「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話」
-著:坪田信貴(つぼた のぶたか)-ネタバレ感想前編
2022/02/24
カテゴリー:小説
概要
このお話はタイトルにもある通り、学年ビリのギャルが慶応に合格したストーリーとなっています。
映画「ビリギャル」にもなったり、当時かなり話題になった作品ですよね。
こちらの話は実話で、塾講師の坪田信貴さん目線で描かれています。単行本内にはそんな慶応大学に導いた指導テクニックも事細かに記載されています。
このページではさやかちゃんのエピソードだけ抜き取ってまとめています!
目次
ストーリー
登場人物
・さやかちゃん…学年ビリのギャル。高2の夏から慶応大学を目指し始める。
・僕…名古屋の塾に勤める塾講師。さやかちゃんの指導を勤める。
・ああちゃん…さやかちゃんのお母さん。
・パパ…さやかちゃんのお父さん。複数の会社の経営者。
入塾面談
夏休みに入ったばかりのころ、ある女子高生が入塾面談にやってきます。その女子高生は金髪で厚化粧にイヤリングを付けています。僕はまさにギャルだと思いました。
話によると、彼女は中学から大学までエスカレーター式に上がれる高校に通っていましたが、素行が悪く内部進学が受けれないため母親に連れてこられたと言います。
成績は偏差値30以下の学年ビリでした。僕が志望校はどうするか聞くと、彼女はわからないと答えます。
「君みたいな子が慶応に行けばおもしろくない?」という僕の言葉に彼女は笑います。
僕は彼女が見た目と違い素直であることを見抜き、これなら指導方法を素直に受け入れ、いいところまで行けるのではないかと思いました。
こうして彼女は慶応を目指すことになりました。
5年半のブランク
最初に学力を見るテストを行いますが、中学一年生レベルの英単語をことごとく間違います。しかし、彼女が必ず何かを答えようとする姿勢に僕は好感を抱きました。
それ以降彼女、さやかちゃんは週3で僕の勤務している名古屋の塾に通ってくることになりました。
さやかちゃんは中学受験をして今の高校に進んでいましたが、国語と算数の2教科で受験したため、社会は全く分からないと言います。
さらにさやかちゃんのお母さん、ああちゃんからここで頑張れば勉強しないで大学まで行けると言われたため、中学入学時から5年半まったく勉強していないそう。
その影響からか、彼女は東西南北や日本地図を書けませんでした。
勉強の楽しさ
受験において避けては通れない英語は、英単語を覚えられなかったら罰ゲームと言ったようにゲーム感覚でさやかちゃんに勉強する楽しさを教えました。
歴史に関しては、歴史上の人物に愛着を抱けるかが重要で、さやかちゃんはもともとそういったセンスを持ち合わせていたので僕は大丈夫そうだと思いました。
説明を読んでいると、その説明の文章の中にまたわからない言葉が出てきて、それをまた調べるといった作業を繰り返していると、いろんなことが楽しく思えてきたようでした。
周囲の反応
さやかちゃんは学校の3クラスのうち一番成績の良くないクラスで、そのクラスのみんなに、私は慶応に行くと宣言します。
周りのギャル仲間たちは行きなよ!と面白がり、学校のある先生はもし受かったら裸で逆立ちして1周すると約束しました。
家でもさやかちゃんは慶応に行くと言っていて、それを聞いたさやかちゃんのお父さん、パパは怒っていました。
パパは複数の会社を経営していましたが、子育てに対する価値観の違いから夫婦間の関係は良くないものでした。そのため、塾に行くお金をパパは出さないと言います。
彼はさやかちゃんの弟をプロ野球選手にしようと長男ばかりにかまっていて、娘2人は主にああちゃんが面倒を見ていました。
ああちゃんも意地になって自分の稼ぎだけで娘2人を育てるためにパートへ出ていたのでした。
勉強と遊びの両立
さやかちゃんは勉強との両立をするために、カラオケでオールをして、その場で塾の英語の宿題をしていました。その結果、睡眠時間は5時間くらいになってしまいます。
当時、中学英語の問題を解いていたので、周りの友達からはそんなので慶応に間に合うのかと不思議に思っていました。
夏期講習の間、さやかちゃんはそんな生活を続けていました。その努力の結果、11日で中学英語の復讐を終わらせ、夏休み中に高校英語に突入します。
分からない英単語を調べると、その説明の日本語がわからずそれを調べてを繰り返し、最終的に同じ単語にたどりついてしまい、どうしようもなくなるということがよくありました。
見えてきた成長
夏期講習を終え、週3回から週4回に塾へ通うことになりました。そのあたりから、さやかちゃんは徐々に成長を見せます。
問題を間違う際も何か関係のある単語が次第に出てくるようになります。しかし、慶応大学の合格のためにはこのままではだめなことに僕は気づきます。
百数十万円
彼女が高3になる時、僕は日曜を除いて毎日塾に来られる無期限コースを勧めました。ただ、そのためには前払いとして百数十万円という大金を塾に支払う必要がありました。
ああちゃんはさやかちゃんのために、定期預金や保険を解約してなんとかそのお金をかき集めます。さやかちゃんがそのお金を持ってきた時、さやかちゃんは絶対いつか倍にして返すと約束したそう。
加えて、一切お金の援助をしないパパを見返してやろうとさやかちゃんは思います。さやかちゃんは金髪だった髪を黒く染め、短く切ります。ストレスで顔も太り、ニキビもできてきました。
その代わりに成績は着実に伸びていました。
E判定
高2の冬期講習からはああちゃんのおかげで月曜から土曜まで毎日塾に通うようになります。
そして、高3の8月にセンター型の模擬試験を受けることになりました。実際、模試で戦えるレベルだったのは英語と現代文くらいで、その他はまだ基礎の段階でした。
1か月後に帰ってきた結果を見ると、英語は予想以上にできていましたが、国語と日本史はまだまだでした。
その後受けた9月の模試では、英語は偏差値70に到達し、1年で偏差値40上げることができます。しかしその時点でも慶応大学の判定はE判定と厳しいものでした。
なんで慶応大学?
その結果を見たさやかちゃんは慶応大学は無理だと弱音を吐きます。ちょうどそのころ高校は文化祭の時期で、周りの友達がさやかちゃんの仕事を代わりにしてくれたそう。
そんな周りの支えがあったのにもかかわらず、E判定を取ってしまったというのはさやかちゃんを強くむなしい気持ちにさせてしまうのでした。
ちょうど明治大学も志望校で出していて、C判定だったため、なんで慶応大学なのかと疑問に思い始めます。僕は途中で目標を下げると、どんどん成績が下がるということを知っていました。
僕はそんなさやかちゃんに一度慶応大学を見学しに行くことを提案します。次の日さっそくさやかちゃんとああちゃんは慶応大学を見に行くことにしました。
感想
以上で前編は終了です。さやかちゃんは慶応大学に合格するために、ほぼ毎日塾に通い成績を上げていきます。
しかし高3の9月でE判定という厳しい判定を貰ってしまい、なぜ慶応なのかと疑問に思い、キャンパスを見に行くことになりました。
勉強すればするほど、慶応大学の合格がとても難しいことをさやかちゃんが知り、それでも懸命に努力している様子がかなり伝わってきました。
私も大学受験の経験があり、少し自分の経験と重ねてしまい、懐かしい気持ちにさせてくれました。これから受験をする方にも大学受験がどのようなものなのか知るために読むのが良いと思います。
さて、次回でお話は完結となります。下のリンクから後編へと飛ぶことができます!!ぜひご覧ください。
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