした。
奈帆の日記には、一日の出来事が淡々と描かれていて、感想が書かれておらず、担任の水原先生は「それに対してどう思ったのか書きましょう」と書いています。
妻は、水原先生が教育熱心を装って、電話をかけて嫌味を言いたかっただけだと私に愚痴ります。
私と妻が2人とも仕事をしていた時、奈帆は実家に預けて出席日数がギリギリの生徒を妻は迎えに行っていました。
私は「普通の家庭になりたい」と妻を説得し、耕平が生まれるタイミングで妻は仕事を辞めたのでした。
妻が水原先生にいら立っている理由は、妻が水原先生と似ているからだろうと私は考えます。先生時代の妻も教育熱心で生徒の話ばかり家でしていました。
アンネの日記
ある日、私が家に帰ると妻は泣いて目をはらしていました。日記を見てみると「お母さんが働いていたころのほうが良かった?田村さんの意見を書きましょう」と書かれています。
妻は今度家のことに口出ししてきたら抗議すると息巻いています。次の日家に帰ると、奈帆に呼ばれ、妻が学校に電話をかけて怒っていたと知らされます。
お風呂から上がった妻はクッションを床に投げつけいら立っています。水原先生は奈帆に「アンネの日記」という本を読むよう言ったそう。
奈帆は以前に「アンネの日記」を読んでいて、先生に一度読んだと言いますが、ちゃんと読んでいればあんな感想のない日記は書かないはずだと嘘だと決めつけ、職員室でさらしものにしたと妻は語ります。
妻はそのことを奈帆から聞いて、電話をかけて抗議をしたんだと言います。
みっちゃん
土曜日の朝、妻は奈帆の同級生の親の所へ出かけていきました。私と奈帆、そして耕平は近くの公園へ散歩しに行きます。
奈帆は実は「アンネの日記」をちゃんと読んでいなかったことをカミングアウトします。それよりも日記を勝手に読んで、元の場所と違う場所に入れていることに奈帆は怒っていました。
彼女なりに色々考えているようです。
夕方に妻は帰宅した妻はみんな水原先生に不満を持っているようだと語ります。
奈帆の同級生の「みっちゃん」は生野菜がほとんど食べられず、それを直そうと先生は給食のトレイを5時間目が始まっても机の上においておき、泣きながら毎日給食を食べているんだそう。
他にも、放課後の作業に参加しなかった生徒を無理やり居残りさせたり、テーマが自由だった夏休みの宿題で戦争の絵を描いた生徒の親に電話したりしているそう。
日曜日の夜、校長先生宛に手紙を出し、授業のボイコットをするなど計画を立てていました。23人の親から話を聞きだし、ノートにまとめています。
授業ボイコット
次の日の夜、クラス全員分の話を聞き終えノートにまとめますが、あまり期待するほど不満は集まりませんでした。
会社で会議をしていた私の元へ妻から電話が入ります。妻によると、「みっちゃん」が給食を無理やり食べさせられ全身にじんましんが出て、救急車で搬送されたと言います。
水原先生は普段通り授業を行い、みっちゃんの母と柏原さんと2人で学校へ抗議しに行くと言います。
家に帰って詳しい話を聞くと、明日から授業のボイコットをすると2人は話しているそう。もう夜の10時になっていましたが、今から学校へ行ってくると妻は言います。
私も妻についていくことにしました。柏原さんとみっちゃんのお母さんを含めた4人のお母さんが学校に乗り込み、水原先生と言い合いの喧嘩になったそう。
校長や教頭も説得しましたが、結局授業をボイコットすると母親たちに言わせてしまったようです。
学校へ着くと、水原先生と校長先生、学年主任の先生が迎えてくれました。3人とも疲れ切った顔で座っています。
水原先生は謝る気はないと言い、もう辞表を出したから関係ないと言います。来年結婚するつもりでどうせ辞めるつもりだったので、それが早まっただけだと彼女は笑います。
妻は専業主婦って意外と大変なのだと先生に語り、私は出来れば教師を辞めないでほしいと水原先生に伝え、妻と私は学校を後にします。
結末
翌日、忘れ物をして家に戻ろうとしたところ家の前で奈帆と出会います。奈帆によると、結局誰も授業のボイコットをしなかったようです。
あともう日記のことは大丈夫と奈帆は言います。奈帆は「恋のHAPPY白魔術」という本に書かれてあった背を伸ばすおまじないを信じていたようです。
そこには日記に自分の気持ちを書いてはいけないと書かれていたそう。水原先生はしばらく学校へきていないようです。
私はそのうち水原先生は学校へ来るようになって、来年も先生として働いているような気がすると思いました。
まとめ感想
元々教師だった妻は、教育熱心な水原先生のやり方に不満を持っているようです。その様子を見た「私」は、先生と教師だった時の妻が似ているなと感じ、当時の様子を思い返しています。
みっちゃんが搬送されたことからボイコットの話が出て、水原先生は辞表を出してしまいます。妻と水原先生を重ね、教師を辞めないでほしいと私は先生に伝えました。
今回のお話でいじめられていたのは、給食を無理やり食べさせられた生徒なのでしょうか、それとも無茶な母親からのクレームを受けた水原先生なのでしょうか。
お話の中で水原先生は「こんなのいじめを受けているようなものだ」と語っています。個人的にはどちらもやりすぎな気がしました。
以上となります!当サイトでは同じ「ナイフ」に収録された「ワニとハブとひょうたん池で」「ナイフ」や、「キャッチボール日和」「エビスくん」などもネタバレしてますので是非ご覧ください!SNSもフォローお願いします!!